79
「全て光に呑み込まれろ! 光渦世界!」
「これが新平家物語の始まりだ! 黒不死鳥斬り!」
蛍は光りを渦潮のようにし、闇を呑み込んでいく。平将門は闇を増大させ、大ガラスを不死鳥に変えて蛍の光に挑んでいく。
「おまえの黒い鳥なんて、光の渦で呑み込んでやる!」
「できるかな? 私の黒不死鳥は何度でも何度でも再生する。消せるものなら、消してもらおうか!」
「全て光の世界にしてみせる! だああああ!」
蛍の輝きは更に増していく。蛍の感情の高まりと共に光は強くなっていく。
「はあ・・・はあ・・・。」
しかし、大量の光の放出は蛍の体力を極端に奪っていく。蛍は肩で息をし始めた。
「どうした? 息が上がっているぞ。私の闇を消し去るんじゃなかったのか?」
「うるさい!」
「闇は無限だ。この世に戦いや妬み、嫉妬がある限り、闇が無くなることはない!」
逆に蛍の光が平将門の闇に吞まれていく。生身の蛍では無限のエネルギー源を持つ闇には勝てなかった。
「闇は永遠だ! だが光は人々が絶望すれば消えてしまう。そして光は闇に生まれ変わるのだ!」
闇の力が膨れ上がっていく。もう蛍にはどうすることもできないのか。
「クソッ!? 例え全ての光が消えてしまっても、俺は、俺だけは諦めるものか!!!」
蛍の心の叫び声が響く。もう蛍は相手が強くても諦めてしまうような弱い者ではなかった。
「・・・ほ・・・ほ・・・蛍ちゃん?」
蛍の声が届く。目を覚ましたのは、楓だ。楓が意識を取り戻した。蛍の光は楓にしっかりと届いた。
「やはり、虫は虫のままだったようだな。」
「クソッ!? 諦めるものか! 諦めるものか!」
「さあ! 闇に光を閉ざすがいい!」
平将門が闇の力を強め、最後の蛍の光を奪おうと仕掛けてくる。
「なんだ!?」
その時だった。平将門の操る闇の進行が止まる。
「や、闇が止まった!?」
そのことに蛍も気づいた。
「蛍ちゃん。」
暗闇に覆われ、僅かな光で踏ん張っている蛍に声が聞こえる。どこかで聞いたことのある懐かしい声だ。
「蛍ちゃん!」
「この声は・・・楓!?」
蛍は楓を見る。確かに楓の意識は戻っていた。
「楓!」
「蛍ちゃんの鈍足!」
「な!? 鈍足?」
「蛍ちゃん! 助けに来るのが遅い!」
楓は蛍が来てくれて安堵して微笑んでいるが、助けに来るのが遅いと怒ってもいた。
「ごめんなさい。遅くなって。」
「仕方がない。許してあげよう。楓は心が広いのだ。はっはっは!」
「誰の心が広いんだ? 誰の?」
「蛍ちゃん! 何か言った?」
「言ってません。」
「キャハハハハ!」
「クスッ。クスクス。」
蛍と楓は久しぶりに再会して話すが、相変わらずの仲良しだった。どこか新鮮で、どこか懐かしかった。
「蛍ちゃん! 早く助けろ!」
「はいはい。」
闇に吞まれて消えてしまいそうだった蛍の光が楓によって再点灯した。
つづく。




