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「源頼家!?」
蛍の心に呼びかける声の主は、蛍に呪いをかけてからずっと蛍に居座っている源頼家だった。
「違うぞ! それは違う! 拙者の言うことを聞け!」
「どう違うと言うんだ!? 俺は目の前で伊豆の人々の生活を見たんだぞ!? どう見たって、鎌倉幕府より、平将門の方が農民に愛されているじゃないか!?」
蛍の目には、そう見えた。
「だからといって、山賊行為をしていい訳がないだろうが!」
「それは生きるために仕方がないじゃないか!?」
「そこが違うんだ!」
源頼家は蛍に呼びかけ続ける。
「伊豆は、鎌倉幕府の執権、母上の北条家の地元だ。」
「なんだって!?」
「鎌倉幕府は自領より他の土地の支援をすることに優先にした。だからといって、伊豆を放置していた訳ではない。この険しい山林を利用して、伊豆は監視すべき重要人物の流刑地になっているのだ。」
「流刑地!?」
「そうだ。父上も鎌倉幕府を作る前に伊豆に流された。しかし、伊豆は父上と母上と出会った愛の溢れる土地だ!」
「頼朝さんと政子さんの!? いったい頼家と平将武とどちらの言っていることが正しいんだ!?」
蛍は更に深みにはまってしまう。
「君は私の言うことを聞いていればいいんだ!」
「貧しいからと言って、悪いことをして財を成していい訳がない。農民が自分なりの生活を努力して生きていたのに、悪いことをして伊豆の治安を悪化させた平家の言うことを聞くというのか?」
「ああ!? 俺はどうすればいいんだ!?」
蛍には判断できない。
「いいのか? 私は君のために言っているんだぞ? 私の言うことを聞かなければ、娘は帰ってこないぞ。」
「楓!?」
蛍の心は楓を取り戻すために、平将武に揺れていた。
「蛍、おまえは楓を泣かす気か?」
「え?」
「悪魔に魂を売って助けたとしても、楓は喜ばない。」
「!?」
蛍は源頼家の言葉にハッと正気を取り戻す。
「どうして、おまえに分かる!?」
「ハッハッハ! 当然だろう。なんせ拙者は、ここの修善寺に幽閉されて暗殺されて死んだんだからな。」
「なんだと!?」
鎌倉幕府2代目将軍の源頼家にとって、伊豆はゆかりの地であった。
「すまなかった。もう少しでクソガキに怒られるところだった。」
「分かればいい。分かれば。」
「頼家、俺に力を貸してくれるか?」
「当たり前だ。平家がいたら安心して拙者も眠れないからな。」
「ありがとう。」
蛍と頼家は2人で、平将武と戦うことを決心する。
つづく。




