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87話 オリハルコン

87話 オリハルコン


封印が解けて、解放された瘴気がマオに集まる。


……そう思っていたのだが、瘴気はマオだけに行くのではなく、僕やタマを含めた3人の中に入り込んできたのだ。


「なんで僕にまで来るの!?」


「タマにも来ましたよ!?」


「なんじゃ?なんじゃ?どういう事なんじゃアルファよ!」


今までに起こらなかった事が起きた。マオはその原因と思われる張本人に問い詰めた。


「…貴女1人に魔王の力が集まる危険を避ける為に、仕方なくだけど分散させてもらったわ。…私はまだ貴女を信用はしてはいないからね」


「ば、馬鹿ものがーーー!!!アルファ!お前は何をやったか分かっておるのか?お前は大輝まで魔王の烙印をつけたのじゃぞ!魔王は人類の敵と見なされる存在、命を狙われ続けるのじゃぞ!

……それに巻き込むとは………」


マオはアルファに対して怒っていた。魔王の復活に近づくのを恐れるあまり、大輝を巻き添えにするという考えの浅い行動を起こしてしまった事に怒ったのだ。


「あ!?……わ、私はただ……」


その事に今頃になって気付いたようだ。


「お主はさっき自分の存在を掛けると言ったばかりではないか!それなのに何でこんな浅はかな行動をおこすのじゃ!…妾1人が背負っていれば最悪の場合、大輝達には迷惑はかけずに済むと思っておったのに……」


「マオ………ごめんなさい…」


プライドの高いアルファが謝った事にマオは一瞬驚き、そのおかげで少し冷静なれた。


「………いや、元を辿れば妾の存在のせいだな。大輝、すまない。妾のせいで命の危険に晒してしまう事になった……本当にすまない」


深々と頭を下げながらマオは、アルファを責めるのではなく自分のせいと言い謝ったのだ。


「…アルファ。僕は出会ってからずっとマオを見て来たけど、人をむやみに襲った事もないし、暴れて町を破壊した事もない。…今のマオを見ても、ただ魔王だから悪と決め付けれるかい?」


僕は頭下げているマオを見ながらアルファに問い掛けた。


「……………」


返事はなかったが、思うところはあるようだ。


「マオ、僕は怒っているよ」


「…そうじゃろうな。…妾のせいで命を狙われるのじゃか…」


「違うよ!」


マオは命を狙われる事になった事を怒っていると思っていたので、僕は言葉を遮る形で止めた。


「僕が怒っているのは、最悪の場合に自分だけが矢面に立って犠牲になろうと考えていた事だ。…前にも言ったけど、僕は君と共に生きて行く。人がマオの敵になるなら僕も戦うし、容赦もするつもりはない!

…魔王の烙印でマオが1人で犠牲にならないなら、僕はむしろ嬉しいぐらいだよ」


「…大輝よ……ありがとう…とても嬉しいぞ」


頭を下げていたマオは、僕の言葉で笑顔で上を向いてくれた。


「タマもお二人について行けるなら、喜んで魔王になります!」


タマも元気に手を上げてアピールしている。


「タマもありがとうじゃ。…妾は良い仲間を得たもんじゃな……アルファ!2人に言う事があるじゃろ!」


マオはそう言ってアルファを僕達の前に突き刺した。


「………ごめんなさい」


アルファにはいつもの元気がない。本気ですまない事をしたと気付き、謝っているのだ。


「大輝よ。どうじゃ?」


「謝罪を受け入れます」


「タマは変わっていないので、気にしていません!」


マオは僕達の答えを聞き、少し笑ったような顔になり、


「なら聖剣アルファよ。この話はこれでしまいじゃ!お主も妾達の仲間じゃから、これ以上の気使いは無用。いつものやかましいアルファに戻るのじゃ」


「私も…仲間……。!?、ちょっと!私がやかましいってどういう事よ!」


「それじゃ、それじゃ。お主はそれぐらいでないと妾の調子が崩れるしまうぞ」


マオは笑いながらアルファを見ていた。


「…まったく、こんなのが魔王の正体だったなんてね」


アルファは今まで何を見て戦って来たのかと、反省をしながら呟いた。


さてと…アルファとの仲も修復出来たし、ステータスの確認でもしておこうかな。


天兎 大輝


レベル 47  レベル 25  レベル 25


HP   1156 / 1156

MP   1788 / 1880


スキル 強化  ・ 風の初級魔法(LV17)

    使役者 ・ 錬金術 (LV24)

    無錬成陣師 ・ 魔人化

    操髪術 ・ 魔王の因子 (LV5)

    魔黒招雷 (LV1)



マオ


レベル  50


HP   1008 / 1008

MP    634 /  762


スキル 強化  ・ 回復促進 (LV22)

    魔王の因子(LV17)・MP自動回復

    白炎 (LV3) 



