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「断る。」
築と雪オカマは、新皇の平将門にさらわれた楓を救うために、新皇の配下が治める相模の国を目指していた。
「まだ何も言ってないよ!?」
「おまえの言いそうなことは、だいたい分かる。」
「おお! 以心伝心だな。やっぱり私と築は運命の赤い糸で結ばれているんだよ!」
なんだかんだ言っても、築と雪オカマは仲良しだった。
「俺は甲斐の国に行こうと思う。」
「背中をかいてやろうか?」
「・・・面白くない。」
「冗談、冗談だよ!? ははは。」
築と雪オカマは相模の国に行き、相模守を倒しに行く予定だった。
「どうして甲斐の国に行くんだ?」
「富士山の側に、本物の火の妖刀があると聞いたことがある。」
「火の妖刀!?」
築の妖刀、解説刀は戦いの最中に折れてしまったのである。
「そう、火の妖刀だ! このままでは俺は大道芸人失格だ! なんとしても本物の火の妖刀を手に入れて、銭儲けをするんだ! 俺は日本一の大道芸人になるんだ!」
築の本職は大道芸人だった。折れた火の妖刀は人工的に作られた紛い物だった。
「カッコイイ!」
雪オカマは女扱いしてくれる築が好きなだけだった。それだけで健気に相模までついて行こうとしている。
「ということで、俺が火の妖刀を手に入れて戻ってくるまで、先に相模の国に行ってくれ。」
「は~い! 私に任せてよ!」
こうして築と雪オカマは別々の道を歩き出した。築は甲斐の国へ。雪オカマは相模の国を目指す。
甲斐の国。
「こんな所に人が住んでいるのか?」
築は甲斐の国の森の中を彷徨っていた。富士山の麓にある森である。
「お! あんな所に荒れ寺が。少し休ませてもらおう。」
築は見つけた荒れ寺に寄って休憩することにした。今にも崩れそうな荒れ寺である。
「んん? 先客か? 少し休ませてもらうぞ。」
築が荒れ寺に着くと、そこには先に荒れ寺で休んでいる老人がいた。
「こんな所に人間のお客様か? よく富士の樹海を超えて来られましたな。」
「富士の樹海?」
「この森は生きる人間が踏み入れると魂を失うと言われている森だ。若いの。お主は運が良い。ハハハ。」
築が足を踏み入れた森は富士の樹海。生身の築くが生きていることは奇跡に近かった。
「老人に尋ねたいことがある。この辺りに火の妖刀があると聞いたのだが知らないか?」
「火の妖刀? ああ、聞いたことがありますよ。」
「本当か!?」
「はい。火車刀のことですかね?」
「カシャットウ!?」
火の妖刀は火車刀というらしい。本当に火の妖刀は存在したのだった。
「水の妖刀で水刀、何て言うのも聞いたような?」
「スイトウ!?」
なんと水の妖刀の存在も明らかになった。不幸中の幸いであった。
「おお! 俺はなんて運がいいんだ! 火と水の妖刀を手に入れられるかもしれない!」
調子に乗る築は火の妖刀だけでなく、水の妖刀も手に入れる気だった。
「ああ、言い忘れましたが、妖刀は強い妖怪に守られていると聞きます。」
「妖刀を守る妖怪?」
「はい。私みたいにね・・・。」
老人は不気味に築に微笑みかけるのであった。
つづく。




