58
「何が出るかな!?」
桜は幽霊なので、同じ幽霊を呼び出せると考えた。妖怪・魑魅魍魎は桜の遊び心である。
「なんだ!? なんだ!?」
桜の呼び出した光の中から一つ目小僧が現れた。しかし一つ目小僧は自分がどこにいるのかも分かっていない。
「私、桜。あなたは誰?」
「一つ目小僧。ここはどこ?」
「日本の上総国。」
「上総国!?」
「あなた、いつもはどこにいるの?」
「妖怪の世界。」
「まあ、いいわ。」
「何がいいの?」
「あいつと戦って。」
「え?」
一つ目小僧は興世王を見る。ただの自由と侮った。
「あんな爺さんをいじめるなよ。可哀そうだろう?」
「可愛そうじゃないわ。あれは敵!」
「仕方がない。軽く倒してやるよ。」
「頼んだわ!」
一つ目小僧は興世王に殴りかかりに突撃する。一つ目小僧は興世王が新皇、平将門の将軍だとは知らない。
「一つ目小僧パンチ!」
「小僧、老人には優しくするもんじゃぞ。大口。」
「口が大きくなった!? ギャア!?」
「一つ目小僧!?」
老人の口が急に大きくなり、一つ目小僧を丸飲みした。
「不味いな。やっぱり若い女の方がいいな。」
「ば、化け物め!?」
「何とでも言え。長年生きていると人間も人ではいられなくなる。おまえも幽霊ではないか。」
「幽霊は不味いです。」
「私は幽霊でも妖怪でも食べられる口を持っている。安心して食べられなさい。」
「え、遠慮します!?」
桜は食べられたくないので必死に抵抗する。再び地面に手を当て光を呼び出す。
「いでよ! 幽霊、妖怪、魑魅魍魎!」
光の中から何か長いものが現れる。長いものは首であった。
「誰だい? 私を呼んだのは?」
「なが!? 首が伸びている!?」
「私はろくろ首。忙しいのに呼ばないでおくれ。」
「そんなことを言わないで下さい! ろくろ首さん! あいつを倒してください!」
「え?」
ろくろ首は興世王を見る。その姿はか弱そうな爺だった。
「どんな強敵かと思えば、ただの爺じゃないかい。わかい男の方が好きなんだけどね。しようがない。巻きついて倒してくるよ。伸びろ首!」
そう言うと、ろくろ首は首を伸ばして、興世王に襲い掛かる。興世王はななに事も内容に平然としている。
「年寄りにはやさしくするもんじゃ。大口。」
興世王は大きな口を開けて、ろくろ首を呑み込もうとする。
「ゲゲッ!? こいつは大口!? ギャア!?」
「大口!?」
「如何にも私の正体は大口。」
興世王はろくろ首を飲み込んだ。まずそうにゲップする。
「私も若い女の方が好きじゃ。」
「き、気持ち悪~い。嫌だ! 食べられたくない!」
ドヤ顔の興世王を吐き気がしそうに見る桜であった。
つづく。




