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42話 ギルドランクアップ計画

42話 ギルドランクアップ計画


「すみませんでした。もう大丈夫です」


嬉しくて泣いていたリリィがようやく落ち着きを取り戻した。


「それでは説明をお願いします」


「はい、先ほども言いましたがギルドは実績が重要視されます。実績とは冒険者がこなした依頼の難易度と量、その成果、安全性などがあります。難しい依頼を完璧に沢山こなせば依頼人の信用を勝ち取り、また依頼がくるという流れになります。そして安全性として依頼人や冒険者本人が安全に依頼をこなせばその安心感も次の依頼に繋がるという訳です。そして依頼が増えれば冒険者も増えてそのギルドは活気出てきて大きくなっていく訳ですね」


「なるほど、さっきの依頼人が指名してまた依頼すると言っていたから、その流れを作れば良いと言う訳ですね」


「…もう指名を貰うほどの活躍をしてましたか。魔王と出会って無事に済んだんですから当たり前ですかね。それとギルドの宣伝をする事で依頼量を増やす事も可能です」


「宣伝って、広告を配ったり口コミで広げて貰ったりするって事?」


「ギルドは実力世界なので言葉だけでは依頼は増えません。4カ月に一度ギルド対抗戦がありますのでそこで良い成績を残してギルドの力を示すのが宣伝になります」


「ギルド対抗戦には俺達が何度か出た事はあるんだが良い成績を残せなくてな」


ギルド対抗戦。各ギルド3人のチームを輩出しトーナメントを行い実力を見せる大会だ。もちろんその試合は一般の人も見る事が出来るのでギルドの力関係を知らしめる事になっている。ジェームズも前回の対抗戦に代表で出たがあっさり一回戦で負けてしまっていたのだ。3人のチームは基本、攻撃役、守り役、魔導士の3人で組む為、魔導士のいないジェームズ達は近づいて戦うしかないが、相手は離れて攻撃が出来るので待ち構えて接近される前に魔道具でダメージを与え、万全の体勢で戦えるのだ。そんな状況でジェームズ達に勝ち目があるはずがなかったのだ。


