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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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赤毛男

青々とした緑の中を、誠たちは悠然と歩いてた。


ここは新宿御苑。

前総理大臣ともゆかりの深い有料庭園であり、現在、むろん閉園していたが、だからこそ誠たちには安全に移動できるルートになりえた。

四谷四丁目の交差点の奥から新宿御苑の塀を透過し、巨木の生い茂る御苑の外周通路を、誠たちは千駄ヶ谷方面に向かっていた。


「新宿には、SNSで集められた影繰りがまだ集結している可能性もあるかるからな。

千駄ヶ谷辺りで高架を抜けて、新宿を迂回して山手通り辺りまで出ちまう方が良いだろう」


渡辺龍がルートを選んでいた。


「だけど、まだ電話がつながらないって事は、Aの作戦もまだ終わってない、って事よね?」


美鳥は、警戒してごく少数の蝶を飛ばしていた。


「死体の運搬、ぐらいなら良いのですが、彼らの行う作戦はテロと変わりません。

あのゾンビたちの事もありますし、まだ続きがある場合もあり得ます」


と誠は言った。

テロとは、政治的な主義主張のために起こした人的災害を言うので、言ってみれば人的災害を引き起こす科学実験ともいえるAの犯罪は厳密にはテロとは呼べない。

ただし、標的になった側にとっては区別は全くない。


「ゾンビなんだけどさ…」


ユリは呟く。


「死体って、この気温だったら数日で腐るよね…」


ユリは、キエフの町で沢山の仲間の死を看取っていた。

死体は腐る。

ついさっきまで生きていても、死と共にただの腐肉と変じてしまう。

ユリの体に染みついた現実だ。


「冷凍保存しているのでなけりゃあ、新鮮なうちに何かやらかすって事か!」


良治が唸った。


「どこを襲うのか…」


ユリコが呟いた。


「影の効かない化物どもで…」


誠は、その言葉で体に電気が走った。


「まさか、内調本部!」


「確かに影繰りの天敵じゃあな。

電磁波爆弾をホムンクルスに言って分解させてたわけだし、筋は通るな」


とレディは頷く。


「しかし、通話が出来ないのよ」


美鳥はスマホを恨めしそうに見つめるが。


「子供は知らんか?

公衆電話?

意外と便利なんだぞ?」


と渡辺龍。


誠たちはピンときていなかったが、バタフライは、


「おそらく駅なら、1つや2つ、あるだろうな」


とにかく千駄ヶ谷駅で、公衆電話なるものから内調に連絡する、ことになった。


「こうしてみると、都心にこれだけの森があるんだから、日本もまだまだ捨てたもんじゃねーな」


と初めて来たというアイチは、かなり御苑が気に入った様子だったが、


「こんなの森じゃ無いべ」


と福は鼻で笑った。


「まー、イノシシも住まないような場所だからな。

森って言うのは、もっと虫だらけで蛇もヒルもウルシもあって、気を付けないと命を失うような場所の事さ。

これは公園だ」


と福の兄、大が語った。

大は、鯛の音からつけられた名前らしい。


「その通り。

同じ気持ちを持つ者がいて、微妙には気が晴れたよ!」


森林の、どこかから声が響いた。


「私は本物の森の愛好者、赤毛男だ!

君達には、本当の自然と向き合ってもらおう!」


言葉と共に、誠たちが立っていたその場所が、見たことも無い密林に変わった。


奇妙な鳴き声が聞こえる、昼でも薄暗い森というよりジャングルだ。


「何の鳥?」


小百合が不安げに言うと、福が、


「鳥じゃ無いべさ。

ありゃあ猿だ」


「相当の規模の森が無いと、猿などはいない筈ですね…」


誠は言うが、美鳥が、


「ただの影よ。

相手の見せたいものを見ない事!」


薄暗い森の道は、下生えの草に覆われ、前進すらままならない。


「勇気たちは変身しとけ」


ユリコが鉄パイプで草を薙ぎながら、指示を出した。


と。


どさり、とレディの頭の上に、何かが落ちてきた。


「うわぁ、なんだ!」


思ううちに、それはレディの腕に巻き付いた巨大な蛇であることが判明した。


「動かないで!」


カブトはレディに指示をし、蛇の頭を、ドン、と吹き飛ばした。


「しかし、これ、どうなってるんだろうね?

道は合ってるんだよね?」


とカブト。

周囲は密林のため薄暗く、方向も判断する材料が全くなかった。


「方位は合っているわ。

この森全てが影で作り出したものよ」


美鳥が、急速に蝶を量産しながら教えた。


「敵の本体は判らないのか?」


良治はナイフを浮かべながら聞いた。


「影を見つかるのを恐れて、蝶を少なくしていたのが失敗だったわ。

今、可能な限り範囲を広げているんだけど、見つからない…」


「随分大規模な影ですよね?

どの程度を森にしているんでしょうか?」


誠の問いに、美鳥は、


「それは大したことは無いわ。

きっかり、私たちを中心に半径100メートルだけを森にしているのよ」


誠たちが、1歩進めば、森もそれだけ動いているらしい。


「じゃあ、敵はこの森の中にいるの?」


小百合が、気味悪そうに言った。


「たぶんいるだろうぜ。

俺をちゃんと見て、頭の上に蛇を落としたんだと、そんな気がする」


レディが憤懣の表情で語った。

女装はするが、小柄な事を侮られるのは、レディは我慢ならないのだ。





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