20話 模擬戦
ついに20話に到達!この調子で書いていけたらいいな。
20話 模擬戦
ギルドに帰ってきた大輝達は早速試合用の魔道具作りを始めた。
「それでマオ、どういう魔道具が欲しいんだい」
「流石大輝じゃ、妾が新しい魔道具を欲しがっていると分かるとは」
「何を言ってるの、炎の杖がなかったら残りの武器はナイフだけ、流石に分かるよ」
「実はのぅ、タマの<狐火>みたいに複数出せるのが欲しいのじゃ。炎の杖も良いが範囲が広くて今後使えない時が出てくるじゃろう、それでじゃ!」
「なるほどね。それでは指輪型の魔道具でいこう。ただ残りのMPを考えるとマオに<回復促進>を掛けてもらっても2つが限界かな。属性は何にする?」
「そうじゃのぅ。…やっぱり火じゃな、妾は派手な魔法が好きじゃ!」
「了解、それじゃ始めようか」
そうしてMPが切れる夜遅くまで魔道具作りは続き、終わらなかった分はMPが回復した朝から行った。
そうして城から迎えがやってきた。その馬車の中で
「マオどうだい感触は?悪かったら直に直すよ」
「大丈夫じゃ、予想以上の出来じゃ!」
「一応今回は模擬戦だから使っても2つ目の炎までだよ」
結局マオに渡した指輪は1つになった。が実は指輪は威力の違う3つが出来たのだが流石に3つ装備して全部火の魔道具だと今後の邪魔になると思い、合成圧縮で1つにまとめ使用者の意思で切り替えれるようにしてみたのだ。
そこまで出来た秘密は昨日マオとタマはレベル上げに行っている。そしてその経験値が大輝にも入っており何度がレベルが上がりMPの余裕が出来ていたのだ。
「しかし魔道具を1つにまとめてしまうなんて非常識な事、よく出来ましたね」
「僕の世界では2つや3つ切り替えるなんて日常的に合ったからね。イメージはしやすかったよ」
「また騒ぎにならなければ良いのですが…無理でしょうね…」
「あ、そういえば余裕があったからエルザさんの火の杖も少し火力を上げといたから消費MPには注意してね」
「…え!?」
息を吸うように自然と言う大輝の言葉に驚いた。自分の知らない間に自分の武器が強化されていたのだ。頼もしさと恐怖が同時に感じ、ただ自分の杖を見てる事しか出来なくなるエルザだった。
「よく参られました。こちらで王様がお待ちです」
馬車を降りるとそこには昨日王の横にいた側近の1人が挨拶し道を案内してくれた。
「おお、待っておったぞ。紹介しよう今日戦う宮廷魔導士の<ウルス>だ」
王は横にいかにも魔導士ですって格好の男を紹介した。
「うむ、妾がマオじゃ、今日はよろしく頼むぞ」
マオがウルスの前に出て自己紹介をしたところ、明らかにウルスは動揺していた。
「王様、今日の対戦相手はこの子なのですか?まだ子供ではありませんか」
ウルスは対戦相手の事を聞いていなかったようで王様に問いかけている。
「確かに子供だが侮る出ない。マオは単独でゴブリンを狩れるほどの実力者だ。全力で行け」
「こんな子供がゴブリンを?にわかには信じられないが王様が全力でやれと言われている以上手加減は出来ません。怪我をする前に降参してください」
マオはまたか、という顔をしてウルスの方を見た。
「相手の実力も分からぬ者よ、手加減はするからかかってくるのじゃ」
優しさから言ったはずがそんな上から目線の言葉を発したマオにウルスは軽く怒りを覚え、そこに
「マオちゃん絶対本気を出しちゃ駄目だからね」
エルザの応援の内容が耳に入り、怒りに燃えてしまったウルスであった。
「それでは勝利基準はどちらかの魔力が尽きるか戦闘不能になるか戦意喪失するまでで、相手を殺してしまった場合は反則負けです。それでは試合開始!」
試合開始の合図と共にウルスは杖を構えマオに向かってソフトボールくらいの水の玉を飛ばしてきた。スピードもエルザの火の杖の玉と変わらず、どうやらシリーズ物のようだった。
マオは余裕で水の玉を避けそのまま指輪をした左手をウルスに向け
「<ファイヤーボール>!」
