48話 ガリズバリー辺境伯①
サンドライト達は、サガンのギルド支部を後にして、ガリズバリー辺境伯領主館に向かった。
2日程で領主館にたどり着き、領主館前に居る衛兵にグルバリア連邦王国国王、ロザリアセベス2世の未開封の書状を渡し、その後応接室にサンドライト達5人は応接室に案内され、ガリズバリー辺境伯と謁見した。
ガリズバリー辺境伯は、サンドライトが想像していた大柄で屈強な感じではなく、一見物腰のやわらかそうな華奢な47歳の体調が思わしくなさそうな顔色の男性であったが、瞳の奥には鋭い光があった。
サガン国はグルバニア連邦王国の属国で、属国になってからはサガン国に王は居るがあくまでも象徴的国王制で、政治的実権(内政、外交、軍事)は剥奪されている。
毎年、グルバニア連邦王国で決めた国王費、王宮人件費でサガン国王一族の生活、運営が賄われている。
サガン国で個人で実権を持っているのは、サガン国ガリズバリー辺境伯家だけである。
基本内政はサガン国政府が評議会で決議を取り反映されている。
ガリズバリー辺境伯は、東大陸、南大陸からの軍事進行を長年抑えおり、サガン国がグルバリアの属国になっても、辺境伯の願いで、サガンの国王制は廃止にならず、象徴的国王制となった。
故に、象徴的国王制で政治への干渉は出来ないが、サガン国王は本当に辺境伯に裏でも一切干渉していない。
辺境伯には、23歳の長女、21歳の長男 19歳の次男 の3人の子供が居る。
子供3人は共に、両親と同じ、金髪、ブルーの瞳だ。
婦人は病気で1年程床に伏し半年ほど前に亡くなった。
辺境伯に妾、愛人は居なく妻は婦人1人を愛した。
長女のクロエは辺境伯領の騎士団の副団長をしている。身長178cm 独身
長男のタルエルは辺境伯領地で父親の下で、政務次官補佐をしている。身長173cm 独身
次男のエミリオットは辺境伯領地で父の下で、政務官補佐をしている。身長176cm 既婚
サンドライト達5人は辺境伯と挨拶を交わし、お互い席に付き話をし始める。
サンドライトはガリズバリー辺境伯領地に開拓民として移住をしたい件。
開拓地で戦争未亡人、孤児、怪我などでリタイアした元兵士、戦争等で怪我をし仕事が見つからない平民が働く事が出来、明日の食事を心配しないで暮らせる場所を辺境伯領地に作りたい事を話した。
辺境伯はサンドライトが渡した、ロザリアセベス2世の書状内容を思い出しながら話を聞いていた。
辺境伯は5人を見ながら話をしていたが、サンドライト、ブラーセル、キュウレリーに視線が行ってしまう。
「この3人は何なんだ、ワシが気負けしてしまうとは」
「ブラーセルと名乗る初老の男、キュウレリーと名乗る幼女、この二人はワシに死を感じさせ、背筋が寒くなるそら恐ろしい気が出ている」
「目の前に居る、アレクサンドライトと名乗る少年は、ワシに死を感じはさせないが、あの2人とは明らかに違う強大な気を感じる。ワシが頭を下げた、ロザリアセベス2世国王様を遥かに超える高貴に満ちた気を感じている、一体この少年は・・・」
辺境伯の心のつぶやきが止まらない。
辺境伯は、アレクサンドライトに両親の事を聞いた。
両親が、自分が生まれる前に西大陸からランズベルク国に移住したこと。
父親がグルバリア連邦王国と対立している南大陸のゼフト共和国との戦争で3年以上前に亡くなってる事。
母親は、故郷で、小さい規模では有るが、戦争未亡人十数人が働く工房を経営している話をした。
「アレク君のご両親のお名前を拝聴出来るかな?」
「はい、母はエイレーネ、父はアレクサンドロスです」
辺境伯の問にサンドライトは答えた。
ロザリアセベス国王の書簡にサンドライトの親の可能性の有る人物として書かれていた、西大陸2大大国の表舞台から消えた、第1王女エイレーネ・サルザール、第2王子アレクサンドロス・セルベスの名前がサンドライトの口から出た。
辺境伯は両親の名前を確認して驚いたが、敵対する両国の紋章の付いた、カチューシャとバングルを身に着けている時点で、目の前に居る少年は事態の大きさを知らないのか、隠す気がないのか、意図は解らない。
ただ、目の前の少年は、自分の開拓地に開拓民として移住を希望してきている事。
自分の素性を隠す気持ちは無い事。
自分の理想の街を作りたいという意思を持っている事。
実際、故郷で成約が有りながらも、仕事を作り出してる事。
しかも、ロザリアセベス国王の書簡によると、聖獣様2人を使獣にしている事。
多分聖獣様2人が、目の前の初老の男性と、幼女なのだろうと考えていた。
書状では、ロザリアセベス国王は、この少年を束縛することを禁止していたし、少年の希望は出来るだけ叶えて欲しいと書かれていた。
辺境伯もまた、サンドライトに実際逢い、偉大な気を感じ受け、素直に希望に沿得るようにしたいと考えた。
2時間程サンドライト達と辺境伯が今後の話をしていた時、
「ガリズバリー辺境伯はお体の調子が悪そうですが、【鑑定】で状態を拝見してもよろしいですか?」
「医者、【テラ鑑定】持ちの魔法治療士にも見てもらったが、病名は解らないと言われたよ」
「そうだな、是非お願いしよう」
サンドライトの申し出を辺境伯は断ろうとしたが、書状に 全ての魔法がゼタ級と書かれていたことを思い出し、見てもらうことにした。
サンドライトが辺境伯を【鑑定】で見た所、状態異常で毒に侵されてることがわかった。
辺境伯に伝えた所、一瞬うろたえた素振りが見えたが、直ぐに先程の凛とした雰囲気に戻った。
直ぐにサンドライトは【ヒール】を唱え、辺境伯の顔色は戻り、状態も回復した。
辺境伯は喜びながらも、有る不安がよぎった。
妻が体調を崩したことと前後して、自分や子供達も同じ症状を訴えていた。
もしや流行り病かとも思ったが、領地で同じ症状の人間は居ない。
もしや、家族も全員毒に侵されてるのか?
辺境伯はしばし考え、サンドライト達を教の夕食に招待した。




