32話 プレゼント
32話 プレゼント
大輝達は前回来た鉱山に着いた。
「さて、ロックゴーレムはここより更に奥に行った所だったね」
「うむ、採掘は依頼を終わらせてからじゃな」
そうして大輝達は奥に進んで行く。ロックゴーレムは3か月ぐらいで復活するらしいので度々討伐依頼が出ている。その為、獣道のようなのが出来ていて迷う事なく目的地に行ける。途中で毒カエルが何度か襲ってきたがタマの鼻で近くにいると分かる為、苦もなく倒して進む事が出来たのだ。そうして30分ほど進んだ所でロックゴーレムを見付けた。
「結構大きいのぅ」
ロックゴーレムは2メートルほどの大きさで体が名の通り石で出来ている。大輝達は隠れて様子を見ているのでまだ気付かれてはいない。
「さて、先制として妾とタマで攻撃するから様子を見て大輝が攻撃でどうじゃ?」
「…どうせ攻撃するなら僕の風魔法でロックゴーレムの近くに風の塊を作るから、そこにマオとタマの炎攻撃を撃ち込もう。上手くいけば破壊力が上がるはずだから」
「?良く分からんが大輝が言うならそうなんじゃろう。妾は構わぬぞ」
「それじゃあ準備するから用意して待ってて」
そう言うと大輝は気付かれないようにロックゴーレムの後ろに風を集める。
「準備出来たよ。マオ!、タマ!よろしく」
大輝の言葉でマオは炎の杖を、タマは狐火を3つ同時に放ちロックゴーレムに当たる。
ドォォォオオオーーーーーーーン!!!
その爆発で鉱山全体が揺れた。元々の炎にその中心からも風の供給を受けた事でバックドラフト現象のように爆発的に炎が成長したのだ。その結果、火に耐性持つロックゴーレムはその周辺と共に一瞬で吹き飛んでしまった。
「……な、なんなのじゃ!?妾はいつも通りに炎の杖を使っただけじゃぞ?」
「…ははは、想像以上の破壊力が出たな…」
大輝はマオに説明しながら爆発の中心に立ち周囲を見回していた。周囲は全て黒く焼け焦げていた。その中で一カ所だけ光っている場所があり向かってみると大きめの魔石があった。
「これはロックゴーレムのレア素材かな?」
「相変わらずドロップ運があるのぅ。さて思ったより早く依頼を達成した事じゃし、戻って採掘でもするかのぅ」
「そうだね、欲しい魔石もあるし、ギリギリまで採掘しようかな」
そうして大輝は採掘ポイントまで戻り、時間の許す限り採掘を行い町へ帰って行ったのだった。
「無事にロックゴーレムを倒してきました。それでこんな魔石を手に入れたんですが、何か分かりますか?」
夕方冒険者ギルドに戻ってきた大輝は報告と一緒に手に入れた魔石の正体を聞こうとしていた。
「…これは討伐確認の手間が省けたな。こいつはロックゴーレムの核で<地霊石>と言って武器や道具に再生の力を与える素材だ」
「再生?剣が欠けたら元に戻るみたいな事が起こるって事ですか?」
「そうだ。しかし残念な事にこの国には今、これを合成させれる人はいないんだ。後、数カ月すれば帰ってくるはずだからそれまで大事に取っておくといい」
そうして地霊石が討伐証明となり依頼は完了した。
「それじゃ早速作りたいのがあるし宿に戻って食事にしようか」
「妾も腹が減ったし了解じゃ」
そうして大輝達は宿に向かったのだ。
「大輝さんまた無茶をしたらしいですね!」
リリィは顔を見るなり大輝に詰め寄った。
「え、でも鉱山は前に行ってるし欲しい魔石もあったから…」
突然の事で大輝は動揺してしまい、まるで子供の言い訳のような事を言うしか出来なかった。
「そんな理由で8級クラスの最高に危険な依頼を受けないでください!死んでしまいますよ」
リリィの相変わらずの情報の早さにはもう慣れて驚く事はなかったが、真剣に怒っているようで大輝は何も反論出来なくなっていた。
「まあリリィよ、そんなに怒るでない。不意の一撃で終わらせたから妾達は無傷じゃよ」
「え、一撃?ロックゴーレムを一撃で倒したんですか?」
フィールドボスのロックゴーレムはその体から高い防御力と攻撃力を持っている。唯一の弱点である動きの遅さで攻撃をかわし、地道にダメージを与えていくのが基本的な戦い方なのである。それをマオは一撃と言ったのだ。その言葉の意味を考えるととても信じる事は出来ないのだ。
「違うよ。全員で一気に攻撃して倒したんだから一撃とは言わないよ」
「じゃがあれは妾の炎がメインみたいなもんじゃからほぼ一撃じゃ」
どうやら一撃と言うかは微妙に分からないが反撃の隙も与えず一瞬で終わらせたのは確かなようだ。しかも耐性のある炎で倒すなんてと、リリィは信じられない者を見るような顔で話を聞いていた。
