表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛍光刀 いつ蛍が光るか?  作者: 渋谷かな
67/94

65

「おまえの魂もらうぞ! 魂抜き!」


上野守の多治経明が人間とは思えない攻撃を仕掛ける。相手の魂を抜いてしまおうというのだ。


「これでおまえの命は私のものだ! ヘッヘッヘ!」

「どこがです?」


しかし詠の魂は抜けることがなかった。そもそも死神にも魂があるのだろうか?


「なぜ抜けない!? なぜだ!? どうして魂が出てこないんだ!?」

「なぜでしょうね?」

「クソッ!? まあ、いい。たまには例外もある。」


意外に多治経明は冷静だった。しかし愚かにも自分が戦っている相手が死神だと気づかなかった。


「魂が抜けないのなら、魂を植え込んで操り人形にしてやる! 魂入れ!」


多治経明は身近な魂を詠に投げつける。魂を詠に入れて操ろうというのだ。


「今度こそ、おまえの命は私のものだ! へッへッへ!」

「あの世に逝ってください。」

「ありがとうございます。詠様。」


しかし、投げられた魂は詠にあの世に招待されて天に昇っていく。魂を手を振って見送る詠。


「な、なに!?」


多治経明は目の前で怒っている出来事が理解できなかった。


「おまえはいったい何者だ!?」

「ただの通りすがりの者です。」

「はあ!? ただの通りすがりの者が魂をあの世に送れる訳がないだろうが!?」

「あははは。言ってみたっただけです。」

「ふざけるな!?」


詠は少し人間世界に居すぎて、少し人間に感化されていた。人間が好きなのだろうか? 人間に憧れを感じているのかもしれない。


「うるさい方ですね。私は詠と申します。まあ、用心棒などをしています。」

「用心棒? 詠? 聞いたことのない名前だな。」

「はい。まだ新人なので。」

「私はこんな奴にバカにされているのか? 許せん! こうなったら大量に魂を体に注ぎ込んで爆発させてやる! 増量! 魂入れ!」


多治経明は近場の魂を次々と詠に向けて投げつける。今回は魂は詠の中に入っていく。


「ギャア!?」


詠が断末魔を思わせるような叫び声をあげる。詠の体がブクブク太って、魂の顔が体中から浮かび上がってくる。


「これで終わりだ! 無数の魂に体を食いちぎられ、盛大に爆発しろ! 」


多治経明は勝利を確信した。これが三度目の正直だと。


「詠様。さようなら。」

「またね。今度生まれ変わったら、長生きするんですよ。」


しかし、お芝居を楽しんだ詠と死者の魂たちは別れの挨拶をする。そして死者の魂たちは天に召される。手を振り見送る詠との感動のシーンである。


「なんなんだ!? おまえは!?」

「詠です。」

「名前は分かった!? おまえの職業はなんだ!?」

「実は・・・死神なんです。」


多治経明は、ここで初めて詠が死神だと知ったのだった。


つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