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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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125/220

123キス

硬質化した小百合の髪の毛の束が、森に突き刺さった。

誠はハマユさんに視線を落とすが、ハマユが目を覚ます気配はない。


一方。


分銅の通用しないドラゴンは、ギャウッ、と叫びながらレディとカブトに迫っていた。

カブトが、ドラゴンの頭を破裂させる。


ドラゴンは怯むかと思ったが、背後に同様のドラゴンが2体現れ、頭を吹き飛ばされたドラゴンと混ざると、一回り大きなドラゴンになって、二人に襲い掛かった。


ち、とカブトは舌打ちし、


「火に強いドラゴンか。

面倒な相手だな…」


レディは、フフンと笑うと、


「必殺、螺旋分銅!」


三つの分銅を螺旋ドリルに回転させ、ドラゴンに突き刺した。




「…動けない…!」


ツタに絡まれてしまった巨大ロボットだが。


「分離!」


勇気の叫びで、5台の車に戻ると、新たに合体した。


「ツタをビームで焼き尽くすのよ!」


勝気なレイナが叫んだ。


「ビーム発射!」


胸からのビームで、今までロボットに絡んでいたツタは一瞬で灰になる。


だが、ロボットの足には、新たなツタが忍び寄っていた。




誠は、目を覚まさないハマユを見ながら、敵の能力を考えていた。

それは、蛇や蜘蛛と言った生物までを含む、森、のはずであり、また誠たちの周囲を半径百メートルに覆う影なのだという。


それは誠たちの負の感情を増幅させる、ように機能するらしく、レディたちには燃えないドラゴンが、合体ロボットにはツタが襲い掛かった。


ある意味、積極的に攻撃していない渡辺龍たちや戦闘的に相性の悪いユリたちには、今のところ攻撃は無い。


「ぬっ…!」


今まで、唯一快調に森を破壊していた薩摩芋之介だが、彼の動きにも陰りが見えてきた。


切った端から、再生する植物に囲まれてしまったのだ。


まずい。

積極的に攻めた者から、どんどん通用しない新手の攻撃を受けていくようだ。

敵はどうも、受けた攻撃から、それに対して効果的な反撃方法を見つけ、潰しにくるらしい。



だが誠は、ハマユの問題、つまり眠り姫と赤毛男の関係が、頭から離れなかった。

ハマユのバイタルを調べるが、正常に眠っているだけだ。

しっかりと眠っているので、もし目覚めれば、むしろ体の疲れも抜けて快調なのではないか、と想像できる。


だが、揺すっても声をかけても起きないのが、唯一の異常だった。


おそらく赤毛男の力と推察は出来るのだが。


これが可能なら、全員をこうしてしまえば、一瞬で赤毛男は勝利を得られる。

おとぎの国を包み込んだ大森林だ。

おとぎの国の存在も消してしまう、全てを飲み込む森なのだ。


そうしない、という消極的な理由だったが、たぶん眠り姫とハマユさんの眠りは関係があり、たぶんハマユさんを目覚めさせられれば、この影も攻略できそうな気がするのだが。


「もう!

さっさとキスしなさい!」


美鳥が叫んだ。

美鳥の蝶では森にダメージを与え得ないので、美鳥は周囲の探査を続けていたが。


敵の正体は未だ、発見できない。


「ハマユちゃんが目を覚ませば、きっと何か変化があるハズよ!」


「え…、いや、そんなおとぎ話みたいなことが…」


誠は驚くが、


「案外、そんな感じかもしれないぜ」


と轟兄弟の大が、変に頷きはじめた。


「とにかく、やってみろよ」


と良治は、周囲の状況を無視して、面白がっている。


「ま…、誠っち…」


川上は、なにか興奮し始めていた。


し…、しかし、そんな眠っている女の人に、そんなイヤらしい事を…。


誠もつい、赤面し、


「やるのなら早くしてくれ!」


切れない草とも樹とも判らない植物に覆われ始めた芋之介が、声をかけた。


レディたちは、一度はドラゴンを粉砕していたが、壊れたドラゴンから、新たなドラゴンが生まれて、包囲されていた。


ゴクリ、と誠は唾を飲み、ハマユに顔を近づける。


ハマユさんは、身長は大柄だが、顔は小顔で、小動物のようで美しくチャーミングだ。


戸惑いながらも接近した誠だが、不意にハマユさんが目を開いた。


驚いた誠に、ハマユさんが抱きつく。


ハマユさんは、レスリングでも柔道でも推薦が取れる程の身体能力の女子だった。

一瞬で、抱きとめられる。


危険を感じた誠は、瞬間、透過していた。


その結果か、誠はハマユの精神を見ることに成功していた。

おそらく治癒を可能にしたのと同じ、透過したうえでの融合、が誠とハマユを繋げたのだろう。


なるほど…。


不安を感じ取り、反撃する森…。


考えれば、その種子は、確かに相手の精神の中にこそあるハズだった。


ハマユの精神は、すがすがしい森であり、山であり、渓谷であり、脈々と川が流れ、花も咲き、蝶が遊び鳥が歌う場所だった。


そこに巣食っていたのは、おそらく蜘蛛…。

蜘蛛的な形態をしていたが、足がゲジゲジのように何百も伸びたおぞましい怪物、赤毛男だった。


しかし、人の精神の中で、戦ったりして大丈夫なのだろうか?


と、誠は不安になったが、ここまで来て引き返すわけにもいかなかった。

なにより、誠は、強靭なハマユさんに首を決められていて、透過を解けば、即座に絞め殺されてしまう。


誠は、蜘蛛を透過し、可能かどうかわからなかったが、現実世界に引き摺り出そうと試みた。










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