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黒界異人伝・異世界英雄譚 -ようこそ、造られた異世界へ-  作者: 明鏡止水
9章・セドラル、再び

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第799話 毒と亡霊

 その後は、「アスヴェーナ」なる異形が複数体現れた。

これは体長50センチほどの青色のサソリの異形で、サソリなのに寒さに耐性を持つ。

そして死肉を好むらしく、雪を掘り返して死体を探しているところを見かけた。


当然の如く毒を持ち、それは徐々に体力を奪い、負傷した際のダメージを増やす・・・俗に負傷毒と呼ばれるもの。

それも結構強力な毒であり、長期間体力を奪い続けるため、放っておくと死ぬこともありえる。


 幸いにも火に弱いようで、俺とメニィが力をあわせて焼き払っただけでほとんどの個体を倒せた。

もともと10体も出てこなかったこともあり、まったくもって脅威にはならなかった。


ちなみにこの異形は、「虫系」に分類されるらしい・・・サソリは「虫」ではないと思うのだが。


また、この異形とは別物だが、主に海に棲息するサソリの異形というものも2種類おり、こちらもそれぞれ虫系、水棲系に分類されるらしい・・・どちらも、サソリとはおおよそ結びつかない系統なのだが。



 そして、さらに進むとアンデッドの群れが現れた。

下半身のない骸骨が黒いボロ布を纏ったような姿で、「マクーシャ」というらしい。


「こいつらには物理攻撃は効かない!光か、火の術で・・・!」


エルがそう言っている間に、キョウラが「[シャイン]」と唱えて群れを蹴散らした。

・・・と思いきや、背後から別の個体の攻撃を受けて背中から血を流していた。


 キョウラを背後から襲った個体の手は骸骨のそれで、指の先端は丸っこいのだが、キョウラの背中にできた傷はまさしく爪で引っかかれたような感じだった。


混乱しかけたが、モールによると「見えない爪」というちゃんとした物理攻撃だという。

何気に闇属性でもあるらしく、それで闇が弱点のキョウラには手痛い攻撃となったようだ。


もっとも、彼女にその傷を負わせたマクーシャはすぐに光魔法で消し飛ばされたのだが。


「[ヒールレイン]」


 エルが水術を唱え、キョウラの頭上から光り輝く雨を降らせる。すると、たちまち背中の傷が回復した。


「助かりました。しかし、今のアンデッドは・・・」


キョウラは、何か引っかかりを感じていたようだった。


「気づいたか。奴らは、俗に言う『亡霊』に近い。未練を残して死に、死んでも死にきれない者の魂がアンデッドになったものだ」


「やはり、そうでしたか。何となく、強い未練を感じたんです」


 そこで、メニィがある質問をした。


「アンデッドとか亡霊には、未練がある・・・ってよく聞きますけど、それならなぜ生きている人を殺そうとするんでしょう?」


そう言われてみれば気になる。

やり残したこと、やりたかったことがある・・・ってのはわかるが、なぜそれを理由にして生きている者を攻撃したりするのだろうか?


その答えは、キョウラが話してくれた。


「未練を残して死に、冥界に行けずに現世をさまよう者は、常に苦しんでいます。まだ生きていたかった、生きてしたいことがあった。なのに、それを実現できないまま死んだ。どうしてこんなことになったんだ、と。故に、生きている者が羨ましくて・・・憎らしくて仕方ないのです」


「つまり、嫉妬ってことか?」


「それに近いです。骸骨は、血肉を持っていることを羨んで生者を襲うといいますが、亡霊は生きた体を持ち、未来があることを羨んで生者を襲うんです」


 そう言っている間にも、また新たなマクーシャがどこからともなく現れて襲いかかってきた。

口を開けて飛びかかってきたところを、キョウラは右手をかざして光の球体を作り出し、それを噛ませてストップさせた。


「ここにいるものは、自殺者の魂が変化したものと、仲間の気配を察知して集まってきたものが混在しているでしょう。生者を取り殺せば、その者も新たな仲間となります。そうして、仲間を増やすことが彼らの・・・アンデッドの目的なのです」


キョウラは左手で魔導書を取り出し、それを宙に浮かべて開き、また「シャイン」を唱えた。

まばゆい光が弾け、マクーシャの顔面を吹き飛ばす。


「この道、いろいろと思うところがあります。ある意味では、来るべき場所だったのかもしれません」


 彼女は魔導書をしまい、先へ進みましょうと促してきた。

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