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「疲れてきたんじゃないか?」
蛍と平将頼の長い戦いは意外な結末を迎えようとしていた。平将頼の動きが鈍くなってきて、呼吸を肩でするようになってきた。
「はあ・・・はあ・・・。こっちはおまえのような化け物と違って、生身の人間なのでな。」
「生身の人間!? 妖怪かお化けじゃなかったのか!?」
蛍は驚いた。これだけ強い平将頼。蛍は自分と同じく妖怪か化け物と思い込んでいた。
「誰が妖怪だ。私はれっきとした人間だ。」
「人間!?」
「神や妖怪だけが特別だと思うなよ。人間だって努力して修行すれば強くなれるのだ。」
「ど、努力!?」
蛍は思った。努力だけで人は、ここまで強くなれるのだろうか? と。最速の移動と最速の刀の速度を手に入れるまで平将頼は、いったいどのような修行をしたのだろう? と。
「悪いが妖怪のおまえとは違い。体力の限界のようだ。次の一振りに私の全てをかけて勝負させてもらう。」
「受けて立つ。おれはあなたに勝ちたい!」
平将頼の最後の挑発に蛍も乗った。敵とか平家とかではなく、正々堂々と戦って目の前の男に勝ちたいという思いが蛍の心に湧き上がってくる。
「最速斬り!」
「夏の世の光!」
平将頼の刀は空気や風を切り裂き、空間すら斬ってしまう程の最速の斬撃である。蛍も青い光を放つ蛍光刀を聖なる光を放つ蛍光刀により明るく照らす照明のように周囲を輝かせる。
「でやあああ!」
「どりゃああ!」
蛍と平将頼の必殺技と必殺技がぶつかり合う。
「私の勝ちだ! 私の方が速い!」
平将頼の最速の刀が蛍のスピードを上回った。平将頼の刀が蛍に当たりそうになる。
「なに!?」
平将頼の刀を蛍は体を無数の蛍に分解して避ける。そして集合しそのまま蛍光刀で攻撃に転じる。
「いつ蛍が光るか知っていますか?」
「知らん。」
すごく短い時間だが二人は時間が止まったように言葉を交わす。
「蛍は未来を切り開くために光るんだ!!!」
「ギャア!」
蛍の斬撃は平将頼の体を宙に打ち上げる。そして平将頼は地面に叩きつけられる。
「・・・ん・・・んん!? 」
平将頼は意識があった。
「なぜ殺さない?」
「あなたは自分の意志で何が正しいか判断できる人です。楓を助ける邪魔をしないなら、殺す必要はありません。」
「蛍・・・。」
蛍は平将頼を置いて、楓の待つ武蔵の国の将門の首塚に向かおうとする。
「はあ!? ダメだ!? 私を殺していけ! そうしなければ最後の結界が壊れることは無い!?」
「大丈夫です。今の俺なら結界なんて、斬れますから。」
心配する平将頼に声をかけて蛍は去って行く。また一つ戦いを潜り抜けた蛍は強くなった。
つづく。




