未定
三人はその後思い出話や近況報告等色々な話をした。
ひろゆきの仕事の事。
あかりとの再開。
小野から見た子どもの頃の二人。
同級生が今何をしているか。
兎に角話題が尽きなかった。
「そういえば、たかしって今何してんだろ?」
「確かに。何してんのかな?」
「ひろ、あんなに仲良かったのに知らないの?」
「あいつとは高校の時色々あってそれっきり。」
五年前ー。たかしにも謝らなければと思い色々な手を使い探したのだが、見つける事が出来なかった。たかしにも実家はなく、最後の手段として施設で聞こうと思っていたのだがそれも出来なかった。
「小野ちゃん知ってる?」
あかりの問いに小野の表情が曇る。「たかしくんね…」うつむきながら小野が話し始めた。
「あの子は本当にサッカーが好きで、ひろくんは良く知ってると思うけど本当にがんばり屋で、高校三年生の頃にプロにも注目される程だったの。」
「へー。凄い。」
あかりの目がキラキラした。そんなあかりをみて少し嫉妬してしまう。
「でもね…」
小野が言葉を詰まらす。その様子を見て何かただならぬ事が有ったのだと察した。
「何?どうしたんだよ?」
思わず声を荒げてしまった。
「亡くなってしまったの。」
唇を噛む小野。三人の間に沈黙が走る。
(そんなバカな。絶対に嘘だ。)
あまりの衝撃に言葉が出なかった。小野がそんな嘘を言う様な人ではないと知っている。それでも嘘であって欲しいとただ小野を見つめる。
「たかしくんは小さい頃に此処にきて、お父さんやお母さんを知らなかったの。それで、サッカーで有名になっていつか会いたいって頑張ってたの。ドラマとかマンガみたいでしょ。」
小野がムリをして冗談っぽく言っているのが分かった。
「でも、高校最後の大会で大怪我しちゃってね。あまりにも有名になりすぎたせいか、相手のチームの子が随分と乱暴なプレーをしちゃって…」
「どうなったの?」
再び声を詰まらす小野にあかりが間髪入れずに問いかけた。
「下半身付随になってしまって…」
「でも、死ぬような事じゃないじゃん」
今度はひろゆきが問う。
「もちろん、そのケガは命を落とすような事じゃなかった。でも、たかしくんにとってサッカーが生き甲斐で希望だったの。そんな彼が何とか前向きに生きられるようにと私も含めて周りの子達も支えていたのだけれど、ある日車椅子でトラックの前に飛び出して…」
無意識に机を思いっきり殴り付けていた。麦茶の入ったコップが倒れ机が水浸しになる。
(何やってんだよあいつは。意気地無しめ。)
悔しかった。自分が好き勝手し此処を飛び出した後、知らなかったとは言え何も出来なかった自分が。思えば、ひろゆきに困難がある度にいつも気にかけて、助けてくれたのはたかしだった。それなのに、人生を投げ出してしまう程苦しんでいたたかしに、励ましの言葉一つかけられなかった。
「最低だ。」
「ひろそんな事…」
「俺がだよ。」
小野もこんな話をしたくはなかっただろう。でも、彼女なりに色々と思いを巡らせ、悩んだ末に事実を伝えるべきだという結論に至ったのだと思う。ひろゆきが高校の時に父の話しをしたようにー。きっと、あかりが問いかけなかったとしても彼女はこの話しをするつもりだったのだろうなと思った。