「そんな感じで危険な事はなかったから許して」
大輝は心配してくれたリリィに頭を下げ謝った。
「分かりました。大気さん達がランクそのままの強さではないのは理解しました。でも2人で行って怪我でもしたらどうする気だったんですか?見たところ包帯などの医療道具も持っていないようですし」
「……包帯?何に使うの?」
大輝とマオの不思議そうな顔で言う言葉にリリィも不思議そうな顔になった。
「…包帯は怪我をした時に使うに決まっているじゃないですか」
「一応妾が<回復促進>と言う回復魔法を使えるしのぅ」
「そのマオちゃんが怪我をしたらどうするんですか!?大輝さんは回復魔法を使えないですよねぇ?」
「…いや、その時は薬草を使うし、今の所包帯が必要になる事はないよ」
「薬草?」
「「え!?」」
再び互いに不思議そうな顔をして沈黙が始まっていた。
「薬草ですよ?怪我した時の魔法薬の?普通に道具屋で売っているやつですよ」
「薬草とはどんな物なんですか?道具屋で売っているなんて聞いた事もありませんよ?」
疑問符が続いているので現物を見せた方が早いと感じカードから薬草を取り出しリリィに見せる
「これが薬草です。食べればHPが50くらい一瞬で回復しますし、患部塗ればその場所の傷が一瞬で治ります。…この国ではどうやって傷を回復させているんですか?」
「傷は町にいる回復魔法の使い手の所に行くか、患部を消毒し自然に回復するのを待ちます」
「え!?、それじゃあ回復魔法の使い手が急がし過ぎるじゃないですか!」
「それが普通ですよ。むしろ一瞬で治る方がおかしいと思いますけど…」
大輝は前にジェームズが言っていた回復魔法の使い手の貴重さを理解した。薬草を知らないと言う事は、ファンタジーな世界で現実的な治療をしないといけない事になる。
「大輝よ、今思い出して見るとセイバの道具屋でも薬草は見なかった。戦闘用に買い占められていたかと思っておったが、もしかすると存在自体がないのかもしれんぞ」
マオの言葉でセイバの道具屋の商品を思い出して見たが確かに薬草は記憶になかったのである。
「今後の事を考えると薬草は必要だよね。……いっそ栽培して増やすかー…」
「じゃが増やし方を大輝は知っておるのか?」
「聞いた話では大地の力を大量に吸収したのが薬草になるらしいから、地脈の上に畑を作りそこに薬草を植え戻せば増えるかも知れない」
「しかしその方法じゃと増えたとしても時間が掛かり過ぎるのぅ」
「そうだよね…、!、じゃあさっきの地霊石を使った<再生の土>を作ってみよう。薬草を半分に割ってから植えて元に戻るようなのを目標にしてね」
「大樹さん!、もし増産出来たら私にも見せてくださいね!後、例も物も忘れずに」
リリィは薬草に興味を持ったようだった。そして昼に作ると言ったマオ用のリボンの事も釘を刺されたのであった。
「分かっています。今夜中に作ろうと思っているよ」
そうして食事を終わらせた大輝は部屋でリボン製作に入った。素材は布の服をリボンの形に変化させた物と魔導高石、水の魔石<清水石>の上位魔石<流水石>で、リボンの布を魔導高石と合成して魔石の成分を持った布を作り、流水石を合成し水の属性を持たせたのだ。リボンの色は水色になり中心に濃い青の流水石が付いている。そして効果は、装備すると水の加護を得て火の耐性を持ち、さらに魔力を通すとシャボン玉の中に入るみたいに装備者の周り半径1メートルの水の膜を出す事が出来き、ある程度熱を遮断し毒ガスなども防いでくれる。
「昼に見たのはこんな感じだったよな」
完成したリボンを見て大輝は満足そうな顔をした。
「大輝よ、何を作っておったのじゃ?」
マオは大輝が作っていた物が完成した雰囲気を感じ聞いてきたのだ。
「これはマオへのプレゼントかな。名前は…そう<流水のリボン>!今日買った服に似合いそうな物を作ってみたけど、どうかな?」
大輝は完成したリボンをマオに渡した。
「これを、わ、妾にか?早速着けて見るぞ。…どうじゃ、似合うか?」
マオは早速リボンを首の後ろぐらいで髪を纏めて大輝に見せた。そして魔道具であるリボンを装備したのでマオの髪は水の加護で今まで以上に艶が増して見えた。
「とても似合っているよ」
「そうか!似合っておるか!うれしいのぅ。大事にするぞ、大輝よ」
マオは嬉しそうにリボンを触り微笑んでいる。
「それと一応は魔道具でもあるから効果を説明するね」
大輝はマオに流水のリボンの効果を説明し、大輝のMPも切れかかったので今日の作業を終え寝る事にした。




