30話 快楽の性女 エリザベート
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「ご主人様ワイバーンを追い払っておいたよ」
「ブラちゃん、九ちゃんありがとう」
「私はランゼムです。ブラックドラゴン様、九尾様、はじめまして、お会いできて光栄です」
ランゼムさんは、片膝をつき、胸に片手を当て、ブラちゃん、九ちゃんに挨拶をした。
「ぼく、良いブラックドラゴンだよ」「うちは善良な九尾なの」
ランゼムは頭の中が混乱していた。落ち着け私、冷静になれ。
アレク君が凄いのは知っていたし、私の予想を上回ってるかもと想像出来ていた。
しかし、まさか、ブラックドラゴン様と九尾様を使獣にしてるとはスケールが凄すぎる。
こんなにも凄い方を、エリザベートを始めロザリアの馬鹿どもは陥れようとしてたのか。
「アレク君、私達の会話がエリザベートに聞こえない様にしてもらえないかい」
「はい」
僕は、風の壁をイメージして【エアー】を唱え、僕たちの周りを風で包んだ。
ブラちゃん、九ちゃんが現れてから、魔物の姿は視界から消えた。
【索偵】を使っても3キロ以内には、魔物の反応はなかった。
ランゼムさんは僕に起きた一連の騒動の話をしてきた。
セシリアから聞いたという状況をランゼムさんが整理して話してくれた。
僕はため息をついた。僕は生前から派閥、出世争いが嫌いだった。
仕事は好きだが、どうも僕は出世欲が無いみたいだ。
「鈴木は鋭いグローバルな視野を持っているが、自分の身の周りは見えてないよな」
上役や同期に、酒の席で毎回言われていた。
そのため、31歳で異例の課長に昇進したが、48歳まで万年課長だった。
部下や、他の部署の上役に、人を疑わなすぎるし、脇が甘いと毎回注意されていたっけな。
だが、僕の良い所でもあるらしい。
ランゼムさんの話は分かりやすく、筋が通っていた。
何より、僕の事を大事にしようとしてる思いが伝わってきた。
この人は信用できる。
「すべてはエリザベートさんが原因だったんだね」
僕がため息をつき言った。
「アレク君、確かに原因はエリザベートだけど、ロザリアの街自体が腐ってるんだ」
「幾ら快楽の性女が動いたとしても、此処まで街全体が同調するなんて馬鹿げてる」
ランゼムさんは苛立ちを隠しきれない様子で言っていた。
「エリザベートは、東大陸で快楽の性女と呼ばれていて、見た目は絶世の美女なのだが、性格が欲望に素直で、自分の欲の為なら何でもする女なんだ」
「噂ではスキル【ハイ魅了】を持っているから下級冒険者は直ぐに虜にされるらしい」
「東大陸の冒険者ギルドで稼ぎの良いパーティーを見つけては加入するのだが、そのパーティーは必ず解散に追い込まれている。かなりのパーティーを解散させてたらしい」
「だから【テラヒール】使いの上級魔法士なのに、B級冒険者にとどまっているんだ」
「流石に東大陸には居れなくなったのだろうな」
僕はランゼムさんの話をかみ砕きながら聞いていた。
「ランゼムさんは【魅了】に掛からなかったんですか?」
「ある程度以上のポーターは状態異常に成らない様に様々な訓練をしてるんだよ。ポーターは常に冒険者の傍に居ないといけないからね。」
「【魅了】系は掛けられると不快な感覚があるからわかるんだよ」
あれ?もしかしてエリザベートさんと居る時何度もピリッ!ピリッ!と嫌な感じがしたのは【魅了】を掛けられてたんだ。
テオドールさんが僕の冒険者資格を剥奪しようとしてる事も聞いた。
今回貴族の子息をパーティーに同行した行為はパワーレベリングと言われ、
下卑な行為として、冒険者には軽蔑されるてるそうだ。
そんな下卑で軽蔑される行為を、ギルド長、ギルドが関わってるのが問題なのだという。
その後も色々話を聞いた。
取りあえず、今後の簡単な行動の概要をランゼムさんが話、皆納得した。
「まずは今回の君にかかわる出来事について一人の大人として謝罪したい。済まなかった」
「今回の後始末私に任せて欲しいが、アレク君には協力して欲しい」
ランゼムさんが、頭を下げてから、僕の目を見て言ってきた。
「はい、こちらこそランゼムさんには迷惑を掛けてすみません」
「ははは、気にしないで欲しい。騒動に巻き込まれたとはいえ私も関係者だから」
僕はランゼムさんを信用して任せる事にした。
「アレク君、カルヴィン、オーウェン、ヒルダ、他の冒険者、街の人々を恨んでいるか?」
ランゼムさんが、聞いてきた。
「恨んではいませんが、許せてもいません。もうあの方々とは関わりたくないです」
それらの対処も私に任せて欲しいとランゼムさんが言ってきたので僕はお願いした。
そして、エリザベートの傍に僕と、ランゼムさん、セルシア、ブラちゃん、九ちゃんの5人が居た。
あくまで先程話した内容は、ランゼムさんさんが、見た、感じた事と、セルシアの話を聞いて推理した話だから、当事者のエリザベートさんと話、真実を確かめる事にした。
最初はランゼムさんが尋問すると言ってくれたけど、、僕が尋問することに決めた。
「ねっ!アレク、私たち恋人同士でしょ。早く体を元に戻してよぉ」
エリザベートさんは、片足が膝より下が無く、もう片方は深く引き裂かれ、腹部も何か所か爪で裂かれた傷を【テラヒール】を唱えたため傷跡が無惨なことになっている。
片手も噛み千切られたのか無くなっている状態だった。
エリザベートさんが僕に話しかけてる間も、何度も何度も、何時もの嫌な感じを受けた。
「エリザベートさん、僕に【ハイ魅了】を使っても無駄だよ、嫌な感じしかしないよ」
エリザベートは驚いた表情をした。
「エリザベートさん、これから僕の質問にハイ、イイエで答えて」
エリザベートは慌てて頭をフル回転させて、自分は被害者と言う設定のシナリオを考え始めた。
「エリザベートさん、僕の質問を全部答えてくれたら、奇麗な元の美しい姿に戻してあげるね」
エリザベートは何度もうなずいた。大体のシナリオは完成したわ。後はこいつを騙すだけ。
「僕、真偽判定の魔法使うから、ハイ、イイエ以外で答えたら、治療はしないからね」
エリザベートの顔がみるみる青くなった。
・・・
尋問の結果、ほぼランゼムさんの推理通りだった。
直接の原因はエリザベートさんだが彼女はギルド反逆罪(ギルドの品位を下げる行為が該当)、テオドールさんも職権乱用、反逆罪(ギルドの品位を下げる行為が該当)、ギルド職員も処罰対象、カルヴィン、オーウェン、ヒルダ、他の冒険者、街の人々は懲罰は無いけど、ランゼムさんが任せてくれと言っていた。
尋問が終わり、ランゼムさんに治療はもう少し待ってくれと言われたので、治療はせずエリザベートを眠らせた。
眠らせてる、エルザべート、カルヴィン、オーウェン、ヒルダ、伯爵子息一行を空間収納に入れて、ウルフネスト山麓の赤い屋根の小屋に移動した。
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