19話 面会
もうすぐ20話。1話1話の内容が短いからか展開が進まない…でも毎日更新するにはこれぐらいが限界です。
19話 面会
城に連れてこられた大輝達は待合室の様な部屋にいた。
「なぜ急に国の親衛隊が私達を連れて来たのでしょう?」
「分からんのぅ、特に城の連中に迷惑を掛けた記憶はないんじゃが」
「まー、理由が分からない以上考えても仕方ないし何を聞かれても知らぬ存ぜぬで通すしかないかな」
大輝達が部屋で待つ事5分ほどでごつい鎧の男が来た。その顔は自分にも相手にも厳しい印象を受ける。体格もしっかりしておりゲームで言うドワーフの身長が180センチくらいになったみたいな感じだ。
「急に来てもらってすまん。私は親衛隊のリーダー<ブリストン>だ」
「私はエルザ、こちらは大輝、マオでございます」
「うむ、今日来てもらった理由は簡単だ。昨日お主の家の近くで起こった事、と言えば分かるかな」
その言葉を聞いて3人とも「あっ」と思い出す。
「間違いないようだな。そうお主達が試した魔道具、それをどうやって手に入れたかそれを知りたいんだ。知っていると思うが今、この国に勇者が向かっている。だがどう急いでも10日は掛かる。その間魔王が攻めてこないとは限らん。いやむしろ攻めてくると私は睨んでいる。そこで少しでも戦力が欲しい、そんな中兵士達にゴブリン2体を瞬殺し強力な魔道具を持っていた者がいたと聞きここに来てもらったという訳だ」
「あー、人違いではないでしょうか」
大輝は悪あがきをした。
「兵士はエルザを知っている。ここ数日一緒にいるのがお前達だと調べは付いている」
悪あがきは失敗した。
「それでお主はどうしたいんじゃ?」
「もし作った物なら量産してほしい。手に入れた物なら譲ってほしい」
「あれは妾の物じゃ、お主にはやらんぞ」
「今は国の一大事なのだ!遊び半分で子供がそんな強力な魔道具を持っていて良い訳がない!」
マオの見た目から駄々をこねているように見える態度にブリストンは怒りをあらわにした。
「落ち着いてください。いくら国でも冒険者から装備を奪うのは横暴ですよ」
「何もタダでよこせとは言わん、相当の金を渡そうどうだお前もそれなら満足だろう」
「金ですべて何とか出来ると思っておるとは愚かじゃな」
「おい、子供だと思って大目に見ていたがもう我慢出来ん。いいから魔道具を寄こせ!」
すでにブリストンの顔は真っ赤になっており額に血管が浮き上がっている。ずいぶん気が短い男のようだ。
「それが本音ですか?大体奪い取ってどうするつもりですか」
「そんなの決まっている、俺達親衛隊が国の為に使ってやる」
「ふー、エルザさんこの国の偉い人はこんなのばかりなの?」
この国の上層部の人がこのような人達ばかりなら近い未来どうせ滅ぶだろうと考えた。なら魔王と戦う意味があるのか疑問に思い始めてもいる。
「いえ、王様は立派な人ですよ。ただその周りの人が基本貴族ばかりで庶民の生活を知らない、考えない人が多いのは否定できません」
「き、貴様も無礼だぞ!」
「いえ言わしてもらいます。大体この国がゴブリンに包囲されてから度々襲ってきますが貴方達は何かしましたか?庶民を守っているのはいつも町を警備している兵士や冒険者だけではありませんか。そんな人達に貴重な魔道具を与えるなんてゴミに捨てるのと同じです。少しは真面目に国の事を考えたらどうなんですか!」
「エルザよ、お主も言うのぅ」
言いたい事を言って少しすっきりした所にマオの言葉で頭が冷え「言っちゃたー」と顔を隠して縮こまってしまった。
「お前ら言いたい事を言いやがって!覚悟は出来ているのか!この場で切り捨ててやる」
ブリストンが腰の剣に手をやった。
「やめよ!」
ドアの奥から声がして中に老人と渋めの男が入って来た。
「お、王様、どうしてこんな所にここは王が来るような場所ではありません。この者達は反逆者です!早くこの場から離れてください」
「愚か者!わしが何も知らぬと思っているのか。話はすべて聞いていた、この場を、いやこの城から出て行くのはお主だ!」
「お、王様」
「くどい、さっさとこの男を追い出せ!」
