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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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幽霊

「いいかい、お前は命を狙われたんだ。

すぐ本部に来るんだよ!」


アクトレスが怒鳴っていた。


「でも着替えと洗濯があって、一度、家に戻らないと…」


「自分の家族まで危険に晒すつもりかい?

着替えなんていくらでも買ってやるし洗濯はしてやる。

そのまま本部に来るんだ。

すぐに車が付くから、大人しく乗るんだよ!」


誠は、判りました、と答えた。

スマホが濡れてしまったが、軍事用のスマホなので銃弾が刺さっても動いていた、らしい。


しかし、よく考えたら自分の汗だらけのYシャツなんて、母さん以外の人に洗われるのは恥ずかしい。

でも、まぁ洗濯機はあるし、財布もキャッシュカードもクレジットカードも持っているから問題は無い。


だが、駐輪場の管理人室と言うのも、いたたまれない場所だった。

老人は良い人だが、寡黙で、ラジオばかり聞いていた。


「おい…」


その声が聞こえた時、誠は臍を噛んだ。

老人と、弱った影繰りがプレハブ小屋に詰めているのだ。

再襲撃を受ける可能性は十分に判ったはずだ。


「おい、そうじゃねーよ…」


誰かが、声を潜めて喋っている。


ふと顔を横に向けると、なんと影の体が、人間一人分、誠の隣に座っていた。


「な…、なんなんだ…!」


誠は驚愕し、問かけた。


「へへ、当ててみろよ、俺が誰かさ?」


影は、特に表情は見えないが、とても陽気そうだ。


「なに? 

幽霊的な物なのか…?」


誠は懐疑的に質問した。

本当はそういうものが怖いのだが、懐疑派を気取ることにしていた。


「おー、お前勘が良いな。

その通り、俺は死んでいます。

去年の11月に死にました。

さあ、俺は誰でしょう?」


「…僕の知っている人?」


「イエース、イエース。

君のマブダチです?」


誠にかつて、これほど気安く話す友人はいなかった。


「いや、僕に友達なんていないから…」


「おいおいブラザー。

俺の花を見て、泣いてくれていただろう。

君の心の友達、松崎颯太だよ」


誠は影の顔を見、そして…。


「えー!

何だよそれ!

君が僕の友達な訳ないだろ!

僕は君を殺したんだぞ!」


アハハ、と影は笑った。


「殺されたことなんて、俺っち1ミリも恨んで無いのよ。

どうせ下らねー高校に行くのもウンザリだったしさ。

兄貴はヤンキーだし、足くせーし、俺は馬鹿だしさぁ。

まー小田切君は幸せそうだな、って、ちょっと羨ましくなって突っかかったが、返り討ちにされた。

それはそれで、良い訳よ。

お前の体の中に入って、結構快適だったし、お前、女の好みもまーまーだし」


「ちょ!」


誠は卒倒しそうになった。


「まさか、アレまで!」


「もう少し長持ちしてくれると極楽なんだけどなぁ…、ま、お前は毎日疲れ切っているから、仕方ないと思うよ。

お疲れ様」


何となく、松崎颯太が上機嫌な理由が判ってきた。


「じゃあ君は、僕の中で、のんびり幽霊ライフを満喫している、って訳なのか?」


「まーね。

好きな時に遊びに行って、好きな時に帰って、トレーニング中とかは女の子とか見て、君が疲れて寝ちまったら、ほら、この体でスマホを見たり、ゲームをしたり朝まで楽しく遊ぶのさ」


誠は頭を抱えた。

が、すぐ顔を持ち上げ、


「それが、何で急に自己申告を始めたんだ。

黙って極楽生活を続けていればいいじゃないか?

僕がお寺や神社にお払いに行かない、とでも思うのか?」


「思うから出て来てやったんじゃない。

俺っちを思うさま使えば、お前はもっと強くなる。

俺様を頼れ、小田切誠!」


影は椅子にのけぞって高笑いをした。


「え、どういう意味?」


「だから、お前ひとりじゃあ命の危険があるときにあれだろ。

俺っち運命共同体として、手を貸してやる訳さ。

さっきみたいに」


「さっき?」


「そうさ。

居眠りしている管理人を叩き起こして助けたんだよ、お前の事。

だからさぁ、ゲーム買ってくれよ~」


影の松崎颯太は甘え始めた。


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