タマ


レベル  44


HP   644 / 644

MP   298 / 418


スキル 狐火 (LV10) ・ 体炎 (LV9)

    人化  ・ 炎操作

    炎物質化(LV1)



魔黒招雷 『消費MP 100 ・・・ 黒い雷を呼び出して放つ事が出来る』


炎物質化 『消費MP  10 ・・・ 炎を物質として固形化出来きて、自分の意思で元にも戻せる』



……物騒な名前のスキルが出て来たな…


「どうじゃ?何かスキルが増えておるか?」


急に黙ってしまった事で、マオは僕がステータスを確認していると気付いたようだ。


「僕が<魔黒招雷>、タマが<炎物質化>ってのを覚えていたよ」


「…魔黒招雷、あの黒い雷を出すやつね。それと炎物質化は昔の仲間の炎魔法を無効化したのだったわね…」


昔を思い出したように、アルファがスキルの説明をしてくれた。


「それで妾には何のスキルが戻ってきたのじゃ?」


自分のスキルの説明がなかったので、マオは期待して聞いて来た。


「………ない……」


僕は期待しているマオを目の前にして、小声でしか答えれなかった。


「なんじゃ?良く聞こえんぞ?」


「……マオに新しいスキルはなかった…」


非常に心苦しいが、覚悟を決めてマオに聞こえるように答えてあげた。


「……………」


その答えを聞いてマオは笑顔で固まった。


「…マオ、大丈夫?」


「フ、フフフ………アルファ!どういう事じゃ!なぜ妾にだけスキルが帰ってこないのじゃ!?」


突然復活を遂げたマオはアルファに怒鳴った。


「知らないわよ!大体あんなの瘴気を三分割しただけで、内容までコントロール出来る訳ないじゃない!」


「…妾の力なのに、妾に戻って来ないとは……だいたいお主が…」


そうマオとアルファがもめている間に、タマは自分の新しいスキルを実験している。


「…だいたい把握出来ました。使用範囲は目で見える所までで、今は50センチぐらいを固めれました。これを使えば炎の爪で、焼かずに斬る事が出来ます!弱い相手に手加減して戦えます」


魔王の力が手加減用って……


「攻撃にも防御にも使えるって、なかなか便利なスキルだね。僕のスキルも試してみたいけど、消費MP100って事を考えると迂闊に使うのが怖いんだよね…」


僕とタマが新たに覚えはスキルについて話ていると、言い争いをしていたアルファが突然僕に問いかけてきた。


「ちょ、ちょっと待ちなさい!MP100ってなによ。マオ、貴女が使っていた時もそんなに魔力を使っていたの?」


「いや、確かに消費量は多かったが、白炎と変わらないぐらいだったはずじゃ」


「…そうよね。魔法一つに100なんて異常過ぎるわ。白炎の事を考えると、全力で放つのは危険よね」


「まったくじゃ。白炎もそうじゃが、封印されている間に強力になっているとは……不思議なもんじゃのぅ」


さっきまで言い争っていたとは思えないほど、マオとアルファは普通に話をしていた。


「まあ、危険そうなのは同意だね。…それよりミスリル鉱石の塊まで進もうか」


タマのスキルの検証も終わり、洞窟の中で僕のスキルを試すのは危険なので、当初の目的を実行しようとしたのだ。


「…大輝よ、先程まで瘴気が強過ぎて気が付かなかったが、封印の祠の下から異様な魔力の集まりを感じないか?」


マオは何かに気が付いたようで、祠の下へと歩いて行った。


「確かに何かあるね。ミスリルとは違うようだけど……とりあえず掘ってみるよ」


上にある祠を壊さないように横穴を慎重に掘り、見慣れない金属を掘り起こした。


「……かなりの魔力を感じるけど…なんだろうねこの金属?」


「それは<オリハルコン>、神の金属と言われる物よ。……まさかこんな所で手に入るなんてね……」


アルファの説明でこれがオリハルコンと言う事は分かったが、採掘出来た量はこぶし大の少量。とてもじゃないが武器を作れる量ではなかったのだ。


「…なあ、それを俺が吸収したらかなりの強化になるんじゃないか?」


僕が持っているオリハルコンにオメガは興味が出たようだ。


「やめときなさい。オリハルコンは聖属性の金属だから、魔剣の貴方が吸収したら体を壊すわよ」


…剣が体を壊すって、……壊れるって事かな?


「…相性が悪いなら仕方がないか…ちょっと興味があったがしょうがないな」


本気で残念そうな声を出して、オメガが落ち込んでいるのが分かった。


「まあ、これだけの量じゃ何も出来ないから、とりあえず取って置いて当初の目的のミスリルを取りに行こう」


そうして大輝は地中にあるミスリル鉱石の塊を目指し、道を作って進んでいった。





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