26話 ドリエ
しばらくはほのぼのな内容になります。
26話 ドリエ
大輝達はドリエに到着した。ランドヨットは目立つと思い少し離れた所で降りカードに収納したので町に入ったのは夕方になっていた。
「ここがドリエか。まずは冒険者ギルドを探してお勧めの宿を聞こうか」
「この国の情報はないからのぅ。まずは情報収集は必要じゃ」
大輝は住民に冒険者ギルドの位置を聞いたところ、ここから20分ほど歩いた所にあるらしい。
「しかしこの国は活気があるのぅ。セイバとはかなり違って見えるぞ」
「そりゃモンスターに囲まれた生活をすれば元気も無くなるよ」
大輝達は道を歩いているだけで分かるほど住民の顔には笑みがあった。それはこの国が平和である証でもあるので大輝達にとっては良い事だったのだ。
20分ほど歩いた所で説明にあった冒険者ギルドの前に立った。中に入るとやはり1階は酒場とくっついている様な作りで受付の位置も一緒であった。大輝達が受付に行き、そこいた体格のいい中年の男にこの近くでお勧めの宿を聞いた。
「ここは案内所じゃあないんだがな。まあいい、まだ10級のシロートに特別に教えてやる」
受付の男の話だと、ここから西へ5分ほど歩いた所の<ナップスター>と言う宿が安くて良いらしい。大輝はお礼を言って冒険者ギルドを出て宿に向かった。
「ここがナップスターか…ずいぶん趣のある宿だね」
大輝達の前にはナップスターと消えかかっている看板がある汚れた建物があった。
「まあ野宿よりはましじゃろうて、さあ中に入るぞ」
大輝達が中に入るとそこは外見と違い綺麗になっていた。1階は食堂のようで何人か客が食事をしている中その奥で受付みたいな所を発見し話をしに行った。
「すみません、ここの宿に泊まりたいんですが」
「はーい、少々お待ちください」
その声は食堂で料理を運んでいたウエイトレスの人だった。
「お待たせしました。それで宿泊でよろしいのですね」
「えーと料金は一泊どれくらい掛かりますかね。手持ちが厳しくて」
「あ、失礼しました。宿泊は一泊で1人50ゴールドで前払い、食事は付きませんので食堂で食べるか外で済まして来てください。家の食堂は一食10ゴールドですので参考にしてください。それでどうしますか?」
「一先ず3日お願いします。後そのまま食事も食べますので一緒で」
そう言って大輝は320ゴールド出した。
「毎度あり~!私はリリィこの宿屋の娘なの。暫くよろしくね。後、部屋は2階の一番奥の部屋だから間違えないように。食事は何にします?」
「とりあえずお勧めメニューを2つで」
「分かりました~。席に着いて待っていてください~」
食事を済まし部屋に入った。そこは綺麗に掃除されている外観からは想像も出来ない6畳くらいの部屋だった。しかし問題があった。………ベットが1つしかなかったのだ。
「マオ、僕は床で寝るからベットを使ってくれ」
「いや、この金は大輝の出した物、床には妾が寝るからお主がベットを使うが良い」
「女の子を床に寝せれないよ」
「妾だってお主を床に追いやるなんて事出来ぬ」
その後何分も揉めた結果、一緒にベットで寝る事で解決した。
「今まで一緒に旅をしておいて何を意識してたんだろうね」
「確かに今更じゃのぅ。…それとも妾の美貌に惚れたか」
大輝もマオも宿で水桶を借り久々に体を拭く事が出来たのだ。そして埃や汚れが落ちたマオの顔は確かに綺麗だった。
「まあ確かにマオは可愛いよ」
「な!?何を言うんじゃお主は!い、いいからさっさと寝ろ」
顔を真っ赤にしたマオは大輝に背を向けてしまった。
「うん、おやすみマオ」
「おやすみじゃ」
朝起きて朝食を食べようとした時、リリィが爆弾を投下した。
「昨晩はお楽しみのようで」
「な!?妾と大輝はそんな事はしておらん!」
「そんな事って何かな~」
「そ、そ、それより食事じゃ!2人分早急にじゃ!」
