63話 魔剣オメガの能力
63話 魔剣オメガの能力
依頼を完遂して宿に戻って来た大輝達は、食事をしながらオメガの能力について振りかえっていた。
オメガに魔力を渡してそのまま刃として剣の周りに纏わしてリーチを伸ばせる。
事前にじ魔力を預けておく事が出来、任意のタイミングで大輝に返す事が出来る。
オメガが使える闇魔法は
<ブラックミスト>任意の場所に黒い霧を出せる。霧を自分の形にしたり自在に操作もできる。
<シャドーブラスト>闇の刃を飛ばし切り裂く。
<ダークボール>周囲の魔法を吸収する黒い玉を呼び出す。
そして魔法を斬ると魔力を吸収して消滅させる事が出来る。
さらにモンスターを斬っても少量だが魔力は吸収出来た。話に聞くと人を斬っても魔力を奪えるらしい。戦闘中に相手の魔力を奪って行くのは強力だ。
現状のオメガの攻撃力は今まで使っていた刀よりかなり上のようだった。
「オメガの魔法や能力は疎外や吸収系が多かったのぅ」
「それは仕方がない事だったんだ。何しろ俺は動けないからな、相手を惑わして俺から注意をそらす必要があったんだ。吸収系の能力が多いのは、それらに必要な魔力を外から集める必要があったからだ」
食堂のテーブルにオメガを置いて、向かい合うように大輝とマオは座って話をしている。
「でもオメガの斬れ味はかなりの物だったから目立ちそうだな。……オメガ、自分の力で斬れ味を落としたり出来ないかな?」
今の斬れ味は鉄ですら簡単に斬ってしまうほどだったのだ。
「無理だな。もし斬りたくないなら俺の側面を使ってくれ」
「それはそれで不自然過ぎるよな……」
大輝はガックリと肩を落として落ち込んだ。
「既に漆黒の剣を背負っている美少女冒険者で、噂になってますから手遅れじゃあないですか?」
落ち込んでいる大輝に、更に追い打ちを掛けるようにリリィが話に入って来た。
「…リリィ、その話は本当の事なの?」
せめて冗談であってくれと、願うような気持ちでリリィに問いかけた。
「残念ながら本当の事です。正直今の大輝さんの年齢で、剣を背負って普通に歩けてるのは、かなり目立ちますからね」
「そうですよね~…」
大輝はテーブルに頭を預ける形で落ち込んでしまった。
「それより大輝さん、頭は大丈夫ですか?」
「…どういう事?」
大輝は言葉の意味が分からず、顔だけを上げてリリィの方を見た。
「いえ、朝のゴタゴタで大輝さん、後ろから銅の剣で頭を叩かれましたよね?あの時ポーションも使っていないのに、普通にしてましたから忘れていましたけど…一般人には致命傷ですよ?」
後方から銅の剣での頭への不意討ち。普通に考えると確かに洒落にならない攻撃だったのだ。
「そう言えば気は失ったけど、頭にコブが出来たぐらいだったな」
思いだしたように軽く頭を撫でながら自分でも異常だと思った。
「…コブだけって、かなり不自然ですよね」
「もしかしてじゃが、魔族になった事で新たな能力でも持ったのかもしれんのぅ」
「魔族って全員、何らかの能力を持っているんですか?」
マオ達の言葉に首を傾げながら話を聞いている。
「全員ではない、…じゃが持っている者がいるのも事実じゃ」
「なら僕も何らかの能力が増えたかもしれないね。最近見てなかったけど、ちょっと確認してみるよ」
そう言って大輝は自分のステータスを確認してみる。
天兎 大輝
レベル 45 レベル 14 レベル 15
HP 832 / 832
MP 1150 / 1450
スキル 強化 ・ 風の初級魔法 (LV14)
使役者 ・ 錬金術 (LV22)
無錬成陣師 ・ 魔人化
操髪術
・ポーション ×10
・干し肉 ×35
・水の魔石 ×15
・クリスタルランス
・四属性刀
・錬成陣の皮手袋
「……いつの間にかにスキルが増えているよ…。それにまたレベルの枠が増えている……」
「どうしたのじゃ?微妙な顔をしているようじゃが?」
呆れるような顔でステータスを見ている大輝に、マオが不思議に思って声をかけた。
「…スキルは増えていたよ。ちょっと待ってね、今から能力を確認するから」
そうしてスキルを確認し始めた。
無錬成陣師 『消費MP 5 ・・・ 錬成陣を使わないでも追加でMPを払う事で錬金術が使えるようになる。錬金術のレベルが20を超えたベテランが覚える事が出来る』
魔人化 『消費MP ・・・ HP、MP、その他の身体能力が上乗せされる。魔族の核を埋め込まれて生き残った者が魔族として転生した時に覚える事が出来る』
操髪術 『消費MP 5 ・・・ 髪を自在に操る事が出来る』
「…頭の怪我が大した事なかった理由が分かったよ。…たぶんこれが影響したんだと思うよ」