マオの指輪が少し光り、ウルスに向かって火の玉が飛んでいった。それに驚き、紙一重でかわす事が出来た。ウルスが驚くのも無理はない。なにしろ装備している水の杖はエルザの持っている火の杖と同じで人の手で作られた最新の魔道具なのである。それなのにマオが出した火の玉は威力、スピード共にそれを上回っているのだ。しかも魔道具を指輪サイズまで小さくしているのも驚きだ。そしてその魔道具に振り回されず使っているマオもまた実力者と認めるしかないのだ。
「どうじゃ。降参するか」
なかなか立ち上がらないウルスに対しマオは笑顔で問いかける。
「いえ、貴女を見た目で判断した自分を叱っていただけです。これからが本気です!」
「なかなか見所がある奴じゃのぅ。どれ胸を貸してやるからかかって来るのじゃ」
ウルスはマオの周りを回りながら水弾を放っていく。その玉を1つ1つ丁寧に避けながら視線はウルスから決して離さない。そしてマオが火の玉を出す度にウルスはバランスを崩すように避けるしか出来なかった。
このままでは確実に負けると判断しウルスは近距離からの水弾を当てる為
「<強化>!」
強化の魔法を使い一気にマオとの距離を詰めて水弾を放つ。
「強化も使えるか。面白いのぅ、ゴブリンとは大違いじゃ!」
そう言うとわずか1メートルもない距離で放った水弾に対してマオは自分の火の玉を合わせて消滅させ威力で勝っている火の玉はそのままウルスに当たり弾けた。
「ぐぅわ!!!」
水弾と当たり、強化を使っていたので吹き飛ばされたがなんとか耐える事が出来た。しかしその威力でまた距離を離されてしまった。
「ま、まだやれます」
誰の目からもすでに勝ち目がないのは分かるが本人がまだやる気である以上、止める事が出来ないでいるのだ。そんな中マオはウルスの根性に嬉しくなり
「なかなか面白かったぞ。褒美に妾も面白い物を見せてやろう。<フレイムアロー>!」
そう言い指輪が光るとマオの周りに3本の炎の矢が現れた。
「ウルスよ、動くでないぞ」
そして炎の矢は飛んで行きウルスの足元に囲むように着弾した。
ウルスは動かなかった、いや動けなかったのだ。その矢のスピードはさっきの火の玉の倍は早くしかも3本同時に飛んできた。そして正確にウルスを囲んでいる以上1本1本コントロール出来ているということだ。それに着弾した所は燃え上がらずに地面をえぐっている。これの直撃を食らったら腹に穴が開く貫通力のある炎に変化させていた。
「どうじゃ、まだ続けるか?」
「いえ降参です。貴女にはかないません」
「久々に知恵のある者と戦えた、感謝じゃ」
「まってください。貴女はどこに魔道具を持っているのですか。指輪は分かりましたが他にはどこに?」
「?、何を言っておるのじゃ、妾は今回これしか持って来てないんじゃが」
そう言ってウルスに指輪を見せると
「まさかこんなに小型にしただけでなく2つを1つに纏めているんですか?」
「違う違う」
信じられない推測を否定してくれて少しほっとするウルスにマオは
「2つじゃなくて3つじゃ。3つ目は強力すぎて当たるとまず大怪我じゃから使わなかっただけじゃ」
更なる事実を聞きこれは魔道具なんかで収まらない伝説にあるアーティファクトを見ているような気持ちになっているウルスであった。
「王様、勝負ありですね。…それではこれで帰りますね」
試合を見に来ていた全員がその戦いに固まってしまっていたので、マオの勝利が確定した事を告げ大輝は帰ろうとすると。
「まて!俺は納得してないぞ」
そこには城を出されたはずのブリストンがいた。
「王様、いくらすばらしい戦いをしても所詮は子供、魔力の限界も低いでしょう。その時近くにいる者が無事に連れ戻せなければこの魔道具も敵に奪われ国の脅威となるでしょう。ならこの大輝にも試験は必要と考えられます。どうか王様その相手この私にやらしてはもらえないでしょうか」
突然の登場に王もまだ頭の整理がついてきていない。その時動いたのはエルザだった。
「ブリストン様、この試合は王様が決めた事です。貴方の考えも分かりますがそれは王命に逆らう事になりますよ」
