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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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136/220

134決闘

SNSの発信者が、近くにいるのかもしれない!


それは、もし倒すことが可能であれば、誠たちの行程には強い希望の光が差し込むことになる。


今回のテロには、SNSが最初からとてつもない影響を与えていた。

あれが無ければ影繰りが新宿に集結することも無く、穴の被害もずっと少なかっただろう。


特にAが、なにか人間の死体と、影繰りの死体を集めようとしている状況では、あれはエゲツない撒き餌のように作用していた。


「Aなのかな?」


ユリが緊張する。

ユリは、数か月前まで、Aの機関で大量殺人マシンとして育成されていた身なのだ。

その期間は、生まれてから殆ど楽しいことなど無かったユリの人生の中でも、どぶ川の底でもがくような日々だった。


「おそらくな。

こんなタイミングであかの他人ってことは無いだろ?」


良治は断言した。


誠もそう思った。


「ユリ。

クロコダイルマンの話していた、ミヤギって人間、知らない?」


誠は聞いてみる。


「主力部隊に、予知をする少年がいる、という話は聞いたことがあったけど、それがミヤギとはさっき知ったんだよ。

僕は、とても主力とは言えなかったから、そんな事は知らなかったよ」


ユリはとても強い能力を持っているが、コントロールは苦手だった。

今は3匹の虫のコントロールも不安なのだ。

虫が暴走したら、ユリにも止められず、何人も死者が出た。

東京攻略のメンバーには選ばれたものの、それはユリの暴走を期待しての選抜だった。


「本部に知らせた方が良いかもしれないわね」


美鳥は、レジで両替をし、コンビニの外にあった緑電話に向かった。




「自衛隊は駅を使って東側と西側を分断しているみたいね。

こっち側には今のところ、特段との注意ははらっていないようよ」


美鳥の報告をうけ、誠たちは新宿西口を歩きだした。

小さな飲食店がビッシリと並ぶ地味な繁華街であり、そこから甲州街道と青梅街道を結ぶ大通りを抜けると、高層ビル街に入っていく。

飲食店は、だから高層ビルのビジネスマンたちの胃腸を満たす重要な意味を、地味ではあるが持っていた。


今は無人の、薄暗い狭い通りである。

その先に無数の高層ビル群が立っているとは、とても思えない小さな店の連なりだ。


その道に、つつっ、と、凄い速さで、小さな生き物が走った。


「…あれ、ネズミだよな…」


ユリコが引き攣る。

地下からの脱出通路でも、子供たちと共に、ユリコは小動物の恐怖を肌で感じていた。


「こーゆうところでは、あーゆうのは多いんだ。

あまり気にするなよ」


アイチが教えた。


「どうも、嫌な音が聞こえるようっすよ…」


と川上。


「嫌な音って、なぁに?」


カブトの問いに、川上は…。


「生物っす…どうも半端ない量の小動物がこの辺に集まっているようっす…」


「半端ない量…?」


アイチは首を傾げるが。


「あー、君はボカシて発言しようとしているが、もし僕の思う通りなら大事件だからハッキリ聞くんだが…」


と渡辺龍は緊迫する。


「それはつまり…。

ネズミが、途方もない量、ここに集結しつつある、って事で良いのかな?」


一瞬で、誠たちは事の重大さに思い至った。

ネズミの群れは、アヒルやニワトリの群れとは意味が違う。


その規模によっては、誠たちを充分全滅させ得る事態だ。


彼らは小さくとも、鋭い牙を持ち、小さいがスピードも速い。

1対1ぐらいなら何の問題もないが、それが万、億と集まったとしたら。

到底、影の力ぐらいでは相手にならない。


「…はい。

ネズミに間違いないっす。

この辺一帯に、大量のネズミが、俺たちを包囲してるッス」


一瞬で血の気が引く。


「飛んで逃げましょう!」


誠は即座に、皆を影の手で掴み、建物の上に跳んだ。


が…。


「うわぁ!」


雑居ビルの屋上には、一面に小さな黒い生物がひしめいていた。


「まずい!」


別の手を、先の8階建てのビルに伸ばす。


だが、ギャァ! と叫んで、ネズミの群れが飛びかかってきた。


薩摩芋之介が、剣でネズミを払った。


「高層ビルまで飛んだ方が良い!」


渡辺龍が指示した。


誠は、腕を爆発させ、KDDIビルに跳んだ。


「…死ぬかと思ったぜ…」


ユリコは、引き攣った顔で唸った。


ビルの屋上の、コンクリートの上で、全員が呆然とへたばった。

ついさっきコンビニで休んだ事も、ほとんど忘れ果てた。


誠もジムの購買で買ったハーフパンツで、コンクリートに座ったが。


「小田切誠!」


へ、と声のする上空を見上げると、一人の男が、空中に浮かんでいた。

老人と言ってもいい白髪の、だがビルドアップされた肉体の男が、空中で、誠を見下ろしていた。


「私はスカイウォーカー!

小田切誠、お前は、我が盟友、マッドドクターを殺した。

故に、私は、決闘をお前に挑む!」


スカイウォーカー。


トムキャット戦闘機とドックファイトを演じた、という高名な影繰りが、誠に勝負を挑んできた。

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