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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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救援

ケケ、と男は笑い、


「ヒーローごっこは地上に戻ってからにしろよ、餓鬼。

俺はな、ここでしか出来ないことをしている!」


男は、誠の見たことのない表情をしていた。


「君、僕は大丈夫。

君は、別の人を助けてあげて」


誠は言いながらも、少女の打撲傷を少しづつ癒していく。


「いや。

姉ちゃんは人を助ける力がある!

俺の友達も怪我をしているんだ!

だから俺は、姉ちゃんを助けるんだ!」


言って、少年は不思議な構えをした。

到底、格闘技の構えではない。

誠は幼児の頃から、そういった番組を見る子供ではなかったため、そのポーズの意味は全く判らなかった。


「餓鬼め!

もう、どうでもいい。

お前を殺して、その娘は俺の好きにする!」


さすがに誠でも、自分を性の対象と考えている事に気が付き始めた。


あ、僕、コスプレ、もとい、変装しているんだっけ?


誠の場合、きかんしゃトーマスから卒業した後は、本物の建築物の方に興味が移っていたので、保育園でも子供らしい正義の味方ごっこは冷たい目で眺めていただけだった。


子供を何とかしなくちゃ、とは思うが、今は少女を治療したい。


誠がJK姿で屈んでいる先に巨大な岩が突き出しており、そこに欲情した男が立っていて、その上に倒壊したコンクリート建造物、おそらく地下街の一部が突き出しており、ヒーローに変身した少年が立っていた。


もう数分で治療は完了する。


だが欲情した男は、手に影の弓を浮かび上がらせた。

透過すれば男を殺すことも可能だったが、その力は誠の正体を明かすかもしれないので、今は隠したかった。

すると誠に仕える影は、影の手だけになり、颯太の助力があるとはいえ、誠の戦闘力は何割も減じる。

影の手は、射程は長いが、打撃攻撃をするほどのスピードは無い。

力は強いので男を押さえつける事は出来るが、だが繊細な治療をしている一方で戦闘をするほど誠自身が器用では無かった。


「そんなの怖くないぞ!」


子供は、無鉄砲なのか男を挑発している。


子供が全身に纏っているのは、おそらく美鳥が肉体強化に使ったような、影の鎧の類だろう。

多少の防御力が上がったり、運動能力や回避能力が上がるもの、と思われるが、成人男性の影繰りとやり合うには、どう見ても幼過ぎた。


まぁ、それと判らなければ透過してもいいか…。


どうも、子供が引こうとしないので、誠も戦わざるを得なくなりそうだ。

そして戦うならば、やはり透過を使う事になると思う。


盛大に、それと判るように透過することは出来ないから、タイミングを見計らって、十センチ男を落とす、ような方法を取らざるを得ない。


治療しながら男の様子を探っていると、不意に少年が、ジャンプした。


それが、人間の飛翔ではなかった。


弾丸のようなスピードで、地下階の一部から少年は岩石の一部に跳弾したように跳ね、影の弓を構えた男の、男の急所に、小気味の良いサッカーキックに足を振り上げた。


男は、ぎゃ、と叫んで数メートル飛んだ。


スピードを強化したのか…。


思うより少年は強いようだった。


「さあ姉ちゃん、友達が怪我しているんだ、俺と一緒に来てくれ!」


誠に少年ヒーローは手を差し伸べる。


「あと1分待って。

この子を完全に治すから…」


打撲傷は、範囲が広いだけに治療の時間がかかった。


「判った!

その間、俺が姉ちゃんを守るよ!」


だが、周囲から影が、身を起こした。


数人の影繰りが、同時に誠とヒーローを取り囲んでいた。


どうも、今の戦いの趨勢を窺っていて、見極めたうえで戦いを決心したらしい。

子供の力が、ただ早いだけならば、治療能力の女と共に葬れる、と言うところだろうか?


「こんな場所で、なぜ影繰り同士でやり合うんですか!」


誠は問うた。


ちょっと、自分なりには高い声を出しているつもりだ。

と、言ってもとっくに変声はしているはずなので、どれほど誤魔化せるのかは判らない。


「馬鹿だなぁ、姉ちゃん。

男が女に求める物なんて、決まってるだろ?」


阿呆くさい…。


こんな状況で、何を言っているのか…。


「手前ら、馬鹿か!

その人が、一生懸命、人助けをしているのが判らねーのか!」


は、と誠とヒーローが声を追うと、そこには、前に見た、髪を金髪に染めた赤いジャージ姿の中学生ヤンキーの姿があった。


「何だあいつ!」


ヒーローは警戒するが、誠は、遠目に彼の強さは見て知っていた。


「大丈夫、あの子は強い子だよ」


誠は少女の治療を優先した。


誠とヒーローは三人の男の影繰りに取り囲まれており、その外側に金髪ヤンキー中学生はいた。


誠たちを取り囲んでいる男は、年齢もファッションも全く別々の、どうやら臨時の共闘のようだった。


ヒーローは屈んだJK誠を守るように、手に三角定規型の銃を抜いた。


そして、金髪ヤンキーは、自分に一番近い、何かの制服らしい紺のコスチュウームを着た40近い男に、じり、と近づいていた。

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