表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
34/220

32突入

美鳥たちは、三田のマンションに襲撃をかけた。


と言っても警察的な権限は内調にはない。

ただ、影繰りにそもそも捜査令状は必要なかった。


影を纏った美鳥たち影繰りが先行し、捜査官を敷地に招き入れていく。


2台の車から、パラリと一瞬で18人が飛び出していく。

2人は車に待機しつつ、音を気づかれないようガソリンエンジンのみを停止した。

作業は迅速に、一糸乱れぬ連携を取りながら、マンション居住者に気づかれることなく4人は敷地に散り、511号室に向かい14人が建物に入っていく。


美鳥の蝶が、管理室内の外部ドア開閉ボタンを押して、まず7人の影繰りが影を纏ってマンション内に侵入すると、井口のカラスは5階に飛ぶ。


そのうちに蝶は防犯カメラを薄暗く覆って、玄関外に残る1人を除いた13人の捜査班が素早くマンション階段を上った。


夜更けのマンションで階段を利用する者は、あまりいない。

多くの人間が居住するマンション、しかも三田の外国人の多いエリアでは、うっかり階段などを利用して隣人の変な場面に出くわす、などは誰しも避けたがるものだ。


訓練された捜査班は、皆ゴム底の靴を履いており、ほとんど足音を立てずに階段を登っていく。


一方、井口は五階に上ると、カラスを豆粒のように小さくして手紙の投函口から511号室に侵入、中にいた5人の男の位置を含めて立体地図を作り上げた。


美鳥は1階で待機している。


捜査員の一人が合鍵で居室ドアを開く。

電子キーは、鍵開け用の針などには強いが、シリアルナンバーさえ判れば予め準備できる。

当然、下見の時に美鳥がナンバーは読み取っていた。


井口の説明を受け、レディは廊下に進み、台所でインスタントラーメンを煮ていた男を分銅のチェーンを巻き付け、締め上げた。

小鍋の中で、卵を入れたインスタントラーメンが踊っていた。


アクトレスは一番奥の居間にいた三人を、ほとんど同時に気絶させていた。

後頭部を一蹴りし、ボディに一発入れ、最後の1人は張り手で壁に吹き飛ばしたのだ。


トイレに入っていた一人は、青柳という影繰りが向かっていた。

彼は、自分の体を煙にする事が出来る。

青白い煙になってトイレの便座の上に滞ると、踏ん張る男の頸動脈を、左右から必要なだけ、圧迫する。


煙を認知もしていなかった男は、柔道3段の屈強な男ではあったが、気づかぬうちに頸動脈を締められ、一瞬で意識を飛ばした。


「青山?

大丈夫か?」


アクトレスの背後から進んでいた二人の影繰り、若林と中居は、予め室内見取り図は把握していたので、青山の部屋に入った。


青山は、すっかり熟睡していた。




「誠君、この拘束方法、面白いわね。

よく考えられているわよ」


吉岡は豊満な胸を白衣に包んでいたが、下はニットのセーターだったので、ニット部分が胸の圧力で広がり、素肌が浮いていた。


「えっと、骨格はこの前教えてもらったので、こういう事、いつか試してみようと考えていたんです!」


おそらく20代後半の美貌の吉岡の前では、誠はすぐに上がってしまう。


誠たちは、男を影の手で掴んで、直接、吉川医師の診察室に落ちていた。

あまり移動に時間をかけると、男が目を覚ます恐れがある。


拘束してあるとはいえ、あの霊長類だ。

暴れられたら面倒なことになる。

そのため、一気に落ちることにした。


吉岡は予期していたように、診察室で微笑んでいた。


「今日は君に、面白いもことを教えて上げるわね」


艶やかな唇が、にっこりと笑う。


気絶している男を椅子に座らせ、拘束ベルトを締めると、吉岡は必要以上に誠に体を押し付ける。


「よーく見てね。

誠君、自白剤って知ってるでしょ?」


「ええ。

聴いたことはあります。

麻薬とか、そういう物ですよね?」


「そう。

酔わせて判断を狂わせるとか、眠くさせて本音を吐かせるとか、向精神薬でリラックスさせて気持ちよくさせるとか、現代では色々な薬が存在するのよ。

だけど誠君。

全ての自白剤は、結局、脳内物質を分泌させる事が目的なの。

判るわね」


吉岡はほとんど香水の類はつけないので、余分に女の人の匂いが誠の鼻腔をくすぐった。


「あ、ドーパミンとか…」


「そうよ。

ドーパミン、アドレナリン、セロトニン、メラトニン、色々な脳内物質やフェロモンが人の心に働きかけているものなの」


吉岡はウインクして、


「脳を見ててね」


脳内に、何らかの神経物質が広がるようだ。


男は、意識を失ったまま、ブツブツと呻いた。


「アイリン…、お前なのか…」


吉岡は、猫が喉を鳴らすようにあゔ…、と耳元で囁いた。


「ああ…、会いたかった…。

お前の乳を吸わせておくれ…」


吉岡は、ニィ、と笑って、誠の指を男の口に突き刺した。


ヒィ、と思うが、誠に拒否権は無かった。


指を、男は凄い勢いで吸い始めた。


「…お仕事はどうなの…」


吉岡は相変わらず、喉を鳴らすような声で言う…。


「…ああ、簡単なもんだ…」


誠の指をしゃぶりながら、男は言う。


「マッドドクターを探し、生きていたら奪還する…。

もし死んでいたら…」


ああ、良いわよあなた、と吉岡は耳元で囁いた。


「…死んでいたら、遺体を完全に破壊し、報告する…。

そして電磁波爆弾の所在を調べて」


ぢゅる、と誠の指を強く吸って、


「…報告するだけさ…」


ああ、素敵よ…、と吉岡は喘ぎ、


「電話をするのかしら…」


「はは…、バカだな、ポケットの高周波発信機でモールス信号を打つんだよ…」


モールス信号!


そんな古典的な方法とは思わなかった。

確かにそれなら、誰にも感知できずにどんな長文の連絡も取れる。

発信だけで良いのなら、これほど効率的な通信手段は無いかもしれない。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