↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
PR
150/220

増殖

大門駅から這い上がってきたゾンビの群れは、浜松町を抜けて内調に迫ってくる。

無人だった街に、死人の群れが津波のように押し寄せた。


同じように重機関銃に撃たれ、高圧電線が焼いたが、しかし後から後から、続々とゾンビたちは進んでくる。


「今日死んだんじゃない人たちもいる…」


ユリは驚いたように呟いた。


ゾンビには、明らかに人種の違うものが大量に含まれていた。

浅黒い皮膚は、おそらく東南アジアの人たちに違いない。

また、白人も少なくない。


「貧しい白人も、僕たちの町には多いんだよ…」


唸るようにユリは囁いた。


「日の出桟橋からも、ゾンビが出現しました!」


竹芝桟橋と地下鉄大門駅が、基地の南北であれば、日の出桟橋は西側という事になる。


「普通なら、南に墨田川を抱えて守りやすいはずだが、ゾンビの群れの運搬には、むしろ好都合だったようだな」


芋之介が唸った。


「くそ!

見ていることしか出来ないのかよ!」


ユリコが怒る。


「内調本部は、堅い防壁で守られている。

今は、ジタバタせずに、敵の本拠地を探るのが先決だ」


永田は諭した。


「ん、ゾンビの臭いなら、あたしの鼻腔に焼き付いてるぜ!」


ユリコは、何かを大発見したように言い出した。


「あたしの鼻は特別製なんだよ!

ゾンビ臭い奴がいれば、100メートル離れていても、一発で見つけられるぜ!」


「あー、確かに、ゾンビの臭いで追えるかもしれないわね…」


美鳥も考えだす。


「まぁ、2人なら誠と一緒に外に出て探してもいいが、無理はするなよ」


アクトレスが許可を出した。


ユリコは、あの鉄パイプに、バット用の滑り止めを貼り付け、カスタマイズしていた。


「それじゃあ、飛びますよ」


誠は影の手で2人を掴み、ブリーフィングルームから飛び上がった。


真っ直ぐ飛べば、芝離宮の上空だ。


「なんだ、綺麗な公園なんだな」


ユリコは、もっと自衛隊基地的な外観を予測していたので、あっけにとられた。


「リスもいるのよ」


「マジか!」


と美鳥は、同い年の少女に語った。


2人はしばらく少女の会話を続けたが、


「誠、右だ!」


ユリコは急に語った。


大門駅より南、三田駅に近い方角にゾンビの臭いがあるという。


誠は、ゆっくり飛行した。


「方角は間違いねぇ!」


ユリコは言い、美鳥は蝶を舞わせた。


誠に匂いを探知する力は無い。

なので、微速で前進するが。


空中に、何か丸いものが浮かび出した。

最初は小鳥かと思ったが、空中を漂う姿は風船のようだ。


だが、大きさは、せいぜい水風船ぐらい。

それが、接近するにつれて、1つから2つに、分裂し、2つが4つに、8つに、とどんどん増えていく。


「ち、さすがにゾンビだけじゃあないとは思ってはいたが、面倒そうなんがでてきたな…」


さっきまでは数十だったのもが、今は数百に増えている。

いずれ、天文学的な数字になるのは、容易に予測できた。


「ヤバいわね、これは…」


美鳥も唸った。


「しまったな、小百合なら倒せたかもしんねーのに」


ユリコは強力な身体強化能力を持っているが、この変則な増殖する影とは、相性がいいとは言えない。


「誠、ともかく可能な限りの風船を落としなさい。

このまま増えていったら、ゾンビどころでは無いわ!」


「は、はい!」


影の手を爆発させる。


それにより影の手は何万という小さな影の手に分裂し、広がっていく。

今までの影の手ならば、力は強かったがスピードが無いため、攻撃の力としてはあまり頼りにならなかったが、真子の切断とアプリの磁力が、影の手に足りなかったものを、全て補った。


超高速で噴き出した無数の影の手は、風船に接触すると、真っ二つに引き裂いていく。


だが…。


影の手が二つに割いた風船は、そのまま倍増して分裂を促進しただけだった。


「しまった!」


一気に分裂を促進された風船は、晴天を薄黒く染めていった。


切断はどうやら、余分に分裂を速めるだけのようだ。


「誠、いたずらに突っ込むな。

一度帰ってこい!」


アクトレス教官は無線通信で誠に呼び掛けていた。


「皆さん、一度戻りましょう」


誠は言うが、美鳥は、


「待って。

これを放置するとヤバいわ。

たぶん、内調の空調にも侵入してくるわよ」


ん、と誠も考えた。


内調本部は核シェルターにもなる頑強な地下施設だったが、その分、空気は空調設備に依存していた。

基本的には換気扇と変わらないが、高性能の酸素ろ過フィルターが付いている。

もしそこに、この風船が詰まった場合、基地は大変なダメージを被ることになる。


「もしかすると、最初から敵は、二段構えの作戦だったのかもしれないですね…」


誠は唸った。


「酸素濃度が下がって我々は行動できなくなったとしても、死人なら何の問題もない…」


「いかにもクズの考えそうなことだぜ!」


ユリコが吐き出すように言った。


「しかし実際…」


誠は唸った。


「どうやってこれを除去すればいいのか、僕にはさっぱり判りません…」


誠は残念そうに語った。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。