↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心が読める薬剤師、異世界で騎士と宮廷薬師と傭兵に奪い合われています  作者: 優涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/28

第27話 薬師の告白と、選ばれたいという願い


1 研究所の静けさ


ユナが昼寝をしている頃、雪菜は研究所の廊下で深呼吸をしていた。

胸の奥がまだざわついている。

レオンの言葉が、心のどこかに残っていた。


(どうしよう……)


その時、背後から静かな声がした。


「雪菜」


振り返ると、アーヴィンが立っていた。

いつもの冷静さとは違う、どこか柔らかい表情だった。


「少し……話がしたい。研究室に来てくれ」


雪菜は頷いた。


2 薬師の部屋


アーヴィンの研究室は、魔力装置の光が淡く揺れていた。

雪菜が入ると、アーヴィンは机の前で手を組んでいた。


「雪菜。最近……迷っているように見える」


雪菜は少し驚いた。


「え……?」


「君の精神層は繊細だ。

 迷いがあると、波長に微妙な揺れが出る。

 ユナのことだけじゃない。……他にも何かある」


雪菜は胸に手を当てた。


「……レオンのこと、かな」


アーヴィンは静かに息を吐いた。


「やはり、そうか」


3 距離を詰める薬師


アーヴィンは雪菜の前に歩み寄り、

いつもより近い距離で立った。


「雪菜。君が誰かに想われるのは当然だ。

 君は優しくて、強くて……誰かを救うために自分を削る人だ」


雪菜は目を伏せた。


「そんなこと……」


「ある。君は特別だ」


アーヴィンは雪菜の手をそっと取った。


「雪菜。俺も……君に好意を抱いている」


雪菜は息を呑んだ。


「アーヴィン……?」


4 薬師の告白


アーヴィンは雪菜の手を離さず、静かに続けた。


「雪菜。君を守りたいと思う気持ちは、研究者としての義務ではない。

 君という一人の女性を……大切にしたいと思っている」


雪菜の胸が熱くなる。


「アーヴィン……そんな……」


「レオンも君を想っている。

 ガルドも君を守りたいと思っている。

 それは分かっている」


アーヴィンは雪菜の手を包むように握った。


「だが……俺も同じだ。

 君の中で一番になりたいと思っている」


雪菜は言葉を失った。


5 雪菜の迷いを見抜く


アーヴィンは雪菜の瞳を見つめた。


「雪菜。君は迷っている。

 誰かを選ぶことが怖いのだろう」


雪菜は小さく頷いた。


「……うん。

 ユナのこともあるし……

 私自身、まだこの世界でどう生きるか分からなくて……

 誰かと“進展する”って考える余裕が……」


アーヴィンは雪菜の肩に手を置いた。


「迷っていい。

 だが……俺は君に聞きたい」


雪菜は顔を上げた。


「……何を?」


6 一番になるために


アーヴィンは雪菜の手を握り直し、

いつもより強い感情を込めて言った。


「雪菜。

 君の中で一番になるには……俺は何をすればいい?」


雪菜は息を呑んだ。


「アーヴィン……そんなこと……」


「雪菜。君が誰かを選ぶ時、

 その選択が俺でなくても構わない。

 だが……選ばれたいと思っているのは本当だ」


雪菜は胸が締めつけられた。


「アーヴィン……」


「雪菜。

 君が安心できるように支えることなのか。

 君の力を理解して寄り添うことなのか。

 それとも……ただそばにいることなのか」


アーヴィンは雪菜の手をそっと持ち上げた。


「雪菜。

 君が望むなら、俺は何でもする。

 君の中で一番になれるなら」


7 雪菜の答え


雪菜は胸に手を当てた。


「アーヴィン……嬉しいよ。

 そんなふうに思ってくれてるのは……本当に」


アーヴィンは雪菜の表情を静かに見つめた。


「だが……迷っているんだな」


雪菜は小さく頷いた。


「うん……迷ってる。

 レオンのことも、ガルドのことも……

 アーヴィンのことも……

 全部大切で……全部違って……

 どうしたらいいか分からない」


アーヴィンは雪菜の手を離さず、優しく言った。


「雪菜。答えは急がなくていい。

 ただ……俺が君を想っていることだけは、忘れないでくれ」


雪菜は静かに頷いた。


「……うん。忘れない」


8 静かな余韻


アーヴィンは雪菜の髪に触れない距離で、そっと顔を寄せた。


「雪菜。

 君が誰を選んでも……俺は君を支える。

 だが……選ばれたいと思っている」


雪菜は胸が熱くなるのを感じた。


「アーヴィン……ありがとう」


アーヴィンは雪菜の手をそっと離し、静かに言った。


「雪菜。今日は休め。

 迷いは心を疲れさせる」


雪菜は小さく微笑んだ。


「……うん。ありがとう、アーヴィン」


研究室を出る雪菜の胸は、

レオンの言葉とは違う温度で、静かに揺れていた。


「……どうしよう……」


雪菜の迷いは、さらに深くなっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。