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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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マッドドクター

目が覚めると、洗濯物が畳まれて机の上に乗っていた。


ホテルと違って、プライバシーは全くないなぁ…。


誠は苦々しく思ったが、あのアクトレス教官に文句も言えない。

教官が買ってきたという下着は誠のセンスではなく、派手な色遣いのボクサータイプだったが仕方なく履いて、シャツとパンツはかなり大人っぽいブランドものを、着ない訳にもいかなそうなので着てみた。


誠は、足首の出るような靴下は履かなかったのだが、用意されたものを不承不承つける。

不合理は、誠の最も嫌うものだった。

葬式に履けない靴下は意味が無い、と思うのだ。

そうでないと、葬式用の靴下を常に引き出しに、使わないのに用意することになってしまうではないか!

だから誠の引き出しの中は、黒い靴下で埋まっていた。


スニーカーは綺麗に洗われた上に乾いている。

なんとなく他人にスニーカーを洗われたのも嫌な感じだったが、しかし昨日は、歩く度に音がするほど濡れていたから仕方がない。

誠は、全く落ち着かないいでたちで指令室に向かった。


透過して指令室に落ちれば早いのだが、機密事項の場所も本部には多いため、透過は禁じられている。

エレベーターで向かおうとすると、レディとカブトが先に乗っていて、着慣れない服の誠に爆笑した。


「なに、このレトロブランド!」


ケラケラとカブトが笑う。

誠は、事情を話した。


「え、あの後で襲われたのか!」


さすがにレディも驚いた。


「そうなんです。

どうやら僕を狙ったらしくて…」


「もしかすると、それで俺たちも呼ばれたのかもしれないな」


レディは考え込んだ。


指令室に入るなり、アクトレス教官が口を開いた。


「誠、お前の首に誰かが賞金を懸けたらしい」


誠も驚いた。


「ライフル男が自白したんですか?

やはりマッドドクターの組織でしょうか?」


「さあねぇ。

どのみち、そろそろあんたの事は、世界中に知れ始めているのさ。

伝説の老影繰りマッドドクターを倒した、って言うのもあるし、そもそもあんたの能力は、ちょっと物差しの桁が判らないところがあるからね」


桁が判らない?

誠は首を傾げた。


「どういうことですか?」


「永田と協力してムーンライト号のぶっといシャフトを切断して見せたんだろ。

あんたの能力には、そう言うところがある訳さ。

影の体にしてもそうだ。

空を飛んじまったり、ちょっと誰もが驚くんだよ」


「あれは決して飛んでるわけでは…。

掴まって、引っ張っているだけですから。

基本、海や砂漠は飛べませんし…」


「マッドドクターも、本当のお目当てはあんただって言ってたね。

ベーブルースを量産するとか。

確かに、そう考えれば医学的にも常識破りな訳だ」


「え、でも吉岡先生も同じような能力では?」


「彼女は敵を落としたりは出来ない。

血管は縫えるが、空も飛べない。

二つ能力があるから、そのせいでお前は吉岡先生の能力、マッドドクターも目をつけたミクロの修復能力まで身につけたわけだ。

確かに頭を開けないでも好きにいじれる訳だし、全ての癌を負担ゼロで摘出できる。


吉岡先生は、実際あたしも戦場でみかけたら裸足で逃げる人体破壊の名人だ。

人間なんて、血管一本切れちまったら、場所によっては即座に死ぬんだよ。

先生がいなかったらカブトの命も危なかったろう。

だが、あんたは三つの力をミックスすれば、色々面白い事が出来る、と考える国家がいくらでもいるわけさ。


原子炉をメルトダウンさせて自分は飛んで逃げられるかもしれないし、もし脳細胞に鳥の糞でも透過させたらどうなるよ?

バチカン教皇だって、1万人の面前で暗殺できる。

まー、頭の良い人間なら、利用法は色々思いつく玩具なんだよ」


僕を玩具と思っているのか、と誠は微かに憤慨したが、しかし正直誠は自分は弱いと判っている。

能力を上手に使うアイデアなら教えて欲しい気もした。


「で。

どう思うんだい、昨日の襲撃は?」


誠は頷いた。


「待ち構えられていたのは確かです。

3階に銃を持った男を配置して、裏の公園ではタイミングを合わせて男女複数のグループが花火をして銃声を誤魔化しています。

そして湿度使いの影繰りはライフル男を警戒させておいて、僕の背後から的確に僕を襲っているんです。

僕の行動をよく調べていますから、何日も前から僕を狙っていたのは明らかです。


ただ爆弾騒ぎのせいで帰りは11時過ぎになっていました。

普段なら7時か8時には駐輪場に行くはずでしたから、銃を持った男は3階で酔ったふりをして4時間もああしていたんでしょうか?

管理人もいる駐輪場ですし、防犯カメラもある訳ですから確認する必要はあると思います」


アクトレスは頷いて、


「カメラは昨日のうちに確認している。

銃の男が現場に来たのは10時30分頃、つまり敵はお前の浜松町での行動も監視していた事になる」


「と、すると爆発事件との関連も考えられますね」


「今のところ、爆発事件の方は進展はない。

お前の首の賞金のために品川駅を爆破する、と言うのも少し首を傾げるテロ行為だしな」


誠とアクトレスが話していると、電話をかけていた永田が声を上げた。


「爆破犯から声明があった。

ムーンライト号に積んでいた電磁波爆弾が欲しい、とはっきり言ってきたぞ」


「やっぱりマッドドクターがらみだったんだ!」


誠は思わず叫んでいた。


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