↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
PR
149/220

ゾンビの群れ

「奴ら、船で攻めてきたんだ!」


勇気たちは勢い込むが、


「まぁ、待て。

ここも内調基地だ、随所に実弾兵器や高圧電流は具えている。

まずはそれらが通用するものかどうか、調べてみよう」


永田は言い。


「よし、電流を流せ」


何も無かった舗装道路に鉄柵が地面からせり上がってくる。

電信柱に、変電機に偽装された重機関銃が稼働を始めた。


遺体は、今日新宿で亡くなった一般人のものだ。

だが今は、そんな事を言っている場合ではなくなっていた。


竹芝から押し寄せるゾンビの群れに、容赦なく機関銃が放たれていた。


映画のゾンビは、大抵の実弾などものともしないが、本来は生身の肉の塊であれば、一発の弾丸も肉をもぎ取り、骨を砕き、甚大な被害をもたらすはずだ。

影繰りが影をまとっていても、重機関銃を左右の道路から十字砲火で受ければ、怪我をしないにしても吹き飛ぶような物理的衝撃は回避できない。


銃弾は、ときに音速を超えるスピードで飛ぶものなのだ。

速度とは、力と同義だ。

その衝撃だけで、例え皮膚は裂けなかったとしても、打撲し、骨を砕く。


その重機関銃が、あちこちからゾンビの群れを撫で撃ちにしていった。


ゾンビは、あるいは弾き跳び、あるものはベチャリと地面に押し潰されていく。


だが…。


弾丸の雨が止むと、フラフラと立ち上がり、何事も無かったかのように歩き出した。


「な…、なんだありゃあ…」


川上が、気が抜けたように呟く。


ゾンビは、まるで藁人形で出来ているかのように、涼しい顔で立ちあがると、また前進を始めていた。


「何らかの影の補正があるんだろうね。

死体だろうが、骨を砕き、肉を裂くはずが、影が補うのか、全く動きに支障が見られない…」


アクトレスも唸った。


やがてゾンビたちは、高圧電線の鉄条網に向かってくる。


電流は肉を焼き、細胞組織を破壊するはずだ。

死体なので、内臓を破壊しても問題は無いかもしれないが、肉そのものが焼ければ屍人といえども行動は出来なくなる。


ゾンビたちは真っ直ぐ鉄条網に進み、高圧線に触れた。


バン、とゾンビは弾け、ひっくり返る。


中には、身体から炎を発し、炎上するゾンビもいた。


「おお、効いてるな!」


ユリコが喜ぶが。


ゾンビが、鉄条網に覆いかぶさったまま、燃え上がった。

どうやら、そういう指令がゾンビに下ったものらしい。

ゾンビたちは、次々と鉄条網に覆いかぶさり炎上する。


やがて、その黒く焦げた死体の上を、ゾンビたちは乗り越えた歩き始めた。


「あれ、電気が効かなくなったのか?」


良治が首を傾げる。


「炭化したんでしょう。

炭は電気を通しずらい。

だから、その上を、他のゾンビは歩いていけるんです」


誠が言った。


ゾンビは、まだ続々と前進を続けていた。


「百体どころではないんじゃないかしら」


小百合が呟く。


「たぶん、マッドドクターに強化されたんじゃないでしょうか。

百体と言うのは、過去の情報だったんでしょう」


誠は実際に、脳に直接電極を埋められたカブトを見ていた。

あの時の、背骨に電流が走ったような恐怖は、今も忘れられない。


「地下鉄駅からもゾンビが現れ始めました!」


オペレーターが緊迫した声を出した。


「どこかにドールマスターの人形がいるのなら、それだけでも破壊しないと駄目ですね…」


誠は唸った。


「まー、難しいところだよ、実際は。

この防犯カメラ映像だって、敵は利用できるんだ。

ゾンビマスター、ドールマスター、こいつらを見つけるのは、本当に厄介だ」


と永田は教え、


「ただし、ウチにだって優秀なハッカーは揃っている。

全力でドールマスターを今、探しているところだ。

おそらく、ドールマスターのいる場所にゾンビマスターもいるだろう」


「敵の居場所が判ったら、そっちに影繰りを差し向けるよ!」


アクトレスは叫んだ。


「よし、やったるぜ!」


と勇気も叫ぶが、ユリコが、


「お前らは、基地に待機だよ!」


と勇気を止めた。


「まーおそらく…」


と永田。


「基地に侵入され過ぎなんだよな、ウチの場合。

だから施設防御班も、今回は大切な任務なんだよ」


と小学生に諭した。


誠は考えていた。


このゾンビで、本当に内調を攻めるつもりなんだろうか?

派手な揺動を見せられているんじゃないのか…。


前回は、レディを味方に引き入れ、強引に内調に潜入したAだが、一度マッドドクターは内調設備を内部から丸裸にしたはずだった。


それから何か月も経っており、セキュリティも一新されたはずだが、それはともあれ、鍵を付け替えた、程度のもののような気がする。


敵は、もはや効率的な侵入経路を割り出していて、ゾンビと言う陽動を使うか、ゾンビに紛れて、本命の部隊が潜んでいる、ような気もしていた。


ただし…。


単なる陽動、と決めつけるには、あのゾンビたちが強すぎるのは事実だ。

一旦、要塞の扉が決壊してしまったら、あの銃弾も効かない、高圧電流には進んで身を投げ出していく、遺体の戦士たちは、とんでもない攻城戦力であるには、間違いは無かった。


そして、この作戦は、100パーセントの予知をする、という宮城と言う少年影繰りの描き出した作戦だ、というのも、誠の胸に、重いしこりを残していた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。