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32話 大人の事情①

ポイント、評価、ブックマーク誠にありがとうございます。連載の励みになっています。


その頃、ギルド本部の面談室では、副本部長ズィードとダニエルの話し合いが続いていた。

「話は理解した」

「しかし、信じられん、いや、ダニエル君を信じていないわけじゃないが」

「ズィード副本部長、お気持ちはわかります。私も現に転移を体験しても、いまだに信じれないですから。そのうえ転移の為、彼の空間収納の中に入りましたが、壁が無かったのです」

「明日の朝にはブラックドラゴン様の使獣証明を取りにこのギルドに連れてくるそうです」

ダニエルは複雑な表情で言った。


「まさに規格外な少年だな」

副本部長ズィードは大きなため息をついた。

話が大きすぎる。


ロザリアのギルド長が貴族の子息のパワーレベリング斡旋の件。

自分の好き嫌いでのギルド規定外の理由でのA級冒険者資格剥奪の件。

この件に関する判断は明日、改めて本部長との話し合いで結論は出る。

これは悩む話ではない。適切に処理すればいい案件だ。


アレク周辺に起きたエリザベートが主犯の出来事。

これは、少年への処遇と関係があるから、処遇が決まってからもう一度裁定すればいい。


問題は件の冒険者アレクサンドライトの扱いについてだ。

話では、全ての属性魔法を扱える。その魔法レベルは全てゼタ級。

信じられない話だ。


魔力量も想像できないと言う事だ。

今日1日でも、確認できた使用魔法は、飛行、ゼタ級ヒールを8人に唱え、欠損、重症、あと数時間で死ぬかもしれない人間まで、完璧に傷跡無く治療。トゥバイス山脈のウルフネスト山からリーベンに転移、そして現在2500キロ離れたルブランに転移、しかも今その少年はウルフネスト山とルブランに転移で往復しに行ったそうだ。

それでも魔力切れの兆候が無いという。

正に規格外、化け物級だ。


今回のロザリアのギルド不祥事で、ギルドの一時的閉鎖、恒久的閉鎖か明日の話し合いで決まる。

その場合、所属ギルドが無くなった少年の取り合いが始まる。

私としても、ギルド本部所属にしたいと思う。

しかしそれでは、他のギルド支部が黙っていない。

ダニエル君の話だと、現在少年に今回の件の後始末を任されたランゼム某は、出来るだけ自由にして欲しいと希望している。

ランゼム某は最初は、グルバリア連邦王国内からは出さない方向で考えていたらしいが、2大聖獣様が使獣になっている現在、少年の束縛は危険が多いという判断をしている。

束縛、軟禁、少年にだけ行動制限を掛けるなどは愚策だ。

少年、2大聖獣様が怒ればきっとこの中央大陸は滅ぶだろう。

現に300年前にこの中央大陸は怒った九尾様に滅ぼされる寸前まで追い詰められた。


他の大陸、他国に少年は渡したくない。

しかし冒険者は基本所属ギルドが決まっているが移籍変更に束縛はない。

どこかのギルドに所属さえしていればいい。


ランズベルグ国リーゼ産まれと言う事なので、下手な手を打たない方が良いという手もある。


しかもあまりに少年の情報を複数に知られるのも愚策だ。

馬鹿が手柄欲しさに取り込もうとするだろう。

取り込めるならいいが怒らせたら終わりだ。


少年が、他国に行って、他国の馬鹿が少年を怒らせたらそれはそれで良い。

我がグルバリア連邦王国で馬鹿が現れないとは限らないから、他国に行かせる手もある。

だが他国を気に入り永住された場合は、それはそれで困る。


話が大きくて私の手には余る案件だ。


「トントン」

ズィードが頭を悩ませてるとき、面会室のドアをノックする音が聞こえた。

「入れ」

ズィードが声をかけるとギルド職員が犢皮紙と木簡を持ってきた。


ダニエル君と私が面会する前に、ギルドに残っている職員に、冒険者アレクサンドライトに関する資料があるか確認させた。


木簡は、ロザリアギルド所属 アレクサンドライト A級冒険者 と書かれた在籍木簡だ。


犢皮紙は先日届いたばかりの、冒険者資格剥奪届と冒険者永久除名願いだった。

内容はアレクサンドライトの行った悪事、規律違反、貴族との癒着 一般人への暴行、等20以上の罪状が記載されていた。

除名理由は実力不相当冒険者、パーティーにDランクで加入後パワーレベリングでの不当ランク昇級、 魔法初級でA級パーティー所属 ギルドを長年騙した罪などが色々掛かれていた。


何ヶ所か有るギルドのワイバーン伝書利用でもロザリアからはどんなに早くて15日はかかる。


ダニエルの報告では、1週間前迄はギルドに出入りしている。

報告では今日パーティーの首宣言を受けている。


通常の手続きでは、該当ギルドで当事者に冒険者資格剥奪を宣言し、当事者の冒険者ギルドカード没収し、直ちにギルド本部に当事者の没収した冒険者ギルドカードと冒険者資格剥奪届を伝書で届けるルールだ。


今回の冒険者資格剥奪届だけで冒険者ギルドカードは届いてない。

それ以前にその没収されたはずのギルドカードを持った冒険者が本部に来ている。


ロザリオの冒険者ギルドの行動は、明らかに辻褄が合っていない。


明日エリザベートをギルド本部でも再尋問をする予定だ。


全ては明日だ。



連載のモチベーションのためにも、ポイント、評価等よろしければお願いします。

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