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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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やるしか無いんだ!


誠は、心の中で叫んだ。


殺すか、殺されるか!

空は、そんな場所だった。


誠の背後に、まるでUFOかのように、空を自在に飛行できるスカイウォーカーが迫っていた。


対して誠は、無数の影の手を集めて、翼を作り、風を受けて飛んでいる。


片翼を折れば、その方向に曲がれる。

両翼を折れば、落ちる。


その程度に、飛行をしていた。

音速の悪魔とは、全く能力が劣っている。


音速の悪魔は、勝利を確信し、突進する速度を上げていた。


誠は、最後にすがった。

自分の能力にすがった。


あの、赤い服の女に掴まりそうになり、石の中を透過して逃げた時、眠すぎて透過が出来なくなった。


その時誠は、自分の周りの物質を透過するのをあきらめ、己の体を透過した。


結果、誠は気体になったように岩の中を滑るように脱出できた。


あれを、もう一度したい!


いや、この状況では、するしかなかった。


体の向きを変える事さえ、自由には出来ないのだ。

今も誠は、緩やかに滑空しながら、落ち続けているだけだからだ。


対してスカイウォーカーは、歩くように空を動ける。

のろまな誠の背中にナイフを刺すことなど、蠅を捕まえるより簡単だ。





スカイウォーカーは、練習と称し、良く蠅を捕まえた。


「あれはなかなか素早く、優秀な性能を持つ飛行昆虫なのだよ」


よく、マッドドクターに話したものだ。


蠅以下か、蠅以上か、は、だから空を飛ぶ場合の一種の基準だと、スカイウォーカーは考える。


目の前の小僧は、当然以下だ。

ただノロノロと、空気に乗って滑っているに過ぎない。


スカイウォーカーは、加速し、そして小僧の、生意気な翼の間にナイフを突き立てた。


が…。


誠は透過し、そのまま、己の影の中に吸い込まれていった。





透過と、影の手は、誠の持つ2つの力だった。


二つ力を持つ影繰りは少ないと言われていたが、別にレディさんの分銅と火炎、のように、分かちがたい形で同居している事も多い。


だが、今まで、誠の二つの力は、分離して別の力として存在していた。


が。


誠はツルン、と影の中に、己を滑り込ませていた。


ナイフが、虚空を切った。


「なに!」


スカイウォーカーは、叫んでいた。


「何故、それをお前が出来る!」


あれは、テレポートと言う高度な能力だった。

天才的な力だ。

むろん透過も、中々大したものだが、圧倒的に動きが少ない。


その場でものを透過するだけだ。

ただ止まっているだけの、石像のような能力なのだ。


むろん、影の手を伸ばして、飛行する。

だが、それは蝶よりも遅い、原始的な飛行に過ぎない。


だから私が負ける訳は無かったのに!


しかし、小僧はスカイウォーカーにへばりつき、チョコマカと攻撃を与え続けた。

何という事は無い、果物ナイフで刺すような攻撃だ。


だが小僧は、まだ技を隠していた。

能力を解除する、という厄介な力だ。


してやられた。

奴にGを喰らわせてやるつもりが、逆にスカイウォーカーが死にかけた。


だが…。


空中でスカイウォーカーが負けることは有り得ない!

空は、私の王国なのだ。


頓馬な小僧に、それを判らしてやる、思い知らせてやるつもりだったのに!


小僧が、目の前から消え去った。




「終わりです!

スカイウォーカー。

あなたは、この空で死ぬ!」


小僧が、スカイウォーカーの背後を取っていた。


馬鹿な!


驚愕するスカイウォーカーの頭に、誠は手を差し出した。


そのまま、透過して脳を砕く。


マッドドクターは、前頭葉を砕いたため、何故か若返ってしまったが、今度は完璧に息の根を止める。


後頭脳から小脳、脳幹。


生きるために必要な体の動きをコントロールする、生命維持の根幹部分だ。


そこを、誠の指が、グシャリと潰した。


一瞬、スカイウォーカーは白目を剥くと、こっ…、と小さく喉を鳴らし、そのまま落下した。


無数の高層ビルが立ち並ぶ新宿のオフィス街に、スカイウォーカーは生肉として落下し、十字架のように広がるクロスロードの真ん中に、凄い音を立てて、1メートルの穴をあけた。





「やった!

誠が勝ったぜ!」


レディは、思わず飛び上がっていた。


小田切誠は、およそ千メートルの上空で、漆黒の翼を広げて滑空している。

その姿は、黒翼の天使のようだ。


「あいつ、まさか、こんなところでレベルアップするとはな」


ユリコも、あの、男か女かとちらにもなってしまう小柄な少年が、ここまでの成長を見せるとは思わなかった。


(神が、宿るが…)


レディの中で、ホムンクロスがボソリと喋った。


(ん、どういうことだ?)


(マッドドクターと同じように、スカイウォーカーは神の力をもった影繰りが。

その神の名はイカロス。

それを小僧は喰ったが!)


(じゃあ、神を二体、持つことになるのか…)


さすがのレディも驚いたが。


(神は、人格では無いが。

小僧の体の中で、合体して、もっと大きな神になるが。

ヒュノプスとイカロス、1と1が合わさって2の力の神になるが!)


ふーん、とレディは誠を見上げ、ニタリと微笑んだ。


(俺の目論見通りだぜ…)













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