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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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115/220

113赤いドレスの女

「兵隊か。

そう言うのは僕に任せて!」


カブトは薄く微笑み、極小の火の玉を口から20ほど掃き出し、兵士に向かって飛ばした。


川上は、カブトの背後から飛び出し、凄い速度で走り出した。


兵士が銃を撃つが、全く追いつけない。

心なしか、足の形が変わっているように見えた。


美鳥の瓦礫に着き、


「奥、エンジン音がしているッス!」


と話した。

扉から、なにか戦闘マシンを出してくるつもりらしい。


美鳥の蝶越しに誠も聞いた。


本物の戦車や戦闘ヘリが出てきたら、さすがの合体ロボも分が悪い。


誠の体は颯太が戦闘しているので、誠は影の目で巨大扉を透視した。


奥では、最新式の戦車が3台、唸っていた。


透過で地中深く落とすか、とも思ったが、それでは別の何かを出されるだけだ。


赤い服の女の頭上を見た。


上は、岩盤のようになっているが、透視で見ると、鉄骨が入っているのが判る。

コンクリートで岩を偽装しているのだ。

なぜ、わざわざそこまで手のかかる事をしているのか?


おそらく、ここは崩れては困る部分だからだろう。


誠は、影の手を伸ばして天井まで透過して、コンクリートに接近した。


かなり大きな部分だが…。


およそバスケットコートほどのコンクリートの塊を…。


真子の力で切断すると、そのまま透過で落とした。


元の、誠の透過能力で、ここまで巨大なものの透過は出来なかったが、真子の切断が加われば可能だ。


バスケットコートほどのコンクリートの塊。

およそ20トンを超える巨大な、石灰と砂と砂利の混合材である疑似岩石が、戦車の上に落下した。


戦車は、盛大に真っ赤な炎を上げて爆発した。


誠は、すぐに皆の元に戻ろうとするが。


「つーかまえた♪」


戦車を潰したコンクリートの上に、赤いドレスの女が立っていた。

とてつもなく美しい女性だ。

女は、ふっ、と艶やかに赤く濡れた唇で、柔らかく笑った。


しまった…。


誠は、不意に強烈な眠気を感じていた。


これが…。

箱の影か…。


赤いドレスの女は、天使のように微笑みながら、手に持った筆箱ほどの箱を、ゆっくりと開いていった。

そこから、えもゆわれぬ芳香が立ち上っているように、誠は感じた。


あそこに行きたい…。


その思いと、


駄目だ、逃げなきゃだめだ…。


という、誠の理性が戦闘を始めた。


が、理性はどんどん、サラサラの砂に吸い込まれていくように、眠気が誠の全身に染み込んでくる。


意識が遠ざかるが、誠の体は横に飛んだ。


「なに!」


ドレスの女は叫んでいるが、どうやら、颯太が体を動かせてくれたらしい。


誠は必至に眠気と戦い、美鳥の横に影の手を伸ばして、岩を透過した。


が、眠気は去らない…。


まずい…。

このままでは岩の中で、透過が切れてしまう…!


岩の中を泳ぐように進みながら、誠は焦った。


もう、眼を開いていられない…。


赤いドレスの女の催眠能力は、とてつもなく強力なものだった。


誠は、岩の中で透過が解けかかるのを感じていた。


岩に、埋まる…。


空気のようであった岩が、水のように抵抗を持ち、やがて泥沼のように粘り始め、やがて体を動かすのも辛いほどの固形物になっていく。


だめだ…。

もう、全てが固まっていく…。


もう、土を変える事が出来ない…。


だが…。


不意に誠は思った。


もっと柔らかい物なら…。


誠は、自分の体を透過させた。


そう、今まで誠の透過は、誠に触れる外部の物体を透過させていたが、実は同じ事は、もう一つ、別の条件で発動できるはずだった。


自分の体が、が透過できる体になればいい。


そしてそれは、颯太なら楽にできる事だ…。


「おう、誠、ついに俺の次元まで来たな!」


何という事は無かった。


つるり、と誠は岩の間を滑り、大扉の外に出た。


あれ…。


眠気が無い…。


自分自身を透過物にする事で、ある種、物理現象ともいえる相手の影能力から、誠は逃れ得たらしい。


だが、巨大扉は開かれていく。


そして、どうやらヘリコプターのローター音が、扉の中から聞こえ始めていた。


メチャクチャな!


戦闘ヘリは、対物ライフルより強力な機関砲を供えており、またミサイルも搭載可能だった。


巨大ロボットは、大きさから言っても、まず第一の攻撃目標になるに違いなかった。


何とか破壊しなければ!


誠は、岩壁に影の手で貼り付いたまま、焦るが。


敵、兵士の数が一直線で減っていく。


シュー、と瓦礫を巻き上げて滑ってきたのは、バタフライだった。


「兄貴!」


「バタフライ!」


良治とユリが喜んだ。


その背後で、巨大な男が、スタスタと歩きながら、兵士を切断していく。


「おー、芋之介、生きてたか!」


渡辺龍が笑った。


「福ー!」


「兄ちゃん!」


誠たちは歩いていなかった新宿通り北側に、三人はいたらしい。

通りが崩落した際に、かなり激しいシャッフルが穴の中で行われたらしい。


が、扉が、ドカンと爆破された。


内部から、1両の戦車が、キャタピラ音も猛々しく、猛獣のように現れた。


どうやら、誠が潰した3両が戦車の全てではなかったようだ。

戦車は、自らヘリコプターが発進するための穴を主砲であけてから、木戸を車体で押すようにして、戦場に巨体を現した。


工事用の重機に比べても、なお1回り巨大な、鋼鉄の塊だ。


そして最新の戦車は、コンピューター制御で瞬時に砲塔を移動させる。


むろん合体ロボットが、そのターゲットになった。


まずい!


誠が焦った瞬間。


薩摩、芋之介が、剣を一閃させた。


おそらく、M-1エイブラハムと思われる最新戦車が、砲塔ごと、斜めに切れた。














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