そう言って大輝は髪に意識を集中した。
「なんと!?」
「!?」
2人は大輝の髪を見て驚いている。…大輝の髪はまるで意思を持っているように、頭の上で右へ左へと自由に動いてその後、綺麗に固まってしまった。
「僕の新しいスキルは<操髪術>、髪を自在に動かしたり、今みたいに固める事も出来るようだから、これで無意識に防御したんだと思うよ」
「…これはまた、微妙な…いや、変わったスキルじゃな」
「…そうですね。無駄な…じゃなかった、あまり役に立たなさそうな…でもなく……えーーと…」
「リリィ…無理にフォローしようとしないで良いから」
2人の反応は微妙なものを見て、どう言えば良いか悩んでしまっている顔だった。自分でもそう思っているのだから2人の気持ちは分かっていたのだ。おそらく鏡で自分の顔を見れば、同じ顔をしているだろうなと思っていた。
「じゃが頭の防御力が上がったと思えば、良いものじゃないかのぅ」
慰めてる感はあるけど、確かに地味に役に立ちそうなスキルではある。
「そうですね、手が届かない時などに役立ちそうですね」
「…そうだね」
リリィに言われて再度、地味すぎるスキルだと思えてきたのだ。
「…あ、後は魔人化ってスキルでHP、MPとその他の能力が上昇した事と、錬成陣なしでも錬金術が使えるようになったよ」
「魔族になって身体能力が上がったという訳じゃな。そして錬成陣は…まあ、便利じゃな」
「どおりで兵士達の剣を素手で受け止めれた訳ですね。元々強かったのに更に強化された訳ですもの」
マオがまた微妙な顔になり、リリィは納得したような顔で大輝を見ていた。
このまま自分だけが微妙なのは、嫌だと思った大輝はマオのステータスも確認してみた。
マオ
レベル 46
HP 512 / 512
MP 259 / 459
スキル 強化 ・ 回復促進 (LV20)
魔王の因子 (LV2)・MP自動回復
魔王の因子 『消費MP ・・・ 魔王を倒した時、相手の力の一部を吸収出来る。<ゴブリンロード>HPの上昇。<クリスタルドラゴン>身体能力の上昇』
MP自動回復 『消費MP ・・・ 時間と共にMPが回復していく。回復促進のレベルが20以上になった者が覚える事が出来る』
「マオもスキル増えてるよ。MP自動回復、時間でMPが回復していくみたいだね」
「なんと!最近、魔道具を使った割にはMPに余裕があるとは思っておったが、そんなスキルに目覚めていたとはのぅ」
大輝の話を聞いてマオは嬉しそうにしていた。
「それで今後の話なんだけど、そろそろ転移のダンジョンに挑んでみようと思う」
大輝が今までの雰囲気から切り変えて、静かに今後の話を始めた。
「確かにそろそろ挑む時期じゃろうな」
マオも考えていたようで同意してくれた。
「……危険なダンジョンです。絶対無理をしないで、危ないと思ったらすぐに引き返してくださいね」
前から転移のダンジョンを目指している事を知っているリリィは、止める事は不可能と分かっているが心配する気持ちが表情に出ていた。
「無理はしないよ。僕達の目的は転移の魔石だからね。攻略目的で深く潜る必要はないから、採掘出来るようなら第1階層で攻略終了の可能性もあるしね」
大輝はリリィを安心させる為にも、出来るだけ明るく言った。
「確かに未攻略の最深部に何があるかは、気にならないと言えば嘘にはなるがのぅ。じゃが無理な危険を冒す必要は今はないから、リリィよ、安心して待つがよい」
マオも暗くなってしまったリリィを心配しているようだ。
「出発は明日。場所はここから徒歩だと1日以上掛かるから、この町に帰って来るのは早くて4日後かな」
「!?。そうじゃ!どうせなら宿の部屋に転移の魔法陣を設置してはどうじゃ?クリスタルダンジョンのトラップにあった、特定の位置に転移させる魔法陣の片方がここにあれば、向こうで仕入れた魔石で緊急時は魔法陣を描き、一瞬で帰ってくる事が可能になるのではないかのぅ?」
マオの話を聞いて2人共、目を見開いて「それは良い案だ!」と思い立ちあがった。
「それはかなり良いアイデアだよ!早速帰ったら魔法陣、転移専用だから転移陣とでも呼ぼうかな。その転移陣の設置をするよ」
「危険なトラップが安全な冒険の手助けになるなんて、世の中分からないものですね」
「まー大輝が転移陣を設置できる実力があっての事じゃがな。転移の魔石が大量に手に入ったら、セイバの国ともつないでみるのも面白いかもしれんのぅ」
今後の転移陣の活用に話が盛り上がったまま、時間が過ぎて行った。時間が結構経っているのに気が付き宿に戻った大輝は、転移陣の設置を済ませた後、明日に備えて寝る事にした。




