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夏(仮)  作者: ふゆか
接近
21/38

未定

「何って、何?」


「いや、話したいって言ってたじゃん。」


「はあ?」


その表情は「分からないの?」と言っている様だった。暫く睨み合っていると店員が現れあかりの前にチョコレートパフェを置く。それには目もくれず「これ」と‘山田の’タバコをテーブルに叩きつけた。


「何で不良なってんの?」


‘何で’と言われこうなったきっかけに頭を巡らす。すっかり忘れてしまっていたが、元をたどれば赤点を取ってしまったからー。


「自分だってこんな時間に何してんの?」


「お互い様じゃん」と自信ありげに時計を指差す。


「私、ここでバイトしてんの。」


「えっ?」


頭が一瞬真っ白になった。


「でも、見たことないよ。」


「当たり前じゃん。高校生はバイト十時まででしょ。それで、ひろが来るのはいっつも十時過ぎでしょ?」


(いつも入れ違いだったのか。)


一度目の再開の時と同じ様に、知らない間に近くに居たという事が嬉しかった。


「じゃあ、何で今日居んの?」


嬉しい気持ちとは裏腹に不機嫌な言葉を向けてしまう。


「今日は忘れ物して戻ってきたの。そしたら先輩が『また不良が居る』って言うから見てみたらひろだったの。」


裏でそんな事言われてるのかと少し恥ずかしくなった。


テーブル席で横になるひろゆきを見つけたあかりは、ひろゆきが目を覚ますのを待っていたらしい。‘先輩’からは関わらない方が良いと散々言われたそうだが、放っておけなかった様だ。


「で、何で?」


チョコレートパフェを口に運びながら本題に戻すあかり。


「何でって…」


観念したひろゆきは全てを話し始めた。


勉強について行けなかったこと。

赤点を取ったこと。

補習を受けたこと。

途中からサボったこと。

サッカーをやめたこと。

バイトで知り合った山田のこと。


全てを聞き、あかりがポツリと言う。


「それで、今楽しい?」


「楽しいよ。」


道を踏み外している事も、間違っている事も分かっている。それでも、心の底から今が楽しい。それだけは間違いがない。


「なら、良いんじゃない。」


予想外の言葉に拍子抜けした。そう言ったあかりはさっきまでの威勢が嘘の様に、どこか寂しそうに見えた。


「あかりは今楽しい?」


ひろゆきの問いにあかりが俯く。


(あかりも何かしら悩みがあるのかな?)


そんな風に見えた。


「うん。楽しい。」


俯きながらそう言ったあかりの声と肩は震えていた。そして、その目から雫が落ちた。


「ちょっと。」


突然泣き出したあかりに焦ったひろゆきは身を乗り出し肩に手を当てる。あかりの‘先輩’達が怪訝そうにこちらを見ているのが分かった。

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