高速の戦い
「ちょっと、あなたたち、何してるの!」
ハマユは驚いて子供たちを止めたが、
「あーゆー奴らは任してよ!」
勇気が叫ぶと同時に、子供たちは一斉に走り出してしまった。
「あっ!」
とハマユの手が空を切るが…。
本気に走った子供たちは、早い。
確かに、中学生三人組に、速度でひけは取らなさそうだ。
長髪を風になびかせた少女は、両手にハンドガン、リボルバータイプの銃を持ち、軽快な連打を右左と放ち続けた。
あくまで影の銃なので、弾切れは無いらしい。
彼女には、影の色分けなので、おそらく、だが、ピンクと白。
愛理ちゃんがピンクで、レイナが確か白。
それと青の樹怜悧が、女の子のサポートにまわるらしかった。
ケケ、と失笑した少女が、銃を撃ちまくるが…。
「ミラクルアンブレラ」
白の愛理ちゃんが、可愛らしい傘を盾のように広げると、全ての弾丸は弾かれてしまった。
すかさずレイナちゃんはフラフープを投げた。
フラフープは、鮮やかに少女の体を捕縛した。
「デンジャーサークル!」
樹怜悧が、先生用の大きなコンパスを地面につけ、クルリと輪を描いた。
すると影の真円は、唸りを上げて両手をフラフープでふさがれた少女にぶつかる!
パンッ!
少女は背後に倒れたが…。
回転受け身のように、少女はクルリと回って立ち上がった。
いぜん、レイナのフラフープで両腕はふさがれていたが…。
空中に、より大口径のハンドガンが三丁浮かぶと、三人に向けて弾丸が放たれた。
勇気と義郎は、バタフライを蹴り倒した男子中学生と戦闘を始めた。
とはいえ、相手は190はあるバタフライを蹴り倒した体のできた中学生だ。
180近い身長はあり、胸筋、腕、太ももなど、盛り上がった筋肉がしなやかに躍動している。
かたや、赤の勇気は120センチほどの身長。
義郎は大柄だが、それでも140ぐらいだ。
雛と親鳥ほども体が違う。
超高速で男子中学生に接近した勇気は、果敢にパンチを放つが、あっさり男子中学生に、片手であしらわれた。
やはり速度はともかく、持っているパワーが違いすぎるようだ。
そこに、少し遅れた義郎が加速して迫ってきた。
義郎は、
「イエローキューブ!」
と叫ぶと、空中を飛行する三角錐に変形した。
義郎は、状況に応じて、様々な形態、材質の物質に変形できるのだ。
グサリ、と三角錐は垂直の角度で男子中学生に突き刺さった。
男子中学生は、うわ、と倒れ右肩を押さえるが…。
ダメージはあるものの、怪我を負うまでには至らなかったらしい。
男子中学生は、既に近接戦闘用の、強力な影を纏っているようだ。
動きが止まったところで、勇気は三角定規銃を発射した。
強烈な電気が男子中学生を襲うが…。
「俺はな…」
男子中学生は、そのゴツい体型に似合わない高い変声期の声で語った。
「電気にも、火にも、耐性があるんだよ…」
これは、思う以上の強敵らしい。
愛理ちゃんたちも少女の銃撃に押されていた。
「よし、マシンだ!」
勇気は叫んだ。
例によってF1カー、フラワーカー、新幹線、パワーシャベル、救急車の、子供用の乗り物が現れた。
「あのロボで、餓鬼にかなうかねー誠ッチ?」
川上が聞くが誠に判るはずもなかった。
と、車がバラバラと分解し始めた。
別れたパーツが、子供たちと合体する。
頭部用ヘルメット、胸部のプロテクター、手と足の強化パーツになって、第四の形態に子供たちは変化した。
中学生は唖然とする、が、より一層の攻撃を小学生たちに加え始めた。
誠は、始めから消防署の上に座って観戦を続けている三人目、が気になった。
彼は、別の役目を持つのか、あるいは…。
二人に、高速移動のスキルを与えている可能性もあるのではないか…。
思い、小柄な少年を透過で落としてみた。
が、少年は誠の標的になったのを即座に見抜いて、横にジャンプし、
「俺が手を出さなかったのは、相手が子供だったからだ。
やるつもりなら相手になるぜ!」
と、誠に向かって突進した。
能力は、同じ高速移動のようだ。
一瞬で、明治神宮の代々木口鳥居前で、子供たちの戦いを傍観していた誠たちの中に突っ込む。
誠は何度か透過を仕掛けるが、少年は、影攻撃に関する感知でもあるのか、ヒラリヒラリと、小鳥が舞うように的確に交わしていく。
「こんの野郎!」
ユリコが、鉄パイプで急に参戦した。
鋭い振りで少年に攻撃するが、なんと小柄な少年は、ユリコの鉄パイプに乗って、トンと鮮やかに空中に飛んだ。
だが…。
と、誠は考えた。
空中では逃れようがない!
誠は影の手を伸ばして、少年を捕まえた。
が、少年は、影の手の人差し指に両手を添えると、そのまま倒立した。
体操選手か何かか?
誠は驚愕するが、影の手から、爽太が姿を現して、少年に殴りかかる。
少年は空中に逃れるが、そこにユリコが、十メートル以上をジャンプして、迫っていた。
ユリコは、幹竹割りのように鉄パイプを振り抜いた。




