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「ここが将門の首塚か?」
将門の首塚にやって来た蛍は周囲を警戒しながら歩くが、どうやら敵は目の前の平将門しかいないようだ。
「少しはやるようになったな。蛍。」
「平将門。」
「だが、私の蘇生はほぼ完成している。あとは・・・楓の命を絶つだけだ。」
「なに!?」
イスに座らされた楓はぐったりとしていて意識はない。かなりの生命エネルギーを平将門に吸われてしまったのだろう。
「楓!? 貴様!? 楓に何をした!?」
「少し生命エネルギーを分けてもらっただけだ。」
「なんと酷いことを!?」
「安心しろ。まだ生きている。私が完全に復活するまでな。」
「誰が完全体なんかにさせるかよ! おまえを倒して、俺は楓を助ける!」
「できるかな? 虫のおまえに。」
「今までだって幾多の死闘を超えてここまでやって来たんだ! やってやる! 俺は平将門を倒す!」
「おもしろい。虫がどれくらい成長したのか見せてもらおうか? 蛍になれたのかどうか!」
平将門は、まだ完全体ではなかった。それでも威厳や風格はまま絵よりもまましている。蛍は見た目こそ以前よりも傷が増え着物もボロボロだが、目つきが鋭くなった。殺意に満ちた目というのではなく、世の中が腐りきっていて苦労や困難ばかりだけど、自分が果たすべきこと、自分が何をしたいのかを知っている目である。
「こい! 虫! 悔しかったら、私の前で蛍のように輝いてみせろ!」
「望むところだ! 蛍の光でおまえを呑み込んでやる!」
遂に蛍と新皇平将門の戦いが始まる。
「光れ! 蛍光刀!」
蛍は蛍光刀を抜き、暗闇を照らすような青い光で周囲を照らし明るくする。
「おまえの光を黒く覆いつくしてやろう。」
平将門も平家の愛刀、小鳥丸を抜く。平将門の周囲は、まるでカラスが羽を広げ光を遮っているように黒く染められている。
「俺は暗闇を照らす光になる! 夏の夜の光!」
蛍の蛍光刀から放たれた光の斬撃は平将門の黒い闇を切り裂く。
「ほお。成長したな。もう昔の虫ではないということか。」
「どうだ!? 蛍の光は?」
「認めよう。おまえは虫ではない。立派な蛍になったのだとな。」
さすがの平将門も蛍を認めざるを得なかった。蛍は自分の予想をはるかに超えて成長していたからだ。
「だが、これはどうかな?」
「なに!?」
「大ガラス連射!」
「カアー!」
「カアー!」
「カアー!」
数羽の大ガラスが平将門の小鳥丸から放たれる。そのまま蛍に向けて突撃していく。
「光れ! ゲンジボタル!」
蛍の体が光り輝く。蛍の体は無数の蛍の集合体である。その蛍の中に源氏の者たちから託されたゲンジボタルも混ざっている。憎っき平家を倒せと、いつも以上に光り輝き、蛍の力を増大していく。
「あれは!? 源頼朝たち!? 源氏の者か!?」
平将門には蛍の姿に源頼朝、源頼家、源実朝の姿が見えた。間違いなく源氏は、平家を倒すために、蛍に力を貸してくれている。
「夏の世の無数の光! 幻想蛍!」
蛍の蛍光刀から無数の光が放たれ大ガラスの闇を光でかき消していく。平将門の大ガラスは光の前に消え、周囲は潔く明るい蛍の光でいっぱいになる。
「どうだ! 見たか! 俺の蛍の光を消すことはできない!」
蛍は自分が平将門と対等に、いや、それ以上に戦えていると感じている高揚感に包まれていた。
「まさか、これ程とは・・・。私も本気を出すしかあるまい。」
蛍の攻撃が平将門を怒らせて目覚めさせてしまう。
つづく。




