表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰還率99.8%のダンジョン救助隊  作者: ゆる弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/23

15.うみへび座

 全国の合同救助大会は終わりを迎えた。

 散々な終わり方だったが。

 それぞれの支部が帰って調査をすることになったのだ。


 その報告が上がってくることになっている。


「異黒隊長? ウチは調査しなくていいんですかぁ?」


 待機所で報告書類を作成していた時。

 桃瀬が真面目にそんなことを聞いてきた。

 

「桃瀬が取得したデータなぁ、良い感じに何かがみつかりそうなんだそうだ。だから、ここはなにもねぇ」


「へぇぇ。何があったんだろう?」


「さぁなぁ。そこまでは知らねぇ。……そういやぁ、なんか怪しい人とか見つけたか?」


 そういえば、俺が非番で出た時にそんなことお願いしてた気がするんだが?


「あぁー。何件かヒットしましたよー。ただ、その人が誰かまでは特定できていませーん」


「それでもいい。どんな感じの奴だった?」


 桃瀬は、端末を操作するとある動画を再生し始めた。

 それは、渋谷ダンジョンへと潜るパーティの配信だった。

 仲がよさそうな四人組和気あいあいとダンジョンへ向かっていく様子だった。


 上層のゴブリン系の奴らを相手にしていた時、壁の奥に何かが映り込んでいた。


「これ、鮮明にできるか?」


「はい。やってみますねー」


 端末を操作すると、止まっている動画。その画像をコピーして解析ソフトに通す。こうすることで、写真を解析して鮮明にしてくれるのだ。


 黒いローブを着ている人物が、カメラの方を確認しているような映像だった。手には機械のようなものを持っている。


 もしかしたら、ダンジョンコアに付いていたものと同じかもしれない。


「桃瀬、その手に持ってるやつ。それ、この前の黄虎が持ってきた奴と照合できるか?」


「やってみまーす」


 映っている角度から、手に持っている物を予測で3Dにする。それを黄虎が発見したものの3Dデータと照らし合わせる。


 左右に機械の図面が展開され、両方の図面が真ん中へと移動する。その形は、ピッタリ重なった。


「やはり、一緒みたいだな」


「ですねー」


 ということは、この映っている人がなぜこんなことをしているのかという謎を解くのに重要な人物だということだ。


 顔は分からない。

 そのほかの特徴も無さそうだ。


「んー? 手に……何か彫ってますねぇ」


 アップされた手を見ると親指の付け根辺りになにかのマークが入っている。


「なんだ? これは?」


「んー。蛇……ですかねぇ?」


 蛇か?

 だとしたら、なぜ蛇なんだ?

 【バアル】って組織だと仮定した場合だが、こんなマークだったか?


「若葉、バアルって犯罪組織のマークってわかるか?」


「資料を漁ってみます」


 資料室へと行ってくれた若葉。

 何かわかるといいんだけどなぁ。


 ──ピリリリリ


 俺の端末だ。

 番号を見ると関西支部長だ。


「うぅーい」


『本部長なんやから、もちっとマシな返事しぃや?』


「うるせぇなぁ。で? なんだ?」


『……こっちでも見つかった。例の機械の部屋』


 神妙な声で話す関西の。


「おいおい。マジでか。本部の周りだけじゃ無かったんだな」


『こりゃ、相当やばいテロ行為やで?』


 そうだな。

 これは大規模テロだ。

 ダンジョンを利用した悪質なもの。


「だな。探索者ギルドには連絡しておくし、上にも連絡しておく」


『ダンジョン探索庁が聞いてくれるかぁ?』


「わからんが、報告はしておく。一応どこのダンジョンが教えてくれるか?」


『えぇーとなぁ。名古屋、京都、神戸やな』


「三箇所だけか?」


『他もある。なんや、位置が大体横に並んでるんよなぁ』


「わかった。詳細はデータで送ってくれ」


『かしこまりー』


 軽い返事をして通話を切った。

 続けて連絡が入る。


「はい。異黒いこく


『東北支部だっぺ。機械の部屋、見つかったっぺ』


「そちらもですか……。場所的にはどんな感じです?」


『だいたいが縦でならんでんだぁ』


 東北は縦?

 どういう繋がりが?


 これまたデータで送って貰うことにして、続々と寄せられる情報を精査する。


 精査するのは桃瀬がやってくれるんだけどな。

 いつも言わなくてもまとめておいてくれるから、助かってる。


「北海道、九州、沖縄からもデータ来ましたぁ」


 データを見ながら何やら処理をしているようだ。


「何してんだ?」


「これはぁ、貰ったデータの住所をよみこませてるんですー。後は、AIが処理して日本列島に位置を落とし込んで表示してくれます」


「ほぉぉ」


 すげえな。桃瀬。ホント頼りになるわ。

 感心して端末を食い入るように見ていると、横から桃瀬がガン見してきた。


 なんか、顔も赤いみたいだし、大丈夫か?


「どうした? お前、顔赤いけど、大丈夫か?」


「だ、だ、だ、大丈夫ですよぉ。やだなぁぁ」


 少し俺と距離を取るように体を仰け反らせて目を泳がしている。そこで、気づいた。


「あっ、すまん。臭かったか?」


 自分の服を嗅いだりして匂いを確認する。んー。別に変な匂いはしないけど、ついに来たかなぁ。加齢臭が。


「そ、そんな! 臭いなんて滅相もないです! む、むしろ、いい匂いです! 嗅ぎたいくらいに! はぁ。はぁ」


 急に饒舌に喋りだした桃瀬。

 頬が引きつってしまった。

 何したんだコイツ? 大丈夫か?


「そ、そうか。ならよかった。地図に落とし込んで、何かわかるか?」


「あっ、はい!」


 地図を見ると、なんだか北海道が頭、列島が体のように線が引かれている。これは、なんの形だろうか?


「これ、解析したところ、星座のうみへび座に似ているようですねぇ」


 頭の中で、過去の映像が再生された。

 俺は聞いたことがある。

 確か先輩が過去の伝承を調べていて……。


『うみへび座は、悪魔を呼び起こすんだ』


 そんなことを言っていたような気がする。どういう意味か、この時は分からなかった。


 この事だとしたら……。


 いやいや、できすぎじゃねぇか?

 でも、今はそれで考えるしかねぇな。


「桃瀬、星座とダンジョンを照らし合わせて星とダンジョンの位置が重なるところを割り出してくれ」


「はぁーい」


 これは、上でも騒ぎになるぞ。

 面倒だけど、報告書作って持っていかねぇとなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