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「し、死神!?」
多治経明は自分が戦っている相手が魂を扱う最上位職種の死神であると知った。
「はい。私が地獄の道先案内人。死神の詠とは私のことです。」
詠は正体がバレたので、開き直って堂々と答える。
「そ、そんな!? 私が戦っていたのは死神様だなんて!?」
「私って、そんなに偉大ですか? 愉快愉快。」
相手の大きさに気づいた多治経明は苦悩する。詠は褒められているみたいで嬉しかった。
「魂使いの私が、本物の死神を倒して、私が新たな死神になればいいのだ!」
「へ?」
多治経明は良いことに気がついた。詠を倒せば自分が死神になれるのだ。その発想に詠は目を点にして首を傾げる。
「集まれ! 魂! 集まって、大きな悪霊になれ! そして死神を倒すのだ!」
多くの魂が集められ大きな魂ができる。そして大きな魂は悪い悪霊に姿を変える。
「いけ! 悪霊よ! 死神を倒せ!」
悪霊が詠に襲い掛かる。詠は妖刀、街路刀を紫に輝かせる。
「決して、あなたが弱い訳ではありません。」
「なに?」
「ただ相手が悪かっただけです。闇斬り!」
詠は街路刀で大きな悪霊を一刀両断する。
「詠様。ありがとうございます。」
「みんな。来世で会おうね。」
詠に斬られた魂たちは天に昇っていく。その光景を見ながら温かく手を振る詠。
「あ、悪霊が成仏された!? そんな!? バカな!?」
「だって、死神ですから。」
詠は死神なので悪霊は敵ではなかった。しかし、多治経明の様子が変である。破れそうなのに、まだまだ笑いが顔に出る。
「ああ、そうかい。魂を集めても、相手が死神では仕方がない。」
「はい、その通り。」
「なら、自分に集めるだけよ! 来い! 魂共!」を
たくさんの魂が多治経明を目掛けて飛んで来る。そして多治経明の体の中に入っていく。
「巨大化した!?」
多治経明は巨大化し体から無数の魂が飛び出している。もう人間の形を残していなかった。
「どうだ? 私のきれいな姿は? これでおまえもお終いだ。」
「大きいですね。」
さすがの詠も大きくなった多治経明を見上げて、大きさに驚いた。しかし詠は平然としている。
「でも、大きさじゃないんです。その人の強さというのは。」
「なんだと?」
「命ある者が生きようと一生懸命に、もがく姿は美しい。その魂で遊ぶのは良くありませんね。」
詠の脳裏に蛍のことが思い浮かんだ。蛍の集合体、蛍の記憶の集まりが妖怪となり、擬人化した姿。それが蛍。蛍は命や想いを輝かせ妖刀、蛍光刀を振るう姿を詠は好きだった。
「斬ってあげます。これでも私は神ですから。」
死神の詠が本気を出そうとしている。
つづく。




