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71話 封印されていた魔王の力

71話 封印されてた魔王の力


突然現れた大輝達の姿を見て、黒い獣は野生の感で実力を見抜き動きを止めた。


「やはり、油断出来ぬようじゃな。一瞬で妾達を警戒しおった」


「さっき戦っていた人達の武器は、鉄製の武器だった。それを使っても大したダメージを与えられないって事は、僕達でも一撃で腕を飛ばすような真似は出来ないだろうね」


大輝は細かくダメージを与えていく作戦で行こうとマオに話した。


しかし、戦いが始まる前に異変が起きた。


突然、カードの中にいたタマが、大輝の指示なしで外に出て来たのだ。


「!?。どうしてタマが出て来るの?相手も火を使うからタマには危険な相手だよ」


タマの基本攻撃は狐火などの炎なのだ。火に耐性ある相手には防御力が低いタマでは相性が悪過ぎるのだ。


「…大輝よ、あの獣とタマ、なんとなく似てはおらぬか?」


マオの言葉を聞き、タマと見比べてみると大きさは違うが、体の色、目の色、尻尾の形、そして火を操る能力。確かに似ている所が多い。


そう言えばこの黒い獣は、南の洞窟から来たって言っていたな。


「…まさか、あの洞窟の地下の祠にあった玉から出て来たのか?」


「なんじゃ、祠の玉とは?」


「マオと出会う前に、南の洞窟に潜った時に見付けた地下の祠。そこに置かれていた玉から、タマは出て来たんだ。もし、その玉の一部がタマなら目の前の黒い獣が残りの部分かもしれない。そうなると、タマはあいつに引かれるように、この場に呼ばれたのかも」


大輝はタマが勝手に出て来た理由を予想した。


「ならあ奴は、タマを取り込もうとしているのかもしれん!」


「そう言う事なら、マオはタマを守って!僕はあいつを倒す!」


「任せるのじゃ」


そう言って大輝は黒い獣の前に立ち塞がった。


「お前の相手は僕だ!」


そう言うと、大輝に向かって前足で潰しに掛かってきた。その一撃をかわし、そのまま前足をオメガで斬るが、太すぎて切断まではいけない。


「オメガ!シャドーブラスト!」


闇の刃を首に向かって放つが、軽く傷をつける程度だった。


「硬い、と言うかでか過ぎるのか」


体が大きいので、そのまま体毛なども太くなっており、自然と防御力が上がっているのだ。


ダメージを受けた事により、怒りのままに炎を吐くがダークボールが上空に浮いているままなので、そっちに吸い込まれていく。その隙に何度かオメガで胸を斬っていく。


ダメージは少ないが、オメガで斬ると魔力を吸い取っていくので、長期的に見れば有利になっていくはずなのだ。


「お嬢ちゃん、魔力が貯まって来た!そろそろ魔法を使えるぞ」


「なら、シャドーブラストを連射で!」


そう言って闇の刃を複数放ち、ドンドンダメージを与えていく。


黒い獣の攻撃パターンは単純だった。前方への攻撃は炎を吐く、前足で叩き潰す、横からなぎ払うのどれかだけだった。その内炎は封じているので、残りは2パターンだけなのだ。

