表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
90/220

88ゾンビ

「ゾンビがいます。

今は死体を食べるのに夢中のようです」


真子は事実を、見たままに語った。

いざとなれば、真子はゾンビを落とす事が出来る。

皆が、速やかに行動し、ゾンビが食べることに意識を集中していれば、生き残れる可能性は、おそらく五割より大きいはずだ。

万一、ゾンビが気付き、襲ってくるようならば透過すれば良い。


ユリや良治に真子の透過は見せたくなかったが、たぶん…。

ここさえ抜ければ、もう外まで階段を一つ上がるだけだ。


新宿地下道の、重い暗闇の中、女は遺体の腹部に首を突っ込んでいた。


真子たちは、地下鉄ホームから、この地下道に上る形になる。

改札の先、新宿へと続く地下通路、途中で泥と瓦礫に埋まって潰れているその通路の手前で、ゾンビの全裸の女が、血まみれの遺体に屈み込んでいた。


真子は、ギリギリ顔が覗くぐらいで階段の途中に立ち、皆に囁いた。


「改札は多分、電気が通じていないので動かない筈です。

潜るか乗り越えて、右横の通路側に進んでください。

およそ30メートルほどで階段になり、伊勢丹の脇に出られるはずです。

外に出ればスマホも通じるでしょう。

とにかく、あのゾンビが外にまで出てくるのか、細かい習性は判りません。

安全と思われるところまでは、立ち止まらずに逃げた方が良い。

ここでお別れかもしれないので、後で連絡が取れるよう、連絡先を交換しましょう」


真子は、多分もう一度中に入るつもりだった。

最後は飛んで、洞窟に誰か残ってはいないか確認したかった。


「しかしヒデェ惨状だな。

先に奴をやっつけちまった方が良くねぇか?」


良治が目を細める。

勇気が、先ほどの地下での影繰りを襲った話をした。


「そんなに強いのかよ。

だが…」


良治はユリを見た。


「俺とユリなら、奴を倒せるぜ」


ニィ、と良治は笑った。

確かにユリの能力はゾンビに有効かもしれない…。

だが、もし通用しなかった場合、最悪の状態を現出させてしまう。


「とりあえず、奴が気が付かないのであれば、それに越したことはありません。

いずれにしろ、相当な強敵です。

もし、ゾンビに反応があったら、攻撃するように準備してもらえますか?」


良治とユリは快諾した。


ユリコを背負った福と、勇気が、最初に改札を出てゾンビの横を通過する。

勇気も、攻撃ができるよう、変身した。


「音を立てないように、ゆっくりと」


真子は囁き、3人を送り出した。

勇気が慎重に改札まで進み、銃を構える。


後ろから、ユリコを背負った福が改札まで歩いた。


ゾンビには、反応は無かった。


勇気は、敏捷に改札口のストッパーを、屈んで通り抜けた。


ユリコは、手を使って改札に乗った。

その間に福が、勇気のように改札の下を潜った。


ゾンビに動きはない。


だが、前に見たあの怪物の動きは、恐ろしいほど敏捷だった。


真子は、息をつめて裸の女を見続けていた。


ユリコは、足をスライドさせようとする。

片足は自由に動くので訳はないが、問題は添え木を当てた足だ。

思うように持ち上がらないらしく、ユリコは両手で足を持ち上げた。


福が気が付き、ユリコを手伝う。


元気は、ゾンビに三角定規の銃を向け続けている。


ユリコの足が、何かのセンサーに触れたのか、福がしたのか、判らなかったが、電気が落ちていたはずの改札が、不意にフィンフィンと、赤い警戒灯と共に、発報を始めた。


元気は驚いて、一瞬、ゾンビへの警戒を解いて、背後に視線を移した。


ゾンビが、動きを止めた。


「良治さん、ユリ君、攻撃をお願いします!」


良治が、即座にナイフを投げた。


ナイフは、ユリコと勇気の間の数十センチの隙間を抜いて、ゾンビ女に突き刺さった。

しかし、ゾンビ女には、ナイフなど何のダメージでもないようだった。


だが…。


ずる、とゾンビ女の片手から、力が失われる。


効く!


真子も驚いていた。


ユリの能力は、確かにゾンビマスターの影にも通用するようだ。


同時に、真子に不安がよぎった。


もしゾンビマスターが、各ゾンビと繊細な感覚共有をしていたなら、もしかするとユリが生きているのが発覚するかもしれない。


「僕らも行きましょう!」


ユリに力を使わせるのは、最低限にしないといけなかった。

Aがどのような組織か想像も出来なかったが、生存が確認されたら何らかの接触があるだろうことは、おおよそ予測ができる。


真子たちは走り、ユリコを背後から抱え、福の背に乗せた。


良治は改札を飛び越え、真子は横のステンレス策を横跳びに跳んだ。


「早く!

ゾンビが動いている!」


勇気が叫んでいた。


見ると、片腕は力を失いながらも、ゾンビは、ずる、ずる、と這うように真子たちの方へ進んでいた。


福は、背は小さいが漁師で鍛えた足で、力強く走り出していた。


ユリが、片手が不自由なために、改札で手間取っていた。


勇気はユリたちを守るために、銃を撃った。


だが、ゾンビに電気は通じなかった。


良治の手助けもあり、ユリも改札を通り抜けた。


真子は、最後に残っていた勇気の肩を抱き、皆の方へ走った。


が…。


「トンネルが潰れている!」


福は叫んだ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