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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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143/220

141クソみたい

「小田切誠が、悪魔を倒した!」


キャスケット帽をかぶった少年、伸介がアイスラテを飲みながら、不意に語り出した。


伸介達5人と、ピッピと竜吉の合計7人は、今、オペラシティに近いファミレスに場所を移していた。


「よぅし、ついに小田切誠を殺る時か!」


ピッピは弾けるように笑う。


が、竜吉は首を振る。


「止めておけ。

小田切誠は、強くなり過ぎた。

君らの目論見は、外れたんだ。

悪魔の力を吸収し、今の小田切誠はほとんど無敵の存在になってしまった。

俺たち7人じゃ、到底敵わないぞ」


ピッピは、バン、とテーブルを叩いて立ち上がり、


「何だよ!

だったら、もうあたしたちだけで!」


「待て、待て」


と伸介は空中からカードを取り出した。


「戦車のカード。

これから一時間後、今度は東京タワーの近くで、彼らはとんでもない敵と戦う」


言って、再びカードを出す。


「デスのカード。

カードでは判らないだろうが、俺には見えてる。

ゾンビの群れだ」


「おいおい、まさかゾンビなんて!」


と竜吉は驚いた。


「こいつら、メッチャ強い。

その戦闘の隙を突くんだ。

小田切誠はとんでもなく強いが、一人だったら、まだやりようはある!」


「じゃあ、SNSを」


とノートパソコンをポチリそうになる竜吉を伸介が止める。


「今度は、人を集めても仕方がない。

今回も、人を集めすぎたのが敗因なんだ。

そのパソコンですべきなのは、小田切誠が戦闘中、一人になる時を見つける事だ。

僕の占いと、君のパソコンなら、それができる!」


ん、と竜吉はノートパソコンを見下ろした。


戦闘力のほとんど無い竜吉は、それが密かなコンプレックスだったが、伸介に言われて…。


「判った。

俺が必ず…」


隣のピッピの手を握った。


「ピッピを、俺が勝たせるよ!」


ピッピは、一瞬、顔を赤らめ、次の瞬間、伸介たちの目の前で、がっし、と竜吉を抱き締めた。


「好きだよ、竜吉!」





誠は、影の翼を広げて、皆を抱えて飛び立った。


KDDIビルから、都庁をかすめて、初台のオペラシティまで。


今の誠なら、造作のない飛行だった。


途中、京王プラザホテルの真上を通りすぎた。

が、まさか赤いドレスの女と、死体をゾンビに変えた影繰りが、まさにタクシーで浜松町に向かおうとしているとは、誠は夢想もしなかった。


「よー、色男。

彼女に会って、どーすんだよ?」


ケケケ、とユリコが笑うが、誠は戸惑う。


「…僕、女の子と付き合った事なんて無いんです…」


誠は項垂れる。


「まー、中坊じゃ、そうだろうな」


と大人ぶる良治。


「ま、あれだろ、初デートなんだろ?

難しく考えることはない」


と、こちらは、それなりに経験もある渡辺龍が笑う。


「会って、楽しめれば、それで良いんだよ」


「おいおい、誠はいいかもしんないけど、あたしらどうすんだよ!」


ユリコが帰りを心配をした。


「大丈夫よ、オペラシティには内調が車を出す手はずだから。

それと、もし可能なら…」


「例のゾンビとか言う奴ね」


小百合は新しいガムを噛み始めた。

古いものは、自分のティッシュにくるんで、ポケットにしまい込んだ。


「ガムなんて吐き出しちまえばいいんじゃねーか?」


良治は不思議がる。


ケケ、とユリコは笑い。


「ガム愛好家として、最低限のマナーなんだとよ」


「当たり前だべ」


と、小百合。


「ガムを踏んづけたら腹が立つべ。

ガム好きは、マナーを守るのが務めだべ」


「おー、判るぜ、嬢ちゃん、あれはムカつく」


と轟大は拳を握る。


「兄ちゃん、鳥の糞とか、ガム踏んづける確率が、メチャ高いんだ!」


キャッキャと笑う轟福。


「俺はいい。

人様が踏むのを見るよりは、俺が踏んだ方が、ずっとましだ」


「あー、世間話はいいが…」


と薩摩芋之助。


「蝶の彼女が言ってるのは、俺たち、このままゾンビと戦うのか、ってことだぜ?」


「あれは強いよ…」


と、小さな声を出すのは勇気だ。


「でも、仲間と一緒なら!」


勇気は気力を振り絞るが、ユリコが。


「お前らにゃ戦わせない!

せっかく無事に穴から戻ったって言うのに、無茶をするな。

だが、あたしゃ戦うぜ!」


「あれ、ユリコさん、あれは苦手じゃ無かったんだべか?」


轟兄弟の福が聞くと、


「正直、ゾンビはゾッとするぜ。

だがな。

あれを作るために、ワザワザ恐竜まで作って人を集めて、それから殺すなんてクソみたいな事されて、黙ってられるか!

あのゾンビを作った影繰りは、アタシが顎を砕いてやるんだ!」


ククク、と芋之助は笑い。


「俺も同感だよ。

目の前で、これだけ人を殺されて、おめおめ家に帰ってバラエティーを見ても、笑えんのだよ…」


「まぁな…」


と、バタフライは唸る。


「たぶん僕の力ならゾンビを倒せる」


と、ユリが言い出した。


そのとき、誠が羽ばたいた。


オペラシティに到着していた。







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