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帰還率99.8%のダンジョン救助隊  作者: ゆる弥


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12.報告会

 桃瀬の爆弾があったが、一旦救助大会の会場へと戻ってきていた。そこには、黄虎と桃瀬も一緒だ。国立競技場の会議室を借りて各支部長にも来てもらった。


「あぁー。皆さん、先ほどは、ウチの救助要請に出動して頂きまして、ありがとうございます」


 一応、俺は頭を下げた。

 本部で当たらなければいけない案件だったのに、皆さんの手を煩わせてしまったわけだからな。


「それは、別にえぇ。むしろ、あそこで見ていてくださいだけの方がいややわ」


「そうでごわすよ。あれを黙って見ておけっていうのは無理でごわす」


 関西支部と九州支部の二人がそう答えてくれた。まぁ、実際はうちだけで対処できたんだけどね。一応来てもらっていたのに、わりぃなぁと思ったからお願いしただけだし。


「いやぁ。助かりましたよ」


「でもさぁ、実際は本部だけでも大丈夫だったっぺ?」


 東北支部が痛いところを突いて来た。

 北海道支部も頷いている。

 バレてた?

 

 たしかにそうだけど、それがバレると面倒だ。


「いやいやぁ。そんなことないですよぉ」


「まぁさー。そんなことはいいさー。なんで集めたのさー?」


 沖縄支部が話を戻してくれた。

 ありがたい。

 心の中で礼を言う。


「それがですね、黄虎と桃瀬がちょっと気になるものを見つけたそうなんですよ」


 支部長達は、目を細めながら二人へと視線を向ける。

 飄々としている黄虎は、ダンジョンコアの欠片をだした。

 その欠片には、装置が根を張っていた。


「こんなんをみつけたんっすよぉ。これは、ダンジョンコアの欠片なんすけどねー」


 目を剥いて驚いている支部長達。

 こんなのは、今まで見たことがない。

 俺達の経験にないことが起きている。


「この装置はなんや?」


「それは、まだウチも解析中だ」


 関西支部の質問に重い声で答えてしまった。

 全然情報がねぇ。

 

「そうかぁ。本部でも初めてなん?」


「そうだ。だから、技術班の方でなにかわかるか?」


 逆に関西支部へ聞き返す。

 技術の関西と言われるだけあって、技術部の大半は関西支部の隊員だ。


「いやぁ。こっちも初めてやからなぁ。わからんわぁ」


 関西支部もわからないようだ。

 そうなると、徹底的に解析しなければならない。


「そっちにはないのか……。他で心当たりあるところはあるか?」


「……みたことないべさ」


「知らないっぺよぉ」


「ワイらもわからないでごわす」


「ウチもしらないさー」


 他の支部もわからないようだ。

 この装置は、【バアル】の仕業なのか?

 それはわからない。


 でも、桃瀬のコピーしたデータで何かわかるかもしれない。


「この装置は、解析へ回すことにすっか。頼むぞぉ。関西の」


「あぁ。しゃあないのぉ。面倒だけど仕方ない。見てみるわぁ」


 関西支部の支部長がめんどくさそうな顔をしながらそう口にする。

 そこで、今度は黄虎が口を開いた。


「あっ、技術部に言いたいことが……」


 黄虎に珍しく、ちょっと気を使ったように声を上げた。


「おう。なんやぁ?」


「この前開発された結界装置なんすけど……」


「おぉ。今日の救助の時にも大活躍しとったやろぉ?」


 自信満々に話す関西支部長。

 黄虎は眉を上げて何やら怒っているようすだった。

 一体どうしたというのか俺にはわからない。


「それがっすねぇ。オレが到着したときには、既に結界切れてたんすよ」


「なんやてぇ? 到着してから、救助までさほど時間たってへんよな?」


「そうなんすよぉ。でもね、助けに入った時はすでに結界が切れてたんすよぉ」


 その言葉を聞いた関西支部長はブツブツと何かを呟いている。

 もしかして、結界の出力に誤差があるんかとか。

 魔石の魔力を想定外に食っているのかとか言っている。


「これって、結構問題じゃないっすか? 持続時間、最初三時間とか言ってませんでしたぁ?」


 その挑発的な物言いに、関西支部長は眉間をピクピクさせている。でも、技術部がそう言っていたんだから、それを下回るのはダメだわな。


「ぐぬぬぅ。ちょっと検証が甘かったかもしれんわ」


「そうっすねぇ。例えばっすけど、攻撃を受けると魔力を消費するとかないんすか?」


「たしかに、それやとスタンピードやったからなぁ」


「その可能性はあんじゃねすか?」


 大きく頷いている関西支部長。


「その可能性はあるわ。調査しておく」


「おねしゃす」


 黄虎にしては、大人しく言った方だな。まぁ、たしかに結界装置がなかったら死体になっていてもおかしくない規模だったからな。


 ちゃんと技術部の努力を買っているのだろう。

 だから、優しく言ったのか。


「それで、桃瀬さんは何を見つけたのさー?」


 端末を使ってプロジェクターで写真を映し出す。

 壁には、機械が埋め込まれた部屋の写真。

 それをみた支部長達は、険しい顔をしていた。


「こんなんがあったんか?」


「そうですー。横に行ける通路がありましてぇ。行ってみたらこうなってたんですー。ちなみに、保存されたデータ抜いてきましたー」


「なんやて⁉ 後でまわしてやー」


 これは、凄い発見だと思う。

 異常が起きているダンジョンには、こういう部屋があるかもしれない。


「全部のダンジョンを点検するのは、骨が折れるでごわすね」


「いや、無理だっぺよ」


 九州支部長と東北支部長が口を開いた。

 どちらも、点検するのは現実的じゃないという。

 それはそうだろう。


「調べるのは、現象が起きてるダンジョンだけでいいと思うが?」


「せやね。どういう現象なん?」


「魔物の強さが、一段階上がるんだ」


 目を見開く支部長達。


「昔の災害と一緒やないか!」


「あぁ。そうだ。だから、注意深く各部隊の報告を聞いている」


「こりゃ、一大事やな」


 今の危機的状況を支部長達にわかって貰えたようだ。

 わかって貰えたらいいのだが。

 

 こうして、緊急報告会は終わりを迎えた。


 この時は、知らなかったのだ。

 全国のダンジョンでも、少しずつ装置が発見されていたことを。

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