24.居場所、発覚
──ピリリリリリリ
病院を出たところで突如鳴り響いた呼び出し音。
こんな時に何の用だ?
苛立ちを隠さずに通話ボタンを押す。
「ういぃ。異黒ぅ」
『おい! 本部はどないや⁉』
「あぁ? スタンピードが大量発生。本部のS級魔石は奪われる。重傷者3人。……俺ぁ、何もできなかった。情けねぇ」
『こっちもやられた! 今日の同時スタンピードは、全国規模やぞ!』
全国規模?
ここだけじゃねぇのかよ!
「そっちもやられたってことは、他もか?」
『そうや! 九州、沖縄、東北、北海道。全部襲撃されてんで!』
くそっ。
全部が後手に回っていて敵の思うつぼじゃないか……。
『ただな、九州だけは守り切ったらしいで』
「マジか⁉ さすがは鉄壁!」
奴らがどこにいるのかがわからない。
S級魔石で何をするつもりなのか。
目的もわからなければ、居場所も不明。
一体、どこにいるのやら……。
『ここからが本題や。S級魔石、全国へ展開する時にリンクさせてたんやて。知ってたか?』
「いや……初耳だ。ということは?」
『九州の魔石を使えば、他の魔石の場所がわかるっちゅうことや!』
それは、早々にやってもらおう。
こうしている時間がもったいない。
こっちは、すぐにでも突入できるんだから。
「場所を割り出したら、俺に連絡くれ! すぐに向かう!」
『こっちやったらワイらにまかせぇよ?』
「いや、こっちは三人も隊長が重傷なんだ。許しちゃおけねぇ。すぐに行く」
『言ってもきかんようやな。まぁ。えぇわ。せやったら、場所分かったら連絡したるわ』
「あぁ。頼む」
本部に向かっていたが、少し寄り道をしてコンビニで飯を買う。他の奴らの物も買って行こうと思い立ち、おにぎりやサンドイッチを買い漁る。
本部に着くと襲撃を受けたところを片付けていたし、警備員の殺された場所が現場検証している最中だった。
構わずに、そのまま中へと入って行く。
みんなまだ仕事していた。
おそらく、報告書を書いているのだろう。
端末へ向かって操作する。
メールをチェックすると、各支部の被害報告が上がってきていた。
北海道、二人重傷。S級魔石を盗まれる。
東北、二人重傷。五番隊隊長、殉職。S級魔石を盗まれる。
関西、三人軽傷、二人重傷。S級魔石を盗まれる。
九州、五人重傷。S級魔石を無事死守。
沖縄、一人軽傷、二人重傷、S級魔石を盗まれる。
本部、三人重傷、S級魔石を盗まれる。
全国的に見ても多大な被害を被った。
九州のメールを見てガッツポーズをしてしまった。
よくやってくれた。
三番隊が接敵し、全員が重傷を負いながらもなんとか死守したんだそうだ。
「みんな、夜食を買ってきた。食って英気を養ってくれ」
「えぇー? 異黒隊長、たまには気が利くじゃないですかー」
桃瀬がふざけた様子で口を開いた。
「お前はいらないのか? そんなナメた口ききやがってぇ」
「いります! 冗談ですよ。じょ・う・だ・ん♡」
「黄虎だったら、殴ってるところだ……」
周りの隊員は笑っている。
こうやって緊張感を緩和してくれるのもさすがは桃瀬だ。
周りの空気を読んでくれている。
まぁ、蝶子もやられてしまい、自分の責任がのしかかっているような状況だからなぁ。実際はそんなに余裕が無いだろうけどな。
「実はな、今回の騒動、全国規模らしい」
「……ゴクリッ」
誰かの喉を鳴らす音が響く。
「北海道、東北、関西、九州、沖縄。全ての支部が襲撃を受けた。……ただ一つ、九州がS級魔石の死守に成功した」
「さすが鉄壁!」
「うわーっ! すげぇな!」
「さすがだわ!」
「一つだけでも守れただけいいわよね」
口々にそれぞれの賞賛、安堵を口にする。
「その一つが重要だった。すべての魔石はリンクしているらしい」
「えっ? ってことはぁ、もしかして、場所がわかるってことですかぁ?」
「そういうことだ」
一気に空気が変わった。
戦闘に入ったかのように空気は張り詰める。
すぐにでも飛び出していきそうな、そんな圧を感じる。
「どこにいるんですか?」
黄虎の部隊の隊員が口を開く。
「それは、今調べて貰っている。ただなぁ、俺が思うに、全国から魔石を集めるなら、ここ。東京が一番集めやすいはずだ。俺ならそうする」
「……たしかに」
「俺は、東京に集めていると考えている。となれば、一番早く急行できるのは、俺たちだ」
「行きましょうよ!」
その隊員はよく黄虎にくっついて懐いていた奴だ。
相当、悔しかったんだろう。
目に炎が宿っている。
「もちろんだ。場所は、連絡が来るはずだ。身の危険はもちろんあるが、みんな、来るか?」
「当たり前っすよ!」
「こちとら、隊長やられてんすよ!」
「黙って見てられるわけねぇっすわ!」
「私たちの隊長の仇よ!」
「絶対に倒すわ!」
それぞれの部隊の隊員が鬼気迫っている。
そうだよな。
怒ってんのは、俺だけじゃねぇよな。
──ピリリリリリリ
そんな中、呼び出し音が鳴り響いた。
皆の顔が強張り、こちらに視線が集中する。
「はい。異黒」
『異黒さん、場所がわかったんでごあす』
「どこでも行くぜ?」
『場所は……東京都、渋谷ダンジョン跡地でごあす』
穴が空いていただけの空間に集まっていたのか!
そこまで気が回らなかった!
「わかった! すぐに急行する! 後は任せろ!」
『異黒さん。頼むでごあす』
「任せろ。絶対に決着付けてやる」
端末を切ると、声を張り上げる。
「連絡がきた! 目標は、渋谷ダンジョン跡地に集結している! すぐに急行する! 各々、装備を整えて本部正面に集合!」
「「「おう!」」」
俺は、もうあいつ等のことしか頭になかった。
「アイツ等の分までぶん殴るぞ!」
「「「おう!」」」
士気は最高潮だ。
このまま突入してやる。
ぜってぇ、目的を阻止してやる。




