29話 セシリアとランゼムさん
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僕は全力で【エアー】を唱えワイバーンが旋回してる山頂を目指して飛行した。
あと少しだ!セシリアはまだ生きている。
頭の中に聞こえる声は弱弱しくなるが、まだ聞こえてる。
セシリア死んだら駄目だよ!命さえあれば、僕が必ず助けてあげるから!
「セシリア~~~~~~!」
僕は今まで出した事の無い位大きい声で叫んだ!
早く!早く!もっと早く!
僕は【索偵】を唱えた。
余り思い出しくないけど、朝あの場所には僕を含め10人いた。
まだ人間の生命反応は9つある。
まだ間に合う!
目の前に山頂付近が目視できる位近づいた。
セシリアの上に生命反応がある?
セシリアの反応の有る場所の上に、背中を引き裂かれた人がかぶさっている。
その下のセシリアが隠れるように覆いかぶさっている。
この人はセシリアを庇っているのか?男性の顔は上空を見ていたから、目が合った。
まずはこの2人を助けないと。
僕は降下しながら、セシリアの上にかぶさってる人に【ヒール】を唱えた。
ランゼムは驚いた、空からアレクサンドライト君が降りてきた。
「セリシア!セリシア!アレク君が来たよ」
セシリアは息はあるが先程より弱弱しくなっている。
私は驚いた。暖かい光に包まれたと感じたとたん、背中の痛みが無くなり、
かみ砕かれた腕が元に戻ったのだから。
さらに驚いた。セリシアの息づかいがどんどん戻ってきた。
セシリアの噛みつかれた足も、噛み千切られた足も戻っている。
真っ白になっていた顔の色も赤みがのり、何時ものセシリアに戻った。
私は慌ててセシリアの上から離れた。
凄い。今までS級の上級魔法を何度も見た事が有るが、
これ程の効果は伝説と童話でしか知らない。
アレク君が私の目の前に降り立った。
「アレク様助けて」「アレク助けてくれ~」「お、お前、わらわは伯爵家者であるぞ助けるのだ」
周りから助けを求める声が沢山聞こえてきた。
私は呆れて声の方向を見た。
カルヴィン、オーウェン、ヒルダ、エリザベート迄アレク君の名前を呼んでいる。
アレク君がセシリアと並んで立ってる私の前に近寄ってきた。
「初めましてかな?ランゼムです。アレクサンドライト君、治療ありがとう。本当にありがとう」
私は片手を出し握手を求めた。
「僕を名前で呼んでくれるんですか?」
アレク君は驚いた顔をして言った
「当り前じゃないですか、だって貴方の名前はアレクサンドライト君でしょ」
「はい!アレクサンドライトです」
「こちらこそ、セシリアを庇っていただき感謝しています」
アレク君は嬉しそうな顔をして大きな挨拶をしてた。
なんだか私も嬉しくなった。
そしてアレク君と握手をした。
「アレク!アレク!ごめんなさい!私に勇気がなかったばかりにつらい思いをさせて」
セシリアは泣きながら、僕に飛び掛かってきた。
セシリアを庇っていたランゼムさんは、僕をにこやかに名前で呼んでくくれた。
心の霧が晴れていくような感じがした。
「アレク君いきなりで申し訳ないけど、お願いがあるんだ」
「アレク、ランゼムさんは信用できる人よ。アレクの事も全部知ってる人よ、信用して」
セシリアがそこまで言う人なら信用しよう。僕も悪い感じは受けないし。
「アレク君でいいかな?」
「はい」
「君はこれから他の皆をどうするんだい?」
私がこの質問をしたとたん周囲が静まった。伯爵の子息以外は。
「皆を助けますよ。当たり前じゃないですか」
アレク君がにこやかに答えた。この少年は凄いなと思った。
「その事なんだけど、エリザベートはそのままにして欲しい」
「彼女は自分だけ【テラヒール】を唱えて、欠損はあるけど、止血してるから」
アレク君は困った顔をしてると、
「ランゼムさんのお願いを聞いて。きっと何か考えがあるから」
セシリアが、アレク君の手を握って言った。
「うん、わかった。とりあえずエリザベート以外全員治療してくるね」
そう言い残してアレク君は【ヒール】をエリザベート以外に唱えた。
皆の体をアレク君が治療している途中、上空が暗くなった。
先程迄旋回してたワイバーンが雄たけびを上げて遠くに羽ばたいて行った。
その代わり、黒い巨大な龍と金色に輝く九つの尾をもつキツネが上空に居た。
此処に居るアレク君以外者全員が息をのんだ。
私も、セシリアも、他の全員も心から震えてるに違いない。
上空に伝説の、ブラックドラゴン様と、九尾様がいたから。
アレク君が皆を治療して戻ってきた。
「ブラちゃん!九ちゃん!おいで!」
そしてアレク君はとんでもないことを言った。
アレク君がとんでもない言葉を発したとたん
私たちの目の前に、小型のブラックドラゴン様と、普通の狼ぐらいの大きさの九尾様がいた。
「アレク君もう一つお願いしてもいいかな?」
「なんですか?」
「私と、セシリアとエリザベート以外とりあえず眠らせてもらえないかい?」
「うん、よくわからないけど、言うとおりにするね」
アレク君と、ブラックドラゴン様、九尾様、私と、エリシア、エリザベート以外はいま寝てる。
やっと外野が大人しくなった。
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