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68話 再びエルグラウンへ

いつの間にかにブックマークが100件を超えてました。最低100人の人に読んでもらってると考えると、とても嬉しく思います。

68話 再びエルグラウンへ


夕食時に宿に帰って来た大輝達は、早速食事を食べる事にしてた。


「リリィよ、食事を2人分頼むぞ!」


マオがリリィに向かって手を振って食事を頼んだ。



「おかえりなさい。今日は何処へ行ってたんですか?」


リリィが食事を持って来て大輝達の前に置いた。


「なに、明日の昼過ぎに転移の魔道具を使って旅に出るのでな。暫くは帰って来れんので、その挨拶回りでヴァイオレットの所に行って来たんじゃ」


マオは夕食のパンをかじりながらリリィに説明した。


「そうですか、旅へ………え!?。一体どういう事ですか!?」


リリィは急な話に驚いてマオに問い詰めた。


「じゃから、転移の魔道具が、完成したから、エルグラウンへ、行くんじゃ」


マオはリリィに肩を激しく振られている。


「リリィ、落ち着いて。転移のダンジョンで採掘してきた魔石を使った魔道具で、マオの生まれた世界に飛ぶから暫くは帰って来れないんだよ」


「それがエルグラウンって国なんですか?」


リリィは少し落ち着きを取り戻し、マオの肩を振るのをやめた。


「国ではなく、世界じゃ。エルグラウンは異世界じゃ」


「僕達は勇者召喚で呼ばれた異世界人なんだよ。あ!、でも僕達は勇者じゃないよ」


勇者召喚の時にヴァイオレットにも思われた事だから、大輝はあらかじめ断りを入れておいた。


「……本当の事なのですね?」


リリィは少し考えた素振りを見せた。


「ええ、だから転移に必要な魔道具を作るのに、この前のダンジョンに潜る必要があったんだよ。そしてこれが完成した<時空転移の宝玉>だよ」


そう言って大輝は完成した魔道具を取り出し、リリィに見せた。


「……こ、これが手作りの魔道具ですか……し、信じられない…魔力を感じますよ」


リリィは大輝の持つ魔道具を見て、信じられな物を見ているように凝視している。


「かなり大量の魔力を使ったからね。でもこれなら安全に時空の壁を越えれると思うよ」


「これを使って移動出来なかったら、おそらく勇者召喚自体が存在しませんよ」


自信満々の大輝の魔道具を見て、リリィも成功を疑わないレベルの魔道具だった。


「それで転移に必要そうな魔力を溜めるのに、明日の昼ぐらいまで掛かるから出発はその後って訳なんだ」


「それで妾達は暫くギルドを離れるが、…リリィ、ギルドの運営は大丈夫か?」


急にマオが真剣な顔をしてリリィの今後を心配している。


「マオちゃん……大丈夫です。ジェームズさん達もいますし、ポーションも大分数が揃ってきました。それにヴァイオレットも強力してくれてますので、きっと大丈夫ですよ」


今から異世界に向かうと言うのに心配をさせてしまっている事に気が付き、少しでも安心出来るようにリリィは明るく話してくれた。


「そうか、なら頑張るのじゃぞ」


「もし、どうしようもない事が起こったら、セイバの国の冒険者エルザって人に頼むといいよ。ビックルさんに言えば話を通してくれるはずだからね」


「その人に頼むとどうなるんですか?」


ビックルとリリィはギルドマスター同士で繋がりがあるが、エルザに頼むと何が起こるかが分からず疑問に思ったのだ。


「エルザは妾達をこの世界に呼んだ者じゃ。大輝は2度呼ばれておるから3度目も呼べるじゃろう」


「大輝さんやマオちゃんの力が必要な相手、……魔王が攻めて来た時の対策ですね。分かりました。今後の事を考えて、エルザさんと交流も進めておきます」


「そんなに魔王が攻めてくるとは思わないけど、危険に備える事は良い事だよ」


その後は食事をしながら今後の話をして部屋に戻って行った。部屋に戻ると大輝はほぼ回復したMPをオメガに預け、暫くお預けとなるここのベットの感触を味わって眠りについた。