「うるさい!庶民が貴族の俺に意見を言うな」
そう言いブリストンは振り向きざまにエルザの頬を殴った。エルザはその衝撃で少し後ろに飛ばされてしまった。
殴り飛ばされたエルザを見てマオが怒りをあらわにし
「…お主、死にたいらしいのぅ」
怒りをあらわにしそんなブリストンに近づこうするマオを大輝は止めた。
「何のつもりじゃ大輝よ?」
「ここは僕がやるよ。…王様、彼の言っている事は事実です。なので僕はこの男と戦って証明したいのですがどうでしょうか」
「お主が構わぬなら良いが、本当に良いのか?」
「はい、構いません。出来れば審判の方もどいてもらえると助かります。危険ですので」
「ふん、いい度胸じゃねえーか。じっくりいたぶってやるよ」
「マオ、エルザの様子を見てきてくれ。これ薬草」
大輝はブリストンを無視して薬草を1つ取り出しマオに渡す。
「お主も相当頭にきているようじゃのぅ、全力を出すのか?」
「…一撃で決めるよ」
「ならエルザは任せるがよい。早く起こしてやらんと一瞬で終わってしまうからのぅ」
そう言うとマオはエルザの元へ走っていった。
「エルザよ大丈夫か?ほれ、これを食え」
「何ですかこれは?変な葉っぱを食べさせようとしないでください」
返答はするが声に元気がないしまだ立ち上がる事も出来ない。飛ばされた時に少し頭を打ったのか目も焦点があまり合っていないように見える。
「いいから食え!」
マオはエルザの口の中に無理やり薬草を放り込み飲ませた。その瞬間、淡く光りエルザの傷は綺麗に消え去った。
「…あれ、え!?痛みが消えた。マオちゃん一体何を食べさせたの?」
「ただの薬草じゃよ。それより試合が始まってしまうぞ。一瞬で決着が着くから見逃さないようにのぅ」
「大輝よ試合形式はどうする?」
王の質問に対し大輝は
「実戦形式の1本先取で終了。ただしその過程で死んでも恨みっこなしで」
「それでは決闘ではないか。良いのか死ぬかもしれないのだぞ」
「大輝よ俺は構わないぜ。その代わりどうなってもしらねーぞ」
「両者の賛同が得られたので始めてください王様」
「…分かった、はじめ!」
ブリストンが余裕を持って大剣を構える中、大輝はすばやくカードから左片側分のみの手袋を出し装備し、そのまま左手を地面に当てた。
「<錬金術>、<沼>」
その瞬間ブリストンの足元がぬかるみ、足首辺りまで沈んだ。
「<圧縮>」
その後もう一度錬金術を使い足が沈んでいるブリストンごと地面を固めた。
「う、動けねえ、何しやがった、……な、なんだそれは!!!」
ブリストンは動けなくなった。物理的に動けなくされた後、ある物が目に入り精神的にも動けなくなったのだ。そのブリストンの視線の先には大輝がいた。その手には離れていても熱を感じる真っ赤な刀が握られているのだ。
「魔力挿入、風の魔法発動」
ただでさえ凄い力を感じていた刀が大輝が魔力を流す事で刃が一回り大きくそしてより赤くなっている。
「ま、まってくれ!」
その圧倒的な威圧感にブリストンはただ命乞いをするしかなくなっていた。そんなブリストンに大輝は語りかける。
「ブリストン1度だけ上段からこれを振り下ろす。お前の剣で受け止めれたら勝ちを譲ってやるよ」
「む、無理、無理」
ゆっくりとフレイムタンを上段に構えて
「行くぞ!!!」
振り下ろした。
「ひ!?、きょ、<強化>!」
ドス!
ブリストンは最後に強化を使い耐えようとした。しかしフレイムタンの前では意味もなくそのまま抵抗もなくブリストンを切り大地に刺さったのだ。しかしフレイムタンの刃が通った後は何も残らなかった。全てが燃え尽き最後に刺さった地面も真っ赤になっているのだ。全てを焼き尽くし地面さえも燃やす魔法剣フレイムタン。あまりの威力に先ほどの試合内容がすっかり記憶から消えるほどの驚愕を見ていた者全員に与えたのだ。
「終わりだ。皆、帰ろうか。ここにもう用はない」
「そうじゃのぅ」
「そうですね、しばらく誰も意識が戻らないでしょうし」
王の前だと言うのに気にしないでギルドに帰って行く大輝達であった。