王と言われた者の命令で落胆を感じる顔のブリストンが連れ出された。王はそのまま大輝達の前に座りだした。
「すまぬ。わしの監督不行き届きだ。」
王は大輝達にいきなり頭を下げた。そんな王の行動に戸惑ったがすぐ我に帰り周りの人はやめるように訴えている。
「王様!頭を上げてください。私のような者に頭を下げてはなりません」
エルザも慌てて王を止める。
「ほほぉ、なかなかの男じゃのぅ。大輝よお主も偉くなったらこんな男になるのじゃぞ」
「…いや、僕はそんなのになるつもりは全くないよ」
そんな中、大輝とマオはこの状況で全然恐れず通常運転中であった。
「大樹さんもマオちゃんも少しは空気を読んでください!」
「…えーと、王様?気にしていませんから頭を上げてください」
大輝とマオは小声で「こんな感じかな?」「そうじゃのぅそんな感じで大丈夫じゃろう」と話しているのをエルザは聞こえていてガックリ肩を落とす。王の側近もまるで遠慮がない大輝達の態度に驚き過ぎて口が出せなくなっていた。
「ふふふ、ははははは!いやー愉快愉快、久しぶりに笑ったわい」
「お、王様」
「こんな状況になって笑う事が出来るとは人生まだ捨てたもんでもないな。さてエルザ、大輝、マオよ、親衛隊長の態度すまなかった。そして町での対応の悪さ、それについてもすまなかった」
「ん?なんで僕達の名前まで知っているんですか」
そう、まだ大輝達は王の前では名乗ってないのだ。エルザがポロって呼んではいたが。
「お主達の事を調べていたのは親衛隊長だけではないという事だ。しかし大輝よ、あのまま戦いになったらどうするつもりだったのだ」
「別に、倒して逃げるだけですよ」
「倒して逃げるだけじゃ!」
大輝とマオが当たり前の事を普通に答えるように言った。
「何が倒して逃げるだけですか、貴方達が戦ったら間違いなくこの城にも無傷ではすみませんよ。その場合、責任が来るのは私なんですから少しは自重してください!」
「「すみません」」
エルザの言う事に反論する要素が見つからず素直に謝るしかない2人だった。
「ほほう、一番常識がありそうなエルザですら負ける心配を全くしないとわな。だがこちらにも非があるのだから少しくらい傷が付いたくらいでは責任問題になどせんぞ」
「…少しで済めば良いですが、まずこの部屋は大破は確実で下手をすると城の大半が燃えてしまいます」
「…石作りのこの城が燃える?それは少し大袈裟ではないか」
「昨日までならそうでしたけど、今は…」
エルザの明後日の方向を見るような目に王様は額に汗をたらし決して大袈裟ではないと感じてしまったのだ。このままでは話が進まないと王も思い話題を変えた。
「…さて、本来の話に戻ろう。大輝よ、噂になっている魔道具は大量に作れるか?」
「将来的には無理ではないけど、暫くは無理ですね。あれ1つ作るのに大量の魔力が必要になるので」
「…そうか、それでは今ある魔道具を勇者が来るまで貸しては貰えんだろうか?失礼だがマオが持つよりは宮廷魔導士が使う方がより戦果を上げれると思うのだ」
「ほほう、妾も甘く見られたもんじゃのぅ。どうじゃ大輝よ、その宮廷魔導士とやらと試合でもして、勝った方がこの炎の杖を使うというのわ」
マオの突然の提案に大輝も驚いたが「大丈夫じゃ」と言う言葉に信用する事にした。
「もちろん試合の時は炎の杖は使わん。別の武器は使うがのぅ。安心せいちゃんと手加減はする」
「まーマオがそう言うなら僕は構わないけど、…どうします?」
王は迷っている。見る限り10才ぐらいの少女がなぜこんなに自信を持てるのか、しかしこれで炎の杖を貸してもらえるなら断る理由がない。
「…分かった。今日はもう遅いから明日の昼頃に城の訓練所でマオと宮廷魔導士試合を行う。試合方法は実戦形式、ただし相手を殺してはならぬ。それでどうだ」
「構わぬよ。それではギルドに帰るかのぅ、ビックルも心配しとるじゃろうし」
「そうだね。あ、後試合は出来るだけ内密にお願いします王様」
「ああ分かった、また明日迎えをやる。今日は御苦労だった」
「失礼します。王様」
大輝達は王に軽く頭を下げ部屋を出て行った。王はすぐに側近に明日試合に出る者を選抜させるように指示を出した。




