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シャドウダンス3魔弾の射手  作者: 緑青ゆーせー
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99人形遣い

え、あのホムンクルスは確か本部に預けた気がしたが…。


ただ、途中、レディさんが手にしていたような気もしていた。

忙しく事が進んでいたので、あまり鮮明には覚えていない。

しかし、あのホムンクルスが美鳥さんを操っているのだろうか?


真子の肉体は颯太が操り、互角の戦いを続けている。


いや、むしろ僅かではあったが真子が押しているのかもしれない。

しかしおかしい。


颯太は、何しろ馬鹿なので、全く美鳥の蝶に気を払っていない。

むろん美鳥さんが、真子がそんな訳が無いのを頭に入れていて蝶での攻撃を躊躇しているのかもしれなかったが、蝶で攻撃してこその川瀬美鳥なのではないか?


いや、もしかすると美鳥は完璧に操られている訳では無いのかもしれない。


蝶で攻撃するのを控えているのか、又は美鳥をコントロールしている人間が美鳥の力を理解しておらず、蝶を使わずにいるのかだ。


だが、今、真子がすべきは、颯太の心配ではなかった。



真子は影の手を伸ばして、頭上高い、逆さまに土に埋まった真っ赤な日産車の窓に潜んだホムンクルスを掴んだ。


「おい、どうしてお前がここにいる」


腕から、真子は喋った。

影の目もあるように、影の口もあるらしい。


「俺はお前を探していただぎゃ!」


「どうしてここにいるのか、って聞いているんだぞ!」


真子は責めた。


「あの、背の低い餓鬼の体の中に、住んでいたのぎゃ。

奴は、協力すれば、自分に住まわせてやる、って言ったぎゃ!」


確かに、レディさんなら言いそうな事だった。

ホムンクルスは、生きた肉体の中に住みたい影で、前はマッドドクターの体の中に住み、良いように使われていたらしい。


だが、マッドドクターが若返りはじめ、当人いわく、気持ち悪くていられなくなった、との事だった。


ホムンクルスは不器用な影だが、しかし影だけの独立した存在なので、ヨロヨロとではあったが独立して隠密行動をとる事が出来た。


体も小さく、元々影なので、偶然誠が潜入中に独り言を聞かなかったら、今も内調内で電磁波爆弾の解体を、コツコツ続けていただろう。


「それで、レディさんがどうかしたのか?」


レディさんも、それを便利に思ったのだろう。

体の中に飼う事にしたらしい。


「奴の連れが敵に捕らわれてしまってるぎゃあ。

お前を探して連れて来いと、言われてたぎゃ!」


殺されずに、捕らえられた、となると、Aが探している能力者だったのだろうか?

だが、連れが誰だかは判らない。

カブトか川上か、とは思うが、あの状況では見知らぬ第三者である可能性も高かった。


「誠!」


美鳥の蝶が、真子に話しかけてきた。


「美鳥さん!」


「私の体は、あの子供と共に人形遣いと呼ばれる影繰りに操られているのよ。

奴は片手で一人の人間を操れるの…」


なるほど、だから2人を操っていたのか!


「人形遣いは、どこにいるんですか!」


美鳥の蝶が、真子の耳を離れて、天井に向かって飛んだ。


そこには、道に倒れ込んだビルが横倒しに新宿通りにパックリ開いた大穴を塞いでいたが、その窓から、両手に五本の指で操るタイプの、手袋型の操り人形をハメていた。


あれか…。


すぐに倒しに向かいたいが、それだと美鳥が福やユリを襲う事になる。


「真子姉ちゃん!」


勇気が、超高速で、真子の元に走り寄ってきた。


「ユリコ姉ちゃんと戦ってるの、義郎なんだよ!」


どうやら探していた仲間らしい。

言われてみれば、勇気のコスチュームとそっくりだった。


「勇気君、この女の人は僕の知り合いなんだ。

怪我させないように、戦ってくれる?」


「うん。

それは良いけど、姉ちゃんは?」


真子は、頭上を見た。


「僕はその人と義郎君を操っている、悪い人形遣いを倒しに行くよ!」


真子は影の手を伸ばし、横倒しのビルまで一気に登った。


人形遣いは、驚愕の表情で真子を見ていた。


左右の手にはめている操り人形は、相当に薄汚れた、海外製の物のようで、鼻や頬骨が高く出ていて、普通に見るとかなりグロテスクだ。

おそらくその国の物でも魔女とか怪物の類だろうと思われた。


真子はビルに透過して、横倒しになった部屋に飛び込む。


あの爆発的な大崩落でビルが原形をとどめているのは、意図して穴の蓋をする目的があったのかもしれない。

おそらく、相当に強度を強化しているに違いなかった。


と、同時に、室内には何の家具調度品も置かれていなかった。

そう言ったものがあれば、転倒したはずみで窓を割ったり壁を破壊したりしそうだが、そこは全く、空のオフィスビルのようだった。


床は毛足の短いカーペット張りであり、壁や天井は白に近い既製品で作られている。


「もう、君って反則だぞ!」


操り人形を両手にはめた人物が、腰に手を当てて真子に抗議した。


白いふわふわしたワンピースにカラフルなボタンが沢山付いている。

少女だった。

白い、おおきなブーツを履いて、ピンクの髪飾りをつけた、真子と変わらない年頃の少女だった。


「美鳥さんを解放しろ!」


真子は言うが、少女はピンクの髪飾りで飾った、長い髪を撫でながら、


「別に、開放しても良いよ」


と視線を逸らす。


「だけど、それは僕のゲームをして、勝ったらだよ」


どうも、普通の戦いとは、ちょっと違うタイプの敵らしい。


「それを解けなければ、僕の体を貰う、ってことか?」


少女はニッカリ笑い、


「ご名答!

で、どうする、参加する?」


ワクワクと少女は聞いた。


あまり自信は無かったが、しかし仲間を救うためには仕方がなかった。


「参加する」


わおぅー、と喜び、少女は回転して踊りながら、語った。


「それでは、雨上りに出る棒はなぁーんだ?」


ちょっと、真子の考えていたタイプの問題とは違ったようだ…。



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