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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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9拘束

まさか、生きてるときもお金を脅し取ろうとしていたが、死んでも憑りついた挙句、ゲームが欲しいとか言い出すとは思いもよらなかった。


が、誠は現在、疲弊していた。


卒業式が終わってからずっとアクトレス教官に本気モードでテストをされ、さらに桜庭学園で川上と対戦し、今は水中メガネの影繰りに殺されかけたのだ。


「…判った。

ゲームは買ってあげるよ…。

でも1つだぞ」


「おー、お前、最初からそうだったら、俺たちほんとにマブくなれたのにさぁ♪」


もしかすると、誠は松崎颯太を誤解していたのかもしれない。

なんだか今話している松崎は、至ってお気楽な奴だった。


「お前、でも色々悪い噂があっただろ?

虐めをしてるとか…」


「そーなんだよ。

俺っち、兄貴と違って弱いじゃん?

だから、強いんだぞ、って見せねーとさ、ただのバカじゃん?

秀才の誠君には判らない苦労があるのよ」


誠は口ごもった。


「必死に生きていただけなの、か?」


アハハ、と影は笑って、


「そう深刻ぶるなって。

今、俺はパッピーなんだから、それでいいじゃん!」


人間、死ぬと色々吹っ切れるものらしい。

松崎颯太は、ほとんど別人格だった。


「でもアレを覗かれるのは、ちょっと嫌だ…」


「馬鹿言うなよ!

お前、あれは物凄い大切な事なんだぞ!

俺ちゃん、今やお前を通してしか、体験できないんだぞ!

毎晩どれだけ楽しみにしているか!

なのに、お前ときたら、たまに疲れてサボる時があるだろう!

俺は断固、1日1回はすることを要求する!」


幽霊の松崎颯太は糞真面目に頼んでいた。

どうやら、それを馬鹿にするとか、そういうものではないらしい。

誠は、影を見つめた。


「どっか、よその人に憑けばいいだろ?

僕ぐらいの年頃なら、誰だってやることだ?」


影は俯いた。


「駄目なんだよ…。

お前ぐらいシンクロできる肉体は、多分この世に2つと無いんだよ。

まぁ、見るだけならできるよ。

でも、肉体が無いと、全然つまらないじゃん?

俺っち、本当に霊体だからさぁ。

こんな、影の肉体とかある奴だってお前しかいないし、他の影繰りじゃ、蝶もカラスも使えないんだよ」


「え、まさか、あの人たちにも憑りついてたのか?」


「うん。

でも、他の影繰りは居心地が悪いんだよ。

お前と俺っちはベストパートナーな訳さ。

ね、だから、仲良くしようよ!」


今度は縋り付いてきた。


はぁ、と誠は溜息をついた。

そもそも、誠が殺してしまった魂だった。


「もしかして、僕が寝たとしても、颯太が起きて見張っていてくれるか?」


「それだ!」


と影は喜んだ。


「それ、してやるから、俺のお願いは聞いてくれ!」


確かに、頭は全く松崎颯太のようだった。


誠は、寝入りながら呟いた。


「じゃあ、頼むぞ…」


誠は消えるように寝入った。


思いのほか、深い眠りに入っていたらしい。


「誠! 誠!」


と影に揺すられ、目を覚ました。


「ん、何分ぐらい寝たんだ?」


誠の問いに、颯太は、


「14、5分だ。

俺っち、幽体で見張ってるけど、お前が起きないと戦闘力は無いからな、悪いけど起こしたぜ!」


誠は目をこすり、


「謝んなくても良いよ、颯太。

どうしたの?」


「ああ、誠。

あのライフル男が逃げそうになってるぜ」


あ、と誠は気が付いた。

3階から落としたライフル男のことなど、すっかり忘れていた。


透視をしてみると、男は相当体を痛めている様子だったが、階段に体を預けるようにして降り、1階にジリジリと降りて来ていた。


「武器は持って無いのかな?」


調べてやる! と颯太は誠の肉体から離脱した。


言われなければ判らなかったが、それと判れば、颯太が抜け出したのが誠にも感じられた。


透視で男の動きは判ったが、さすがに幽霊は見えない。

変に見れても困るだけだが…。


男は、黒いパーカーを着た少し太めの男だった。

歳は30代も半ばぐらいではないか。

おやじになりかけ、贅肉が付いたがまだ自分では若いつもり、といった風だった。


ふ、と颯太が戻ってきた。


「大丈夫だ、誠。

奴は丸腰だ。ポケットにはスマホと財布があるだけだ」


誠は自分の体を動かしてみた。


やれるだろうか?


だが、奴を逮捕できるのと出来ないのとでは、今後の対応が全く違った。


誠は透過してプレハブ小屋を忍び出ると、足音を立てずに走り、鉄階段を透視で見、射程距離まで走ると、男を落とし、コンクリートに首だけ出すように拘束した。


と、管理人が窓から顔を出して、叫んだ。


「坊や。

お迎えが来たようだよ!」






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