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26話 漆黒の翼③

ポイント、評価、ブックマーク誠にありがとうございます。連載の励みになっています。


ワイバーンの群れ討伐のためウルフネスト山頂を目指していた。


カルヴィン、オーウェン、ヒルダそれぞれが違和感を感じていた。

自分の身体じゃないと思うほど重いと。


まだ歩き始めて30分経たないのだが、身体に疲れを感じてる。

昨日迄こんな事は無かった。いくらでも疲れを感じず動けた。


毎日サンドライトは、仲間たちと会うと直ぐに身体強化を唱えてた。

当たり前の様に、遠くで皆の顔が見えたら魔法を唱えていた。


サンドライトはわざわざ皆を集めて順番に唱えたりしなかったため、

今では朝皆に身体強化を唱えられてる事にも気づいてさえいない。


移動時サンドライトは後衛なので、後ろから見ていて前衛の誰かが肩を少し下げたり、足取りが少しでも重く見えたら直ぐに【ヒール】唱えていた。

惜しげもなく1日何十回も何百回も唱えていた。

仲間達も、疲労が無くなるのでサンドライトが【ヒール】を唱えたのを理解してた。


今朝はいつもの様に起きてテントを出て、皆に強化魔法を唱える前に、エリザベートに声を掛けられ、そのままパーティーを追いやられた。


正に自業自得。


「エリザベート、俺に回復魔法を唱えてくれ」

「しょうがないわね、カルヴィンは」

エリザベートがカルヴィンに【ヒール】を唱えた。


その様子を見ていた、オーウェン、ヒルダもエリザベートに回復を願い出た。

エリザベートは心の中でため息をつきながら【ヒール】を唱えた。


なんなのこいつ等は、当たり前の様に【ヒール】をこんなに沢山に掛けさせて。

そう思った時、

「エリザベート、疲れを取るため、セシリアやサミエル様、ロレッタさんやトミー君、ランゼムさんにも唱えてあげて」

カルヴィンは皆に回復を掛ける様指示してきた。

まるで魔力は無尽蔵だと思ってるかのように。


実際今迄、サンドライトは四六時中魔法を唱えて魔力切れ等一度もしたことがない。

セシリアは何度か魔力切れ近くまでなった事が有るが、サンドライトが魔力を回復していた。


カルヴィンの指示にエリザベートはムカついていた。

何なの、いくら【ヒール】とは言えこの人数全員に掛けたら魔力が減るじゃない。

それを魔力は無尽蔵人有るみたいな指示、こんな指示他のパーティーリーダーはしないわよ。


「今回は回復唱えたけどこれ以上は魔力を無駄にできないから」

エリザベートは皆に【ヒール】を唱えた後カルヴィン達に言った。


カルヴィンはムカついたが、エリザベートを怒らせたくなかった。

此処まで1週間カルヴィンはエリザベートを抱いていない。もちろん他の女性も。

カルヴィンの理性と下半身は限界に来ていた。


糞虫は少しでも疲れたと言ったら、すぐに回復を唱えてくれた。

ただ、糞虫は【ヒール】、エリザベートは【テラヒール】を使えるから魔法士として格上なのはエリザベートなのだが、ケチ臭くないか。糞虫が使える【ヒール】位ガンガン唱えろってんだ。


それぞれが心に不満を抱えながら、山頂を目指した。


「グルルルグァアアアアアア!」

突然斜め後方からホワイトファングウルフが三頭襲ってきた。


直ぐにセシリアが反応し、【メガアイス】を唱え、三匹の動きを止めた。

何時もなら此処で瞬時に、カルヴィンかヒルダが止めを刺している場面だが・・・

カルヴィン、ヒルダ、オーウェンに何時もの素早さも、力強さも感じられない。


昨日迄の動きはもう何処にもなかった。

昨日迄は、ホワイトファングウルフを1人で1撃か2撃で倒していたのだが、

未だに2人とも1匹も倒していない。


何故だ!剣が切れない!俺の力はこんなものじゃないんだ!

くそ!くそ!くそ!

カルヴィンもヒルダも焦っていた。

何故切り裂けれない。何故剣がこんなに切れずらいんだ!


オーウェンはホワイトファングウルフを盾で押さえつけているのだが、

何時もなら微動だにしない彼が、押されている。

何故だ!何故押さえつける事が出来ないのだ!


カルヴィンもヒルダもオーウェンも、サンドライトが加入するまで道具は自分で手入れをしていた。、サンドライトが加入してからは、風土属性の融合魔法を唱えると1時間以上かかる研ぎ作業が数分で終わるため、サンドライトは自分から進んで皆の道具の手入れを毎日の日課のように熟していた。


この1週間は、サンドライトと、カルヴィンもオーウェンもヒルダもテントが別だったため、研ぎ作業はされてない。


もちろん、サンドライトが今朝から居ないので、強化魔法は施されていない。

サンドライトの魔法はどれもペタ級だから、強化魔法の恩恵は甚大だった。


漆黒の翼メンバーの戦いぶりを驚いた表情で視ている者が居る。

ロザリアのギルド長とエリザベートから、クイーンジャイアントスパイダーを5人のパーティー一組で殆ど時間を掛けず討伐したと聞いていた。


だが目の前で繰り広げられてる戦いは何だ。

攻撃魔法士の動きは悪くないが、他の三人の動きは何なんだ。

良く見てもせいぜいBランク冒険者程度だ。

今噂のスーパーAランク冒険者の動きではない。


ランゼムはため息をついた。

余りにお粗末すぎる。

しかしクイーンジャイアントスパイダーを早々に倒したのが事実なら、考えられる答えは一つ。

その時パーティーに居て、今パーティーに居ない者の存在。


【空間収納】一つでも常識外れだが、彼は全て常識外だったのだろう。

私は現在32歳に成るが、だてにポーターを18年もしていない。


二流の冒険者はポーターをただの荷物運びと思ってるみたいだが、

それはギルドから仕事を貰ってるレベルのポーターの話だ。


私みたいな一流は、指名で仕事してる。

私はS級A級パーティー以外からの仕事は受けない。

私のは【ギガ空間収納】だが、【テラ空間収納】持ちより指名が多い。

お陰で仕事依頼は溜まる一方だ。


彼は機転が利くと、上級冒険者の中では有名なポーターだった。


話が横道にそれたが、私から見てもこのパーティーはもう先がない。

いや、今回私は無事に生きて帰れるかもわからない。


何故パーティーの最大の功労者の彼が今朝の様な目に合わねばいけないのか。

ましてや、冒険者資格はく奪とは。

ロザリアのギルド、ロザリアの冒険者、そして今回同行してる実力の無い貴族子息


此処に来る前、ロザリアでギルド長とエリザベートに会うため立ち寄ったが、あちらこちらで、このパーティーの功労者である少年の悪い話しか聞こえなかった。

私はこのパーティーに参加して半日だが、私には、残ったメンバーの頭の中が理解できない。


ロザリオは街自体が腐ってるのかもしれない。


彼を他国に行かせては我が国の損失がでかすぎる。


もし私が生き残れたら私のポーターの信用信頼コネを最大限に利用して少年を守ろう。


生きていたら。


連載のモチベーションのためにも、ポイント、評価等よろしければお願いします。

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