表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰還率99.8%のダンジョン救助隊  作者: ゆる弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/21

13.食事会

 報告会が終わると、合同救助大会一日目の夕食は恒例の食事会となった。


 本部の各部隊長はなるべく参加。

 支部長達はだいたいが自主的に参加する。

 あとは、参加したい隊員はしてもいいという緩い感じでやっている。


 用意したのは、行きつけの老舗の居酒屋。

 

 この食事会は予算で落としていいことになっているので、付き合いのある居酒屋を貸し切ることにしたのだ。こうすることで、俺たちは気兼ねなく飲めるってこった。


「あー。それでは、皆さん飲み物は来ましたかね?」


 一応、本部長として音頭をとることとなった。

 こういうのはあまり得意ではないので、いつも手短にする。


「「「はぁーい」」」


「では、救助大会、そして、大規模救助活動お疲れさまでした! かんぱーい!」


「「「かんぱーい!」」」


 それぞれでグラスを重ね合わせてグビッと一口。

 そのままの勢いでビールを流し込み、ジョッキの半分はなくなった。


「ぷはーっ! うめぇぇ。これだよなぁぁ」


「かぁぁぁ! やっぱこれやなぁ! 異黒はん、飲める口やっけ?」


「おいおい。俺に聞くか? それぇ」


「はっはっはっ。やぼやったなぁ。いやぁ。毎回記憶がないんよなぁ」


 関西支部長がそういうと、俺も目を流してしまう。

 実は、俺も記憶がないからだ。


「それはぁ、異黒隊長もですよねぇ?」


 桃瀬が余計なことを口走った。


「はぁ? い、いやぁ」


「去年はぁ、あぁぁ全然覚えてねぇぇって言ってましたもんねぇ?」


 ここで爆弾を落としていく。

 いつもそうなるまで飲んでしまうという醜態をさらしてしまった。

 ところが、それは俺だけじゃなかったようだ。


「わいもやねん」

「おいどんも」

「おれもだっぺ」

「おらもだなぁ」

「わーもさー」


 支部長全員記憶がないようだ。何が起きているんだ。この食事会は。なんだか不可解な会のような気がしてくるから怖い。


「沖縄の。酒強いんじゃないのか?」


「強いさー。でも、記憶が消えるのはたぶん別さねー」


 そんなもんなのか?

 ちょっとよくわからないけど。


 ホッケ焼きと枝豆がやってきた。

 牛すじ煮込みは今やってくれているのだろう。

 楽しみだなぁ。


「ちょっと聞きたいことがあんだけど、いいべか?」


 東北支部長が手を上げて発言するようだ。

 別に、挙手性とかではないから自由に話せばいいと思うのだが。


「どうぞ?」


「異黒さんってなんでそんなにツエエんだっぺ?」


「強いかはちょっとわからん。要救助者を助けている帰還率は高いと思うが」


 眉間に皺を寄せながら東北支部長が口を尖らせている。

 坊主頭でそんな口をしているのがちょっと可愛らしい。

 どこぞの日曜18時半からやっている海家族の物語の子みたいだ。


「そうじゃねぇべ。あんな速さで救助できるのが異常だべさ?」


「そうでごあす。あの床をぶち抜くのだって、相当魔力の力が強くないとできないでごあす」


 東北と九州支部長は波長が合うようだ。

 同じことを聞いてきた。

 別に、話してもいいけど、後でなんか言われなきゃいいなぁ。


「あぁぁ。実は、元々探索者でな。……探索者だった」


「そうなん?」


 目を見開いて傾けていたグラスを止める関西の。

 興味津々でこちらに目を向けている。

 これは、ランクまで言う流れになってしまったなぁ。


「で? ランクはなんだったん?」


「……Sエス


「……マジかい。そらぁ、強いし出鱈目なわけやわぁ」


 関西支部長は不満そうな顔をすると、ビールをあおった。

 グラスを上げると「おかわりや」と口にした。

 店員さんが来ると、俺もグラスを下げて「すみません、生もう一つ」というとニコッとお姉ちゃんが笑って去って行った。


「おい! 異黒よ! なんでお前だけ笑顔見せられてん?」


「しらねぇよ。お前がお代わりってだけ言ったからじゃねぇの? あの姉ちゃんはなぁ、こんなに人がいたら、誰が何飲んでるかなんて把握できねぇよ! 困るだろうが! ちゃんと生一つって言ってやれバカが!」


 ここまで言うつもりはなかったが、ちょっとヒートアップしてしまった。


 桃瀬が姉ちゃんを睨んでいる様に見えたが、気のせいだろう。睨む意味が分からないからな。別に飲み物が遅れてきたわけでもないしな。


「なんやてゴラァ?」


 関西支部長が俺へと顔を近づけて睨みつけて来る。


「関西支部長、あんまりうるさいと外に言って貰いますよ?」


 桃瀬が関西のを脅しつけた。

 これには、震えあがった関西の。

 そして、目を吊り上げた。


「なんで? なんで、お前ばっかり怒られんのやぁ?」


 そんなこと、俺の知ったことか。


「関西さんさー。うるさいんは事実なんさー」


 沖縄が援護射撃してきた。

 いいぞいいぞと思っていたら、関西側に東北支部が付いた。


「おれもおかしいと思うっぺ。異黒さんだけもてすぎだっぺよ」


 その頭をスコーンと叩く黄虎。


「別に、異黒さんがもてるのは普通だろうが? こんなにツエエんだから、もてねぇ方がおかしい」


 完全に目が座っている。


「黄虎、お前、飲んだのか?」


「桃瀬がいいっていうからのんだっすー。大丈夫ですって! 異黒さんに文句ある奴らは、オレが締めますから!」


 いやいや。別にそういうことを言っているわけではないんだが。

 黄虎は酒が好きなんだが、弱いためにあまり飲ませないようにしていたのだ。

 酔うと、こうやって戦闘狂に拍車がかかる。


「桃瀬ぇ!」


「きゃっ! 怒らないでくださーい!」


 桃瀬は楽しそうに笑うと、酒を飲む。


「黄色いの! お前生意気やなぁ!」


「関西のよりツエエからなぁ!」


 開催支部長の辛みに真っ向から対立する黄虎。


「なんやてゴラァ! 異黒! お前どないな教育してんねん!」


「うるせぇ。お前よりマシだわ」


 ここで、異黒までもが関西を威嚇。


「なんやとゴラァ!」


「関西ヤロー! 異黒さんには敬語で話せボケェ!」


「なんで同期に敬語使わなきゃいけないねん! アホォ!」


「きゃー! 私を取り合わないでぇ!」

 

 カオスな状態だった。

 この辺りから、俺はあまり記憶がない。

 なんだかよくわからないが、次の日、重度の二日酔いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