朝食を食べてからは時空転移の宝玉にMPを溜め込み、マオの協力の下MPの回復を待った。

その間は道具屋に行って、オメガの食事用の魔石を買い込んだりして時間を潰していった。



そろそろMPが全快になる頃、昼食を食べていると予想外の人物が訪れた。


「大輝君、マオちゃん、お久しぶり」


「あれ、シロップさん。店の方は良いんですか?」


毎日行列の出来る、シロップの占い店なのでどうしたのかと思ったのだ。


「店は昼食中と、張り紙を貼って来たから心配ないわ。それより気になる映像が見えたから、大輝君に知らせにきたの」


「気になる…映像ですか?」


占い師が店をほってでも来るほどの気になる事に、嫌な予感でいっぱいになっていた。


「大輝君達の未来で、どこだか分からない村が火に包まれている未来が見えたのよ。それで気を付けてもらおうと駆けつけて来た訳なの」


「…村ですか?……今から向かう予定で見に覚えがある村と言えば…」


「…間違いなく、ミミのおるファスト村じゃろうな」


2人して顔を合わせて見ると同じ事を考えていたようだ。ただ良い事もあった。

大輝の未来でファスト村が見えると言う事は、時空転移は成功する事が保障されたようなものだったのだ。


「なら急いで行った方が良さそうだね。シロップさん、教えに来てくれてありがとうございました」


大輝はわざわざ知らせに来てくれたシロップに、頭を下げてお礼を言った。


「どういたしまして。…またこっちに来たら、顔を出しなさいよ」


そしてシロップは軽く手を振って応え、客が待っている自分の店へ帰って行った。


のんびりする時間は終了を向かえ、大輝達は急いで旅の仕度を終わらせた。


「大輝さん、マオちゃん、危ないと思ったらすぐに帰って来てくださいね」


リリィも話を聞いていたんで準備を手伝ってくれて、今は少し不安そうな顔をして送り出そうとしてくれた。


「一応は住み慣れた世界じゃから、すぐに戻れん状況なら大国にでも逃げ込むから安心せい」


「リリィ、今までありがとう。また帰って来た時はお世話になるから、体調も気を付けてね。…それじゃあ、行ってきます」


そうして大輝は時空転移の宝玉を取り出し、魔力を込めた。


「オメガ、もし魔力が足りなかったら補充をよろしく!」


「お嬢ちゃんから1000以上のMPを預かっているんだ、安心しろ」


時空転移にどれほどのMPを使用するかは、分からない状況なのでオメガと宝玉の両方に魔力を溜めて置いたのだ。


そうして、膨大な魔力が大輝達を包み込み、一瞬でその姿が消えていった。


「大輝さん、マオちゃん、お気をつけて……」


その後には、静かに祈るようなリリィの言葉だけが響いた。






次に大輝達が見えた視界の先は、炎に包まれた村だった。


「ここはどこじゃ?」


マオは炎に包まれた周囲を確認するように見回している。


「とりあえず、ファスト村の……は、はずだけど……」


「大輝?」


大輝の途切れ途切れの言葉に、マオは不振に思い大輝の方に振り向いた。


「マオのお嬢ちゃん!不味いそ、魔力が予想以上に持っていかれた!宝玉の分も俺に預けていた分も全て使っても、このお嬢ちゃんのMP全てを持って行かれた」


「!?。<回復促進>!」


オメガの慌てようから大輝の状態が不味い事に気が付き、急いでMP回復を行った。


しかし、既に大輝の意識は朦朧としており、大輝は気を失ってしまった。この状況でモンスターに襲われるのは危険と、マオが心配していると少し離れた所で物音が聞こえた。

モンスターか?と心配をしていると


「おい、お嬢さん達。大丈夫か?ここは危険だ。一先ず避難場所があるからそこに行くぞ」


物音がした方向には、この村の男が現れたのだ。


「すまぬが連れが気を失い、動けない状況なのじゃ。悪いが手を貸してくれ」


「…分かった、急いで逃げるぞ!」


男はすぐに倒れている大輝を抱きかかえ、道を案内するように前を歩いてくれた。



暫くして大輝は目を覚ました。


「もう大丈夫か?」


目が覚めた事にいち早く気が付いたマオが、心配そうに大輝の顔を覗き込んでいる。


「ああ、大丈夫だよ。どうやらあれでもMPが足りなかったようだね。久々に気を失ったよ」


「…まったく心配させおって、じゃが無事でなによりじゃ」


今回の転移で使用したMPは、約5000ぐらい使用した事になった。しかし、用意したMPだけでは足りなく、HPの方も半分ぐらい減っていたのでマオも心配していたのだ。


「それで、ここは何処なんだい?」


大輝は体を起して周りを確認したが、記憶にはない場所だったのだ。


「ここはファスト村の避難所、と言った所の場所じゃ。村の様子を見に来ていた者に見付けてもらえて、ここまで運んでくれたんじゃ」


「それじゃここに、ミミやワンスさんもいるの?」


今一番の心配事はミミ達の安否だった。


「あの2人は別の避難所にいるらしい。じゃが、連絡は取り合っているので安否は確認済みじゃ」


「そうか、…良かった」


大輝は安心して深く息を吐いた。


「それで火災の原因はなんだったの?」


村全体が焼けるほどの火災は、普通の火事ではありえない事なので、他に原因があると思ったのだ。


「まだはっきりとした原因は不明らしい。ただ、南の方から巨大な魔物が現れたなどの情報もあるが、どれも確証が取れてはおらぬ。それに今は夜じゃ。お主もまだ前回には程遠いであろうから、今日は寝て明日に備えるのじゃ」


今すぐにでも動こうとした大輝は、マオに読まれて先に注意されてしまった。


「……分かったよ。ミミ達の無事も確認出来たし、今日は寝るよ」


「分かれば良いのじゃ。さて、休むとするか」


そうして2人は明日に備えて眠りに着いた。






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