パターンが分かっている以上、大輝に攻撃が当たる事はなかった。


時間は掛かったが、戦いは一方的なものだったので、ドンドン相手の動きが悪くなっていった。


「勝負ありじゃな」


マオも少し離れた所で状況を読んでいた。


血だらけになった黒い獣は最後の足掻きの様な攻撃が始まった。


黒い獣の口に今まで以上の炎を溜めて放ってきた。その炎は直進性の強い炎で、ダークボールの吸引力を越えているようで意味をなさない。

そして、その炎に大輝は直撃を喰らってしまう。


しかし、マオは動揺していない。それどころか余裕の笑みを浮かべていた。


「残念だけど、今攻撃した僕は幻だよ」


黒い獣が炎を溜めている間に、大輝はブラックミストで自分の分身を作っていたのだ。

そして本物は既に目の前に立っていた。


「…これで終わりだよ」


大輝は黒い獣の首を刎ねてトドメを差した。



「結局この獣はなんじゃったんだ?」


マオも獣の死体に近づいて眺めている。


「分からない。結構古い祠だったから数百年は経っているんじゃないかな」


そこで、大輝は1つ可能性を思いだした。


「…もしかして」


「何か思い当たる事があるのか?」


「…祠にあった玉って、マオの封印された魔王の力なんじゃないかな」


その言葉にマオは思い出したように驚いていた。


「そう言えば妾の力は8つの玉に封印されたんじゃった。古い記憶過ぎて出てこなかったのぅ」


「という事は、この獣が消える時に吸収出来るって事かな」


そう言っていると黒い獣が黒い霧のようになって消えていく。そして、その黒い霧が集まりマオの方へ飛んで行き、体内に入って行った。

しかし黒い霧はマオだけではなく、タマの方にも飛んで行っていたのだ。


「あれ?今、タマの方にも行かなかった?」


大輝は見間違えかもと思い、マオに確認を取った。


「…いや、確かにタマにも飛んで行ったな」


そしてタマを見ていると、吸収されたはずの黒い霧がまた飛び出して、タマの周りに留まり中の様子が見えない。


暫く様子を見ていると、霧が形を持っていき、最終的には6歳くらいの少し赤みの掛かった黒髪の女の子の姿になった。


「えーと、これはどうなったんだ?」


「…分からんのぅ。タマは黒い獣と同様の存在だから、黒い霧がいった事は納得がいくが……これはまったく想像がつかんのぅ」


2人共、こうなってしまった理由が想像もつかず、対応に困っていた。

そうしているとタマ?は目を覚まし、大輝の方を見て立ち上がり歩いて来た。


あ、髪が獣耳のように見える。癖毛?獣耳?どっちだろう?瞳も綺麗な赤だな。


「ご主人様!私、人の姿になれました。これで一緒に歩けます!」


タマと思われる子は、両手を高く上げて大輝に喜びを伝えようとしていた。


「えーと、…タマ、なんだよね?」


「そうです。タマです。ご主人様!」


どうやらタマである事には間違いないようだ。


「…お主はなんでその姿になったのじゃ?」


「マオ様、私は人になりたかったんです。獣の姿だと、町の中ではずっとカードの中で寂しかったんです」


タマは思いだしたように寂しそうな顔をしていた。


そうか、基本町中ではタマにはカードに入ってもらっていた。その事で人になりたいと思うほど、寂しい思いをさせていたようだ。


「ごめん、そんなタマの気持ちも知らないで…」


僕は素直に頭を下げて謝った。


「そんな、ご主人様が謝る必要はありません。町の中では仕方がなかったと理解していますし、私が勝手に寂しがっていただけですから…」


「妾もセイバでは一緒に戦ったのに、その後は遊んでやれんかった。すまなかったな」


「マオ様、私はそのお言葉だけで十分嬉しいです」


「…そうか。なら、大輝よ。早速じゃがタマに服を用意してやるのじゃ!いつまでも全裸という訳にはいかぬじゃろ」


そう人型になったタマは何も着ていないのだ。いや、元々何も着てはいなかったのだが。


「私は大丈夫です。寒くはありません」


「そうじゃない。服を着るのは町で一緒にいる為には、絶対必要な事なのじゃ。いいのか、またカードに隠れてもらう事になるぞ?」


「それは嫌です。服着ます。服が欲しいです!」


マオの脅しに危機感を感じ、タマは慌てて大輝に服を要求した。


大輝は早速服を作った。今は手持ちに布はないので、とりあえずとして木の皮を使って糸状に加工しそれを布にして、Tシャツと、ハーフパンツを作った。


「今はこれしか出来ないけど。素材が手に入ったら作り直すから我慢してくれ」


「いえ、十分です。とても嬉しいです」


そう言って喜んで服を着てくれた。


「しかし、姿が変わったって事はスキルが増えている可能性があるよな」


タマのスキルを確認して見る。


タマ


レベル  43


HP  533 / 533

MP  311 / 311


スキル 狐火 (LV9) ・ 体炎 (LV7)

    人化  ・ 炎操作


やっぱり増えてるなあ、どれどれ。


人化 『消費MP   ・・・ 人の姿になる事が出来る。言葉を話すことができ、知力も上がる。人の姿になれた者が得られる』


炎操作 『消費MP   ・・・ 自分のスキルで出した炎を自由に操作出来るようになる。本能で使用していたスキルを、知恵が上がった事で考えてスキルを使用出来る様になった者が得られる』


「どうやらタマは、自分の炎を操作出来る様になったみたいだね。例えば全身を炎で覆っていたものを、片手に集めて大きな手にしたり出来る様になったね」


「ほう、それは楽しみなスキルじゃな」


さて、マオはどうなったかな。


マオ


レベル  49


HP  891 / 891

MP  653 / 653


スキル 強化 ・ 回復促進 (LV20)

    魔王の因子 (LV12) ・ MP自動回復

    白炎 (LV1)


白炎 『消費MP 30 ・・・ 温度の高い白い炎を操る事が出来る。封印されていた魔王の力を吸収した者が得られる』


「マオはステータスがかなり上昇しているね。それに白炎レベル1を覚えていたよ。いや?思い出したと言うべきか悩むな」


「妾にもついに、ついに攻撃魔法が手に入ったのだな!」


マオはとても嬉しそうに自分のスキルについて思い出していた。


こうして色々あったが、無事に黒い獣を倒す事が出来、村に平和が戻ったのだった。そうしてその報告をする為に、東の森に向かって行ったのだった。


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