100シド
「え、…なぞなぞを出すの?」
少女はニコニコと、
「いろいろな問題を出すのだ!
でも、君ってきっと、こういう柔らかい問題が良いかなぁー、と思って!」
両手に不気味な操り人形を嵌めて、喜んでいる。
「ああ…、そうなんだ…」
とても嬉しそうなので、真子はそれで納得することにした。
雨上りに出る棒…、なかなか、意表を突いた問いではあり、戦いに感情が高まっているときに言われると、え、となってしまう。
棒ね…、と真子は考え、
あ…、ぼう…、か…。
たぶん、これだろう…。
「答えるよ?」
少女は両手の人形と共に、うんうん、と頷いた。
「れいんぼう…」
「あったりぃー!」
何処から出てきたのか、人形の口からクラッカーがパーンと鳴った。
少女はキャアキャア喜んで、
「次行く?
次も、行くよねぇ!」
「人は解放したのか…?」
真子は聞いた。
「うん、ほら…」
少女は、魔女らしい人形を、ぺろ、っと取った。
「もう、これで大丈夫だよ!
ね、次の問題っ!」
せがむ少女に、真子は苦笑しながら、
「判った。
次を聞かせて」
ひょう~、と少女はジャンプし、
「じゃあね、じゃあね!
空より高いところは何ていうんでしょうか?」
また、なぞなぞか…?
それとも、宇宙とか言い出すのだろうか?
答えが、2つある、という場合も考えられた。
「それ、なぞなぞだよね?」
真子は聞いた。
んふふ、と少女は嬉しそうに笑い。
「意地悪はしないよ。
なぞなぞ。
当ててみて!」
真子は、そのなぞなぞは知っていたのだ。
ド、レ、ミ、ファ、の次が、ソ、と、ラだから…。
「シド…」
少女は息を飲み、きゅー、と体を丸めて溜めてから、
「大当たりぃー!」
何が大きく当たったのか、まるで判らなかったが…。
「じゃあ、シドに会って来てね!」
いう少女に、へ、っとなった真子、いや誠は、不意に自分が、空より上にいる事に気が付いた。
周りは夜のように暗い。
宇宙である。
そして、足元に真っ青に輝く地球が見えている。
「君が、小田切誠か…」
シド、であろうものは、よく美術室などに飾ってある石膏像、のように、誠には見えた。
ただし、月のように大きい。
「え…っと、あなたは影繰りなんですか?」
とてもそうは見えないが、誠は聞かざるを得なかった。
「影繰りではないが、君たちと縁が無い訳ではないのが私だ。
今は、君に話すことがあった。
聞いてくれればいい。
一人は破壊にしか興味が無く、ついに己の肉体を破壊した。
一人は経済活動にしか興味が無くて、己の最も大切なものまで売り払った。
一人は戦いにしか興味がなく、かたきと信じる物との戦いを切望している。
一人は殺しにしか興味がなく、いつか己が殺されることを切望している。
だから君は、己が内のクシャラを発見しなければならない。
穴から出たら、もう、彼らは動き出す。
だから猶予は無いぞ」
誠は、
「じゃあね、また会おうね!」
という人形遣いの声を聴きながら、ビルから落ちていった。
誠は落下しながら、なんだ、クシャラって?
と首を捻っていた。
(なあ誠?)
颯太が話しかけてくる。
(今、考えているんだけど!)
むっ、と文句を言う誠だが、颯太が、
(お前、今、スカート履いてるんだぞ。
パンツ丸出しだぜ)
うわ、と誠は慌てて空中で態勢を変えて、パンツを隠した。
そして影の手で地面を掴んで、フワリ、と地表に降りた。
美鳥たちは、既に人形遣いの支配を逃れて、呆然と立っているようだった。
「誠、人形遣いは殺したのね…」
誠は、
「あ、いえ…、謎を解いて、2人を解放しただけです」
「謎…、あの難解な問題を解いた、というのね…」
違う問題を出されたのだろうか?
まぁ、少女も色々出す、とは言っていたが…。
「それよりも、俺の話を聞くぎゃ!」
と、真子の腹から、ホムンクルスが出てきた。
「え、君、そんなところに入っていたの?」
驚く真子に、
「お前が引っ張ったのぎゃあ!」
とキレた。
「レディさんが、どこかにいるんだったね」
真子が頷くと、
「そうぎゃ!
すぐに来るが!」
と急かすが…。
まだ、福と良治とユリが動けなかった。
真子が話すと、
「そうなのね。
透明人間…。
なら、探してみるわ…」
美鳥が大量の蝶を周囲に広げ始めた。
透明人間が生きた人間であれば、美鳥が何らかの痕跡を掴める可能性が高い。
勇気は、義郎に他の仲間の事を聞いていた。
「俺は、途中までハマユさんとレイナと一緒だったんだよ。
だけど、変な人形遣いが現れて、捕まってしまったんだ」
「美鳥さんは別行動だったんだ?」
「うん、あの人は俺を助けようとして、謎が解けなくって…」
「どうも…」
美鳥が話し出す。
「その辺りには、思うより多くの人間がいるみたいよ…」
真子たちは、福が立っている方向を見た。
「5人の人間の存在を確認しているわ…」
「5人!」
真子は驚いた。
確か勇気が3人に見える、と言ったので、3人という事もあるかも、と考えていたのだ。




