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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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83節足少年

少年の外見に特段の特徴は見られなかった。

学生服に、紺色のコートを羽織っている。


「そんな訳で、君は死んでくれ」


言うと共に、少年は何かを放った。

小さな、重り付きのテグス、と誠は感じたが、おそらく影の攻撃だと思うので、それに類した何かだ。


誠は思わず、透過してそれを避けてしまった。

透過しなければ、確実に首にテグスが巻き付いていたはずだ。


少年の目が、瞬間、虹色に光った。


「面白いね、君は。

君は僕の攻撃を交わしていないのに、僕の攻撃を避けてしまった。

どういう力?」


賞金をかけられている小田切誠の力に関して、どういう情報が洩れているのか、誠は知らなかった。


「教える訳は無いだろ」


と、はぐらかすしかない。


「それならば…」


少年は、まるで操り人形を操るがごとく、指を一本づつ独自に動かせたが!


「あっ、貴様!」


布や棒を拾ってきたヒーロー小学生が、例の三角定規の銃を発射した。


節足少年は、一瞬で遥か彼方へ飛び、


「君の事は覚えておくよ!」


言って、去っていった。


あいつ…。


誠は、あの少年の異様さを噛みしめていた。


怪我を治す能力が、邪魔だと言った。

まさか、この穴の全ての影繰りを殺すつもりなのか…。


相当の実力があるのか、または己惚れているのか…。


判らないが、確かに強い影繰りのような気がする。


厳しく闇を見つめる誠の前に、どさどさとヒーローの少年が、アルミの棒やガムテープ、布などを置いた。


「これでいいか?」


誠は現実に引き戻されて、


「ああ。

とにかく、やってみよう」


言って、ヒーローが集めた色々を見た。

アルミの棒は、老人の使う杖だったらしい。

L字に折って足に添えた。

布で足を覆ってから、ガムテープで巻いてみた。

かなり、しっかりと固定できた。


「さっきの奴、また襲ってくるかな?」


福が、心配する。


福は、最初は眩暈が収まらない様子だったが、段々、体調を取り戻してきていた。


「どうかな?

何かを目論んでいる様子だったけど、僕たちだけに構っているほど暇じゃないんじゃないかな」


自分は一人だと言っていたが…。


この状況で敢えて孤立するのは、かなりのリスクのはずだ。

たぶん戦い慣れている影繰りなのだろう…。


「俺、真中勇気だ!」


戦隊ヒーローが、変身を解いて言った。

本当に、ごく普通の小学生のようだった。


「こっちはユリコ姉ちゃん。

俺を庇って足を怪我しちゃったんだ」


ユリコは、まだ朦朧としてるようだったが、


「あんた、なかなか使えるわね。

助かったよ…」


とだけ、口にした。


「僕は…」


誠は一瞬考え、


「小田真子って言うんだ」


と話した。


小学生の時、小田真子という生徒がいて、切がついた分、誠の方が後ろだったことがあった。

いつもイチゴの髪止めをつけていた、背の小さな子だった。


ユリコは、福が背負った。


「僕も、仲間が皆、恐竜騒ぎで穴に落ちちゃったんだ。

探さないと…」


誠が呟くと、


「俺たちもさ、5人組なんだ」


と勇気が話す。


「え、お前みたいなのが5人もいるのか!」


福は驚いた。


「言っとくけど、俺たちは合体できるんだぞ!」


勇気がムキになって自慢すると、福も、


「俺だって、兄貴と兄弟技を出せるんだぜ!

兄貴と一緒なら、絶対無敵だ!」


なんか男子の会話だな…、と誠はぼんやり考えて、


「そのユリコちゃんは…」


「あ、そうそう、ユリコ姉ちゃんは小百合姉ちゃんとハマユ姉ちゃんと三人組なんだ。

たぶん俺の仲間と、ユリコ姉ちゃんの仲間は一緒なはずだ!」


助け合う仲間がいれば、その分、危機も回避できる可能性は高くなる。


「とにかく、僕たちは上を目指そう。

他の人たちも、皆、たぶん上を目指すはずだから」


少年たちは同意した。

あの節足少年が立っていた岩場へ上がっていく。

それは、何か巨大なコンクリート片の崩れたものだった。

今となっては、それがビルの基礎なのか地下街の支柱なのか、推測すらできない。


「あれ…」


福が、ユリコを背負いながら、指を差した。


地面に、大きな穴が開いているように見える。


「これは…」


誠は一瞬考え、


「たぶん、あれ、西武新宿線に向かう地下街だ。

靖国通りの地下に、ぺぺまで伸びているんだ」


誠の家から、一番近い地下道だった。

誠は頻繁に歩きに来ていた。


今は電気も消えてしまい、真っ黒い穴になっているが、あそこまで上げれれば、上手くすれば靖国通り沿いに出られるはずだった。


ただし、誠たちは地下駅より深いところまで落ちてしまっていたので、その穴は遥か上空に口を開いていた。


「近くまで、歩いてみよう」


誠たちは、とにかくそちらを目指すことにした。


だが…。


コンクリート壁の破片を避けて進もうとしたとき、勇気に何かが襲い掛かってきた。


小田真子が、影の手を伸ばした。


勇気の襟を引っ張って、自分の胸で受け止める。


「えっ!」


福が驚いて叫ぶ。


それは、大型の獣のような怪物に見えたが、広い場所に出てみると…。


「は、裸の人間…?」


それは、全裸の女、しかも結構な年齢の女のようであり、しかも真子たちを見て、眼を血走らせ、ギャーと獣のように叫んだ。


真子も驚いていた。


その人間は、完全に死んでいたのだ。








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