「毎度あり~!」
宿屋の定番トークに真面目に反応してしまったマオは倒れる心配をするほど真っ赤な顔をしていた。
食後、仕事を探すべく冒険者ギルドに顔を出した。大輝達のお金はすでにほとんど無くなっている。後2日で宿もなくなる、早急にお金を稼がないといけないのだ。
「なんか良い仕事ないかな?」
10級の仕事は町の清掃、廃屋の解体、荷物の運搬などがある。どれも報酬は50~100ゴールドである。9級の仕事は町の近くのモンスターの生態調査、魔石採掘の護衛などが300ゴールドくらいである。
「今後の事を考えるなら、魔石採掘の護衛などが良さそうじゃな」
「確かに自分で魔石採掘出来れば今後の魔道具作りに役立ちそうだ。じゃあこれを受けて来るよ」
大輝は受付に依頼書を持って行った。
「この依頼を受けたいのですが」
「10級のお前が9級の仕事を受けて失敗したとの罰金は知っているのか?無理をしているならやめておけよ」
「お金がないのは確かだが僕達は結構戦えますから多分大丈夫ですよ」
「無理をする訳ではないなら構わん。この依頼は複数のチームで合同で行う。昼までに東の門に集合だ、遅れるなよ。ほれこれが受領書だ。これを持って行けば依頼を受けた者と分かるはずだ」
「了解、じゃあ行ってきます」
大輝達はそのまま東の門に向かっていった。そこには既に2グループの冒険者がいた。
「すみません、魔石採取の護衛に来たのですがここで合っていますか?」
馬車の周りで何やら指示を出している如何にもドワーフと言える人に声を掛けた。
「ああ、お前達も依頼を受けてくれたのか。…お前達で3組目か時間的に最後の冒険者だな。今回はここから東に1時間ほど行った所にある鉱山に向かう。モンスターはそれほど強くはないが数が多い、お前達は移動中と採掘中に俺達にモンスターを近づけさせないのが仕事だ」
「分かりました。それでは他の冒険者にも挨拶に行ってきます」
近くにいた他の冒険者に近づく。
「こんにちは、冒険者の大輝で、こっちはマオです」
「おう、俺は<ジェームズ>、8級の冒険者だ。仲間は後2人ほどいるが今は席を外している。後で紹介しよう」
「俺は<グルト>、9級の駆け出しだ。よろしく頼む」
ジェームズは体格の良く上半身に銅の胸当てを装備、背中に大きめの銅の斧を背負っている。グルトは体の線が少し細いが銅の剣を腰に掛けて皮の鎧と盾を付けていて、相変わらず防具は装備していない大輝達はかなり目立っているのだ。
「ところでお前達はそんな恰好で護衛するつもりか?そんな小さい剣だけで子供まで連れて何が出来る。一体冒険者ランクはいくつだ」
グルトは大輝達の恰好、大輝は腰にナイフを1つ持ち服は布の服、マオは炎の杖を持っているがやはり布の服、そして如何にも子供のマオを見て不安に思っているのだ。
「冒険者ランクは10級ですよ。依頼を受けるのは初めてですし」
「10級!?初めて!お前達はモンスターを舐めているのか?普通10級クラスの依頼をこなし装備を整えてからモンスターと戦うんだぞ。…悪い事は言わない今回は辞退しろ」
グルトはおそらくコツコツ依頼をこなしここまで来たのだろう。そして心配してくれているのも分かる。
「残念ながら罰金を払うお金はないんですよ。それに僕達は実戦経験者です。足は引っ張らないのでよろしくお願いします」
「…だが…」
「まあ良いじゃないか。今回は合同の依頼だ、争う必要はないから協力していこうじゃないか。それで冒険者ランクが一番上の俺が今回のリーダーと言う事で構わないかい?」
ジェームズが間に入ってくれてこの場を取り持ってくれた。どうやらジェームズの仲間もそこまでは強くないらしい。
「僕達は構いません」
「俺もそれで良いです」
「よし、そろそろ出発のようだ。馬車に集まろう」
そうして初の護衛依頼は始まった。




