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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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33疑惑

急襲部隊が帰ってくると、大量の報告書が作成される。

誠も、今は自分の部屋としてい使っている部屋にノートパソコンを持ちこんで報告書作りだ。

だが、カブトと川上はすぐゲームを始めた。


発端は川上の聴力を試すことだった。

それが、基地に侵入しようとする敵の発見につながったのだ。

問題は…。


あの烏賊の影繰りが、誠と同じように基地に潜入できるのか、どうかだ。

そうならば防犯体制を見直さなければ烏賊はまた、いつでも本部を襲撃できる。

防犯カメラ映像を盗まれないようにすること、烏賊男が侵入しないよう警戒する事、などを誠は指摘した。


出来上がった報告書は、そのままメールでアクトレスに送られる。


他の人たちの報告書も出来上がってくる。

誠は、謎の多い箱女についての青山の報告書を読んでみた。


青山は、誠の使用している整髪剤を探すのに手間取っていた。

同じギャツビーでも種類は色々に違う。

他人の整髪剤を探すのは、思いのほか骨だったようだ。


最初は、背中に軽く物があたった。

狭いドラックストアでは、ままある事だ。

買い物かごなどを持っていると、すれ違おうとして背中に触れる。


全く青山は違和感は覚えなかったが、すぐ背中に女性の声がした。


「ごめんなさい」


声の主に、青山は振り返ることも無く、


「いえ、こちらこそ…」


と無難な返答を呟きながら、なおも整髪剤を探し続けた。

簡単だと思ったことに、思いのほか難航してしまったので少し慌ててもいた。


「あの、失礼ですけど、あなた…」


女性の声に、青山は思わず振り向いた。

大抵の男は振り向くかもしれない。

或いは、女性でも、ごく自然にそういわれたら振り向くのではないか。

ともかく青山は、何気なく女を見た。


凄い美人で、その辺りで着る人な無いような派手なドレスを着ていた。


「ああ、やはりあなた…」


女はとろけるように笑い、ごく自然な仕草で、女は手に持った箱をパチリ、と開いた。


青山は、それだけの動作で、まるで電源が切れたように箱の中に納まってしまったのだという。


人形に自分が変身し、小さな箱の中に収まっていくのを、青山は安息のように感じた。


そして青山は、長い眠りにつく。

椅子に縛られたときも、青山は微睡んでいたらしい。


何ら拷問も尋問も行われなかったという。


誠は、読み終わると、少し考えた。


吉岡先生の所見が添えられ、確かに肉体的拷問の痕跡は無い、とかかれている。


ただし、今も少し信じられない気がするが、吉岡先生の脳内操作を誠はこの目で見ていた。

ああいう尋問であれば、多分何の痕跡も残らないであろう。

何らかの、多分マットドクターか電磁波爆弾に関する尋問はされたのではないか?


と誠は思った。


それにしても…。


誠は微かな違和感を感じていた。


簡単すぎる。


あのマットドクターの組織の仕事だとすると、三田の仕事も簡単すぎるし、本部の襲撃も本気の人数では無い気がする。


なにか少しづつ、将棋のコマが配置されているような薄気味悪さも誠は感じた。


確か、カブトの話によれば、本当に狙っているのは中東であるらしい。乱立する宗教指導者の一人を影繰りで支援し、大きく育てる、というような話らしい。

誠は詳しいわけではないが、似たような事は過去にもあったと思う。

話に、もう一つ目新しさが無いというか、世界中が警戒している場所で行うのは、なにか効率が悪い気がする。


マットドクターとか、電磁波爆弾というのは、内調が聞きたい答えを、敢えて置いているだけではないか。


いや…。


むしろ、マットドクターや電磁波爆弾に、内調の知らない何かが、まだあるのかもしれない…?


将棋の駒が裏返るがごとく、するりと返ると、全く違う意味を持つような何かが…。

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