「それで次の対抗戦はいつあるんですか?」


「……………5日後です」


「……………」


あまりの急な日取りに全員何も言えなくなった。


「出場選手の登録は明日までに行わなければならないので、この後でジェームズさんにまた頼もうかと思っていまして」


「前回の結果を見て分かっているとは思うが俺達では対抗戦には不向きだ。魔導士を含むチームに頼んだ方が良い成績が残せるはずだ」


「…魔導士ですか………!?」


ジェームズの言葉に少し悩んだ後何かに気付いたように大輝達の方を向いた。


「大樹さんマオちゃんどうですか!参加してみませんか?」


「あー…対抗戦って皆が見ている中で戦うんですよね?」


「……はい、各ギルドマスターは当然、国の重役や一般の人も多数見にきます」


リリィは大輝の言いたい事に気が付き声がどんどん小さくなっていく。


「…リリィには悪いけど僕は…」


「大輝よ、妾だけが出場するのはどうじゃ?妾が顔を隠して、…そうじゃなナビコスとドライブも顔を隠して一緒に参加すれば大丈夫じゃないかのぅ」


「え、私達も顔を隠すの!?なんで?」


ナビコスとドライブはいきなり矛先が向いたと思ったら良く分からない話の流れになってしまっており混乱していた。


「何を言う。顔を仮面で隠した正体不明のチームじゃぞ!かっこいいと思わぬか?」


「思いません!…それなら師匠だけ付けてください。リーダーが謎のチームっていうのも良いとおもいますよ」


ナビコス達は顔を隠す理由はない。しかもその理由がかっこいいからと言う価値観の違う内容なら全力で避けたいと思ったのだ。


「なるほど、妾だけが謎の選手か。それも良さそうじゃのぅ。しかし仮面を付けないのならジェームズが誰かに変わって出ても良いぞ」


「…俺が選ばれなかったのは仮面が似合わなそうだったからか……」


ジェームズがマオに選ばれなかった理由を知り微妙にショックを受けていた。


「ジェームズさんどうしますか?」


リリィが脱線しかけた話をジェームズに戻してもらう為にまとめ役として話を振った。


「…そうだな。確かにお嬢ちゃんの手の速さには俺は着いていけないからナビコスの方が向いているかもしれん。ドライブは守りの要として出てもらうとして、問題は武具だな」


「武具…ですか?」


「ああ、俺の武器はどう見える?」


背中に装備している剣を抜きだしリリィに見せる。


「あれ?ジェームズさん剣を小さくしたんですか?」


「やっぱりそう見えるよな。…これはダンジョンで大輝に作ってもらった大剣だ」


「大剣って…あれ?まさか剣の周りにかすかに見えるのはクリスタルですか?そんなのを振り回して折れたり割れたりしないんですか?」


「そこが問題なんだよ。正直な話確かにクリスタルで出来てはいるが銅なんか比較にならないぐらい丈夫でしかも良く斬れるんだ。このレベルをどうやって言い訳をするかが問題なんだよ」


大輝がいろいろ考えてくれて目立たない武具にしてくれたのに白昼堂々対抗戦に使用したら意味が無くなるのは明らかなのだ。


「対抗戦の時だけでも武具を変えますか?」


「それは出来ないわ。私はマルスとヴィータを手放して違う子を使うなんて無理だわ!」


「え?」


「自分もパルテナとクラインを手放す事は出来ない」


大輝も初めて知ったがいつの間にかドライブは自分の槍にクラインと名付けていたようだ。


「……えーと、ジェームズさん彼らは何を言っているのでしょうか?」


「…聞かないでくれ」


リリィが混乱しジェームズが匙を投げた。ナビコス達の武具に対する気持ちにマオは満足そうに頷いているが大輝は見なかった事にしていた。


「なら2人の武器に魔石で属性を持たせてギルドにあった魔道具とすればどうかな」


今まで沈黙を保っていた大輝が発案した。


「…なるほど魔道具かアーティファクトと言えばこの見た目も不思議ではないか。…どうする2人共武器を加工してもらうか?」


「マルスに新たな力が宿るのは嬉しい限りですので私は構いません」


「自分も相棒の成長は喜ばしいです」


「なら火、水、地、風、どの属性にする?後付けて欲しい能力はどんなのがいい?」


「……マルスは風でお願いします。能力は風の刃を飛ばせれば最高です」


「自分は地で。能力は刃の先端から石で刃を更に作りリーチが伸びるようにしてほしいです」


「わかった。でも風の刃は硬い物を切り裂いたりまでは出来ないよ。それと石で出来た刃は貫通力は期待出来ないけどそれでもいいかい?」


「「十分です」」


そうして早速ギルドにあった魔石を利用して武器の改造を終わらせた。ナビコスの剣は薄い緑色にドライブの槍は先端が銅の色と似た感じになった。そして試し撃ちとして地下の訓練場に行き魔道具としての性能を確認した。結果ナビコスの風の刃は射程が10メートルくらいで生身なら切り裂けるが銅などは吹き飛ばす程度の攻撃力で元々MPが少なかったせいか10回くらい使った段階でばててしまった。ドライブは槍の先端から更に1メートルリーチが伸びたがやはり使用回数が8回と少ないものだった。


「んー、あまり強力ってほどの効果は出なかったか」


大輝が少しがっかりしていると。


「何を言っているんです。十分ですよ!私、遠距離からの攻撃に憧れていたんですよね。それに10回の使用制限も隠し技としてはちょうど良いです」


「自分も満足です。自分の役目は守る事なのでそんなに使用はしないので回数も問題はありません」


大輝の思いとは違い2人はかなり満足いっているようなのでこれ以上何も言わない事にした。


「ギルドマスター、これで条件は揃いました。登録はお嬢ちゃんとナビコス、ドライブでお願いします」


「その前にこれがマオちゃんのギルドカードです。まだ10級ですけどこの対抗戦は上位ランクの人を倒した場合、認められればその場でランクアップしてくれる事がありますので頑張ってください」


「ならばそのまま5級でも目指すとするかのぅ」


「師匠の目的が達成出来るように全力でお手伝いします」


「いやまずはギルドを大きくする事を目指すのじゃ」


「「はい!」」


ナビコスとドライブのMPが切れかかっているのに元気の良い声を聞いて場が和んでいる。


「何はともあれ後は妾の仮面だけじゃな」


「……それは忘れてなかったんだね」


「当然じゃ!大輝よ、デザインは妾がするから製作は頼むぞ」


「…お手柔らかにお願いします」


仮面作りにノリノリのマオに全員が苦笑しか出せなかったのだった。


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