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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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発見

三田駅周辺には慶応義塾大学や付属高校がある事から、その他大学もキャンパスを連ね、またイタリア大使館などもある上品な土地柄の高級住宅地でもあり、近年はタワーマンションなども建っている。

建っている家屋の敷地面積も広い上に、建築もそれぞれ趣を凝らしていて、庭も美しい。


その東京にしては静かな一角に、黒いワンボックスカーが静かに走って行く。

内調の車は、静かな電気走行モードが組み込まれている。

横を走って雀が逃げない程のサイレント走行が可能だった。


車と共に、三羽のカラスが、闇に紛れるように飛行していた。


「カブトは、どうなのかしらね?」


美鳥は、呟く。


「普通の開頭手術と言うのは頭蓋骨の一部に穴をあけ、処置をする手術だ。

あの時のカブトのような、脳みそが顔の上に丸出しになっている、なんてのはほんとにゾッ、としたぜ。

何度か夢にも出てきた程だ…。

医学的にも、標本以外には有り得ない行為だそうだ。

一部記憶を喪失している、という事だし、出来るだけ温かく接していてやれば、前とは違う面も見られるんじゃないか?」


言いながらも井口は、自分の頭の中に立体地図を作り上げていく。

この立体地図こそが井口の能力の真骨頂であり、微かな違和感も見逃さないサーチ力の根源だった。

この地図は、ミリ単位で正確に全ての建築物からマンホールの位置、路上のゴミまでを井口の頭に記憶していき、しかも二度目のサーチ時の微かな誤謬も見逃さない。

また、鳥の精密な視力により、窓から見える建物の内部まで忠実に再現されていた。


「でも、誠には重荷になるんじゃないかしら。

現実には1年上の子だし、結構手強いと思うわよカブトは」


確かに同年代だったからこそ判るが、カブトはかなり気が強く、レディが周りととりなしていなければ、大きな衝突もあったかもしれない我の強い子供だった。

また誠は、頭脳はかなりの理論派で、頼りにもなったが、コミュニケーション能力となると、多少覚束ない部分がある。

端的に言うと、興味の無い所にはほとんど無関心で、もし二人が打ち解けなかった場合、誠は何時間でもスマホを見ながら自分だけの世界に浸っている事だろう…。


「まぁ、今から気にしてもしょうがないが…」


井口は笑った。


「美鳥と上手くやってるぐらいだから、問題ないんじゃないか?」


美鳥は何か言い返そうと振り向くが、井口が、


「この辺だぞ、ダウンジングによると…」


冷静に語り、


「ナンバープレートの車を発見した。

横のマンションだ。

車は、川越ナンバーだったようだ!」


それは閑静な住宅街に建つ、広い敷地を持った五階建ての共同住宅のようだった。

その鉄筋コンクリート造の建物の地下駐車場に、問題の黒いダッチチャージャーは停まっていた。


「駐車場と居室に関連はあるのかな」


待って、と美鳥は言い、蝶が管理室内に侵入していく。


こうした場所には書面化した手書き、ワープロ打ち、複写などの情報がファイリングされていることが多い。

蝶は、ファイルに止まる事で、そう言った情報を引き出していく。


「511号室が契約していたわ。

ベン・アノック名義で二月前に契約されたみたい」


外廊下のマンションだったので、井口はすぐに511を発見した。


「南の角部屋だ。

いやーリッチだな。

7LDKか。特に南東向きの部屋は素晴らしい居間みたいだな」


美鳥の蝶もすぐさま5階に舞い上がる。

マンションであれば、エアコンの穴、換気設備、換気扇、蝶が入れる場所は無数にあった。


「窓の無い奥の部屋に青山さんは監禁されていたわ。

椅子の背もたれに直接手を縛られている。

あれは、ちょっと抜け出せないわね」


「美鳥、青山と話せるか?」


「部屋に監視がいる。

青山さんに危害は加えていないようだけど、おそらく軍事訓練を受けた兵士のようね。

監視に隙は無いわ」


「じゃあ、俺たちが発見したことだけは伝えろ」


言いながら井口は恐ろしいスピードでデッサンを描いている。

それは当該マンションの精密なスケッチだった。

こうした第三者への情報伝達能力も、探査系の能力者にとって、必要不可欠な技能だった。




